東電また“情報操作” 「電力不足キャンペーン」にモノ申す
2011年5月12日
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止決定を機に、またぞろ「電力不足キャンペーン」が始まった。中電による電力融通の打ち切りが理由のようだが、「こちら特報部」の調べでは、被災した東京電力広野火力発電所(福島県広野町)が七月中旬にも全面復旧する。そうなれば真夏のピーク時も電力は不足しない。国民を欺くような“情報操作”の裏には、なおも原発に固執する政府や電力会社の姿勢が垣間見える。 (佐藤圭)- 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止決定を機に、またぞろ「電力不足キャンペーン」が始まった。中電による電力融通の打ち切りが理由のようだが、「こちら特報部」の調べでは、被災した東京電力広野火力発電所(福島県広野町)が七月中旬にも全面復旧する。そうなれば真夏のピーク時も電力は不足しない。国民を欺くような“情報操作”の裏には、なおも原発に固執する政府や電力会社の姿勢が垣間見える。
- 今月六日、衆院科学技術特別委員長の川内博史衆院議員ら民主党国会議員七人が広野火力発電所(五基、計380万kw)を視察した。首都圏の電力供給力向上のカギを握る発電所だが、東電は復旧の見通しを示していない。
しかし、川内氏らが今夏までに再稼働が可能かどうかを尋ねると、発電所の担当者は「津波で破損したが、全体的には被害は少ない。七月中旬にも全面復旧できる」と明言したという。 - さらに広野火力が復旧すれば、夜間に余った電力でダム湖に水をくみ上げて発電する揚水発電も上積みできる。電力供給力見通しでは、400万kwしか計上していないが、東電管内の揚水発電能力は最大1,050万kw。今夏の最大需要と予測する5,500万kwは十分に賄える計算になる。
川内氏は「今夏の東電の電力供給力は全く問題がないどころか、需要を上回る。余剰電力は東北電力などに融通すればいい。 - 西日本からの電力融通分100万kwの内訳についても、東電、中電ともに口をつぐむ。(中略)電力供給力への不安を解消するどころか“得意の情報隠し”で危機をあおっている格好だ。
- 東電や政府は震災後、一貫して電力の供給力情報を出し渋ってきた。
それを裏付けるような文書「東京電力の設備出力及び地震による復旧・定期検査等からの立ちあがりの動向」がある。資源エネルギー庁が官邸や与党への説明用に作成した内部資料で、東電管内の原発、火力発電、水力発電の出力や、震災前と直後の状況、七月末までに復旧する予定の発電所が一目で分かる。
この文書でも、東電の当初の供給力見通しのうち、最大1,050万kwの揚水発電の存在が抜け落ちていたことがあきらかになった。
- 結論
わかっているだけでも3つ=東電広野火力(5基380万kw)と揚水発電(東電管内1,050万kw)と中電からの供給分(100万kw)の三つが、意識的に外されている。民主党川内博史議員が言うとおり、今夏の東電の供給力は、全く問題ないどころか需要を上回る。余剰分は、東北電力へまわせる位だ。(柳田)
福島原発震災 刑事事件の立件困難?経営者の過失追及は
2011年5月11日
福島の原発事故後、同県須賀川市では、政府の野菜出荷制限指示の翌日に有機栽培野菜農家の男性(64)が将来を悲観して自殺したのを始め、原発に近い複数の病院で、数十人の入院患者たちが避難の搬送に伴い亡くなった。事故は、東電の甘い想定や、機器の整備不足から起こったことは間違いがない。こうした事態への、経営者としての東電の過失責任を、どう問うのか。意見はいくつかに分かれるようだ。
今回の原発震災では、直接被ばくによる死者がおらず、事故の主因は津波による電源喪失とされるため、刑事事件として扱うのは難しいだろう、という意見がある一方で、反原発運動の市民団体「たんぽぽ舎」副代表の山崎さんは、「損害賠償を求める民事訴訟だけでなく、刑事事件も問うべきだ」と話す。ただし、「規制官庁が電力会社となれ合い、お手盛りの安全基準をつくってきた、その現行基準や制度自体が違法だという視点にたたないと、刑事責任の追及は難しい。
その際、原発の所長を含めた現場の人は調査対象として免責し、刑事事件はトップに問えばよい」と提起する。いずれにしても、慶応大学の金子教授(財政学)の言うように、「放射能被害をはっきりさせるためにも、事故の検証がまず必要」であり、「刑事責任だけにとらわれず、事故処理費用を電力料金値上げや増税に転化しないことが大事」であることに間違いはないだろう。(東京新聞5月11日より、抜粋)
いったい誰がどう決めた? 福島県内の学校の被ばく線量基準
2011年5月3日
政府が、福島県内の学校などでの被ばく線量を年間20ミリシーベルト以下と定めた問題。先月22日付の「こちら特報部」でもお伝えしたが、この決定に抗議し、内閣官房参与の小佐古敏荘・東大大学院教授が辞任するなど、波紋が広がっている。判然としないのは、誰がどうこの基準を決めたのかという点だ。取材すると、いつもながらの役所と政治家の無責任体質が浮かび上がってきた。 (篠ケ瀬祐司、中山洋子)
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