2011年5月27日金曜日

【原発アクション】福島原発事故と子どもたちの被ばく問題

【転載】声明(PDF)


2011年5月27日

声 明


文科省:当面の対応として「今年度、年間1ミリシーベルト以下を目指す」
「子ども年 20 ミリシーベルト暫定基準」事実上断念
福島の父母たち、市民運動が勝ち取った大きな一歩
一方、文科省の発表は多くの問題と課題を残す


本日(5月 27 日)、文部科学省は、「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」を発表し、この中で、「年間 1 ミリシーベルトから 20 ミリシーベルトを目安とし」としながらも、「今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくという基本に立って、今年度、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1 ミリシーベルトを目指す」としました。また、校庭 園庭の空間線量率が毎時 1 マイクロシーベルト以上の学校の除染について、財政支援を行うこととしています。

明言こそしていませんが、年間 20 ミリシーベルトに基づいた校庭等の利用制限毎時 3.8 マイクロシーベルトを事実上断念し、棚上げにして、私たちがいままで求めていた通常の基準値年間 1 ミリシーベルトを目指すという基本姿勢を文書で示しました。
これは、5 月 23 日の福島の父母たちおよびそれを支援する多くの市民たちの要請にこたえたものであり、この間の市民運動が勝ち取った大きな一歩です。

一方で、下記の課題も残ります。

1.「今年度1ミリシーベルト以下を目指す」について

  • 事故後からの積算線量で年間1ミリシーベルト以下を目指すべき。また、学校外における積算線量も含めるべき。

  • さらに、既に1ミリシーベルトを超えている学校については、表土除去だけではなく、学童疎開など、あらゆる被ばく低減策を実施すべき。

  • この1ミリシーベルトには、学校給食などによる内部被ばくは含まれていません。これも考慮にいれるべき。

  • 内部被ばくに関しては、モニタリングの対象とすべき。

文科省が示している「今年度」とは、4月1日からとなり、事故後の3月分は含まれない可能性があります。また、「当面の対応」では、積算線量計を各学校に配布し「積算線量のモニタリングを実施する」となっています。マスコミ報道によれば、この測定は基本的に6月からとされています。4月以降または6月以降の評価で「1ミリシーベルト」とするのは不十分です。

2.財政支援を、土壌の汚染低減措置に限っていることについて

  • 授業停止、学童疎開、避難などあらゆる被ばく低減策について、これらを実行に移す具体的な措置を示し、財政支援を行うべき。
「当面の対応」では、国による財政支援を土壌の汚染低減措置に限っています。


3.土壌の汚染低減化を 1 マイクロシーベルト以上に制限していることについて

  • 土壌の汚染低減化は1マイクロシーベルト未満であっても必要です。年間 1 ミリシーベルトの被ばく以下になるよう土壌の汚染を除去するべき。

  • 除去した土壌については、東電と国の責任で管理すべき。

「当面の対応」では、財政支援の対象として、校庭・園庭の空間線量率が毎時 1 マイクロシーベルト以上と制限を設けています。しかし、毎時1マイクロシーベルトは、事故以前の福島県の平均空間線量の約 25 倍にもあたり、年間では 8.8 ミリシーベルトにもなります。年1ミリシーベルトを守るためには、セシウム 137 で考えれば、土壌1平方メートル当たり 40 キロベクレル、空間線量では毎時 0.15 マイクロシーベルト以下にする必要があります。

なお、今回の問題の根底には、文科省がもつ根強い「安全」神話がありました。文科省および福島県の放射線リスクアドバイザーは、あたかも 100 ミリシーベルト以下であれば安全であるかのような宣伝を行ってきました。この偏った文科省および一部の無責任な学者の宣伝を修正していかない限り、問題は繰り返し生じるでしょう。

私たちは、勝ち取った今回の大きな前進を、一緒になって行動を起こしてくださった全世界の市民の方々とともに確認するとともに、引き続き、日本政府に対して、以上の問題の対応および20ミリシーベルト基準撤回を求めていく所存です。

以上


子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
グリーン・アクション
福島老朽原発を考える会(フクロウの会) TEL:03-5225-7213
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会) TEL:06-6367-6580
国際環境 NGO FoE Japan TEL:03-6907-7217
環境 NGO グリーンピース・ジャパン TEL:03-5338-9800

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