田中正治
新春のお慶びを申しあげます。
千葉県房総半島はおだやかな正月で、100年に一度の世界金融恐慌もどこ吹く風という感じです。
でも、現実は寒い夜空に首を切られ、寝るところもない人々がおっぽり出される冷たい世の中になってしまいましたね。
米国の住宅バブル崩壊はウォール街の歴史的再編を促し、世界経済を席巻していた「投資銀行」は業態自体が消滅しました。最先端の金融工学に基づくデリバティブ(金融派生商品)はカジノ経済を築き上げましたが、実体経済から吸い上げ、実体経済との乖離が限界を超えて破綻してしまいました。
労働者や市民から吸いあげたお金を、年金、株券、国債、保険、企業利得、ファンドなどを、コンピューターバクチ市場に投入した結果破綻したわけです。
産業に投資せず、カジノ経済に投機した架空資本のなれの果てです。
http://www.news.janjan.jp/world/0810/0810088976/1.php
このコンピューターバクチは破綻しましたが、なくなるわけではありません。国家が税金を投入してバクチ市場を救済しようとしているからです。本当は、架空資本によるバクチ市場は閉鎖すべきなのです。
でも、遅かれ早かれ、バクチ市場は国家の監視下で再開されるでしょう。信用資本主義は新しい資本主義の発展段階であり、1971年ニクソンショック(変動相場制への移行)が起点になっているわけですから。だから、私達の対抗手段は、バクチ市場に出来るだけ吸い上げられないような仕組みを工夫してつくることでしょう。
1つは、コンピューター博打市場に対しては、取引額の0.01%に税金をかけようという世界的な運動があります。トービン税といいます。ヨーロッパはかなりやるきで、日本でも関心度がアップしています。相場師から取り上げたトービン税を、借金地獄にある途上国に無償で援助しようというわけです。http://altermonde.jp/tobin1_html
2つ目は、できるだけ大企業やカジノ市場に吸い取られないような独自の仕組みを作って行くこと。衣食住の領域で、生産者と消費者が顔の見える関係を作って、産直で生産物を流通させる。農山村に半農半X・新しいライフスタイルを求めて脱都会する。地域コミュニティーで、出来るだけ衣食住の自給システムをつくって行くといった方法もあるでしょう。http://seeds.whitesnow.jp/blog/archives/000015.html
3つ目は、会社にくらいつくのではなく、協同組合やワーカーズコレクティブやNPO、フェアートレード、マイクロクレジットなどのように自分達で出資し、自分達で事業を運営する。そういうことにトライして行く時代が始まっています。資本主義私企業に対抗する連帯経済です。社会的企業家登場の時代が来ているのです。
21世紀は、カジノ経済に対抗して、連帯経済が台頭することになるでしょう。
http://www.parc-jp.org/solidarityeconomy/index2.html
4つ目は、簡単に事業など立ち上げられないよという声が聞こえてきそうですが、どっちみち路頭におっぽり出されるのなら、泣き寝入りせず、この際、尻をまくって冷酷な企業に戦いを挑むしかないでしょう。20歳30歳代の派遣労働者たちがぎりぎりのところで決起しはじめています。雨宮かりんの怒りは、時代を感じさせます。ワーキングプアーは”奴隷状態”に追い込まれています。http://www.sanctuarybooks.jp/sugoi/blog/
泣き寝入りは人間の精神を腐らせます。意を決して立ち上がると精神がピンとして生きていることを実感するはずです。資本の権力とこのシステムに対する人間的尊厳を奪い返すことです。
泣き寝入りし、精神を腐らせた結果、”生きている実感”がなく、リストカットしたり自殺したりしている若者達が増えています。老人も若者も、年間3万人が自殺に追い込まれています。ある若い友人の言葉です。”今、この国は内戦状態だ”。
http://jp.youtube.com/watch?v=WalDKor2QqY
カジノ経済の破綻が、実態経済をどんどん破壊している今、漠然とした不安が広がり、深まっている今、自分の生き様を見つめ、生き様をはっきりさせ、精神を腐らせずに、サバイバルのためにも、仲間と共に、創造的な生き方と社会システムの構築にチャレンジしたいものです。
>>素人の乱