2010年12月30日木曜日

ネットワーク農縁+新庄水田トラスト+新庄大豆畑トラスト 合同企画
2010年12月12日(日) 収穫・感謝祭のお知らせ

会員の皆様へ

今年も下記の日程で収穫感謝祭を開催します。
おなかをすかせて、ぜひお越しください!


■開催日:2010年 12月12日(日)

■会費:400円
  ※マイ箸、マイおわん、マイ皿を持参の方は、300円
  ※ 小学生以下 半額

■第1部 時間: 11:00 受け付け、11:30~14:00
  会食:餅つき、新米おにぎり、いものこ汁、おしんこ 交流会

■第2部 時間:14:00~16:00
  会食:餅つき、新米おにぎり、いものこ汁、おしんこ 交流会

■場所:赤羽文化センター:料理室、第二学習室
  (JR赤羽駅 西口前のパルロード2VIVIOの3階)
  東京都北区赤羽西1丁目6−1
  電話:03-3906-3911
  主催者名:ネットワーク農縁、食と健康を考える会
  
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満員御礼!
たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。




















≫生産者からのメッセージ

2010年12月18日土曜日

農業の未来:誇張でないことを願って

Prof. Jack A. Heinemann(Prof. ジャック・A・ハイネマン教授)
University of Canterbury (カンタベリー大学)



農業に関する最善の科学を総合判断するという大胆な目標が、2003年に始まった「開発のため の農業科学技術国際評価(IAASTD)」というプロジェクトで掲げられた。(Heinemann, 2009) IAASTDは世界の主要な農業開発機関による合同プロジェクトで、世界銀行が発案し、国連食糧農 業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、ユネスコ(UNESCO)、世界保健機関 (WHO)、および地球環境ファシリティー(GEF)の協力によって実施された。(IAASTD, 2008).
大規模なアセスメント評価は、複数章のグローバルレポートひとつと複数章のサブグローバル レポート5つとで構成され、「政策決定者向けグローバルサマリー(SDM)」および「総合レポート (SDM)」という2つの包括的な文書でまとめられている。プロジェクト全体は、複数の利害関係者 を統括する事務局によって管理監督されている。事務局の構成メンバーは資金拠出機関、各国政 府、民間企業、および非政府組織(NGO)の代表者たちである。このプロジェクトは、これまでに 行われた農業アセスメントの中でも最も大規模で最も多角的な国際農業評価である。(Rivera- Ferre, 2008) このような評価が遅きに失しないことを願う。農業の恩恵と影響が富裕層と貧困層 の間で公平に分配されていないことがより一層明らかになってきている現在、農業への関心はか つてないほどに高まっている。このアセスメントでは、広範な環境悪化、人口増加、気候変動と いう問題にもかかわらず、2050年に農業がどのように人類の栄養摂取と健康に貢献するのか、し かも食糧生産の潜在能力を損なわない方法で行えるのかという核心的な疑問に答えるという野心 的な目標を掲げた。ひとつの回答は単純明快であった。これまでと同じやり方は認められない。 今のような農業のあり方ではこの目標に達することはできない。ではどのように農業を行うべき かという問題は、簡単に答えられる質問ではなかった。

世界の全人口を永遠に食べさせていけるような技術があるのかなど、誰にもわからない。少な くとも現時点では、食料、燃料、および原材料を生産するわれわれの能力を心配するのと同様、 われわれの食欲についても心配する必要がある。アセスメントでは、長い間不均衡な消費を行っ てきた社会に対して厳しい言葉が投げかけられた。補助金や市場をゆがめる取引形態、知的財産 権(IPR)に関する非対称な枠組みを使って自らの消費を維持しようという試みに対しては、さらに 厳しい言葉が与えられた。明らかなのは、少なくともこれまでに開発され、使用されてきたよう な方法の遺伝子操作技術では、世界を食べさせることはできないということである。

GMO(遺伝子組換え生物)についてアセスメントが解明したこと:

1. GM作物が初めて市販されてから過去14年の間、GM作物の収穫量が全体的、持続的または確実に増加したという証拠は何もない。

2. GM作物を採用した農家の経費が持続的に減少した、またはそのような農家の収入が持続的かつ確実に増加したという証拠は何もない。

3. 農薬の使用量が持続的に減っているという証拠は何もない。事実、除草剤の中には劇的に増 加したものがあり、GM作物への特殊な散布方法により、伝統農法を行う農家の雑草防除に対する選択肢が狭められている。

4. GM作物の圧倒的多くは、収穫量を高めることを目的として作られたのではなく、特定の農薬または殺虫剤を売るために作られたものである。

5. 世界の大多数の農家が求めるような作物が遺伝子操作によって生み出されたという証拠は何もない。

6. 植物の遺伝資源を少数の巨大企業の知的財産権として無差別的に強奪したことで種子業界が統合され、長期的な植物農業生物多様性と生物多様性が危機に晒されている。GM動物が実現可能な商品となった場合には、同じ収縮作用が動物の遺伝資源についても起こることは間違いない。


新しいGMOは、現存するGM作物に有利に働いたアセスメントより高い基準と透明性および独 立性を持つ、安全性と環境についての一貫したアセスメントを受けるべきである。GM作物の採用 は、過去数十年の農業における多くの「単純化し過ぎ」つまりモノカルチャーの傾向と一致して いる。最も顕著なのは、アメリカやカナダ、アルゼンチンなどの国々の作付体系を特徴付けてい る大規模単一栽培である。これらの国々は、GM作物の一大生産国でもある。モノカルチャーでは、 土壌を回復させるのに多くの外部入力を要し、害虫駆除に大量の殺虫剤を要する。単一作物のた め、特定の害虫が大量に発生するからである。植物および動物の集中的なモノカルチャーによっ て農業景観が過度に単純化されると、農業生態系の抵抗力が弱まり、その結果持続可能性も低下 する。GM作物の商品化は、単一栽培モデルの枠組み以外で通用するものを何ひとつ示していない。 遺伝子操作によって害虫駆除を単純化するという試みは、少数の農薬の使用増加という結果につ ながった。これによってこれらの化学薬品に対する抵抗性頻度が高まり、代替製品の多様性も失 われた。結果として、GM農法および非GM農法の両方で収穫量の持続可能性が脅かされている。 最終的に、農業の産業モデルもまた、食生活の過度の単純化と相関関係にあるのである。(Chávez and Muñoz, 2002, Hawkes, 2006, Scialabba, 2007, Tee, 2002) 多くの国々では、栄養失調は低体 重および過体重の多さが特徴であるが、低体重と過体重の両方が同一世帯内で見られることもよ くある。脂肪、タンパク質、炭水化物の元がわずかな種類の植物および動物であるため、人間は 微量栄養素欠乏によって病気に掛かりやすくなる。

その他の解決策についてアセスメントが解明したこと:

1. 農業生態学的な手法に投資することで、世界中の人々への持続可能な食糧供給に貢献できるという確固とした証拠がある。

2. 伝統的な交配やマーカー遺伝子利用による育種などの実証済みの技術に今すぐ再投資すべきである。

3. IPRの枠組みを緊急に見直すべきである。生物由来物質が特許や特許に準じる方法で保護され 続けるのであれば、知的財産の定義と、知的財産を開発する公的機関に対するインセンティブを変える必要がある。

4. 農産物輸出大国は、食料の安定確保と主権を国外でも推進する貿易援助方針を緊急に採用す べきである。

現在を特徴付けているものは、世界中のあらゆる人々に食糧を供給しようという意志が国際社 会に欠如している点であり、供給するための手法が欠けているわけではない。将来を特徴付ける のは、手法さえも失ってしまうかもしれない点である。今からその日に備える必要がある。
このスピーチの目的は、遺伝子操作とその他のバイオテクノロジーとを戦わせることではなく、 目的にかない地域でも高く評価される、栄養豊かで美味しい食べ物を十分に得るという我々の共 通の目標を達成するための、しかも未来の世代に食糧供給し続ける能力を失わずにすむための正 しいバイオテクノロジーの開発進路を示すことである。このような食の未来への道が、地域社会 を強固にし、地域経済を構築させる点も重要である。このアセスメントでは、世界中の人々に持 続可能な方法で食糧を供給する道が、農業の抵抗力を高めるだけでなく、地球上の多様な生態系 を回復させ、人類の農業の多様性喪失をくい止めることができると確信する。遺伝子操作を含む 現代のバイオテクノロジーがこれらの幅広い社会的および生態学的解決に貢献し、適合する限り は、歓迎する。しかし、よく言われるように、今やGMOは行動で示せない限り静かに黙るべきである。

世界中の人々に食糧を供給するのと同時に、持続可能な農業生態系と社会を築くには、農業生 態学に関する現在の知識だけでは足りない。(Tilman et al., 2002) 政府、慈善家および産業界が、 知識の確保と方法論の改善を行う調査や機関に出資し、実現をカスタマイズする必要がある。こ の知識は農家の協力の下に蓄えられるべきであり、相談機関、非政府組織、および民間企業を通 して分配されるべきである。

国際社会は農業生態学的な農業を追求して利益を得ることができるだろうか。可能性は高いが、 新しい経済モデルが必要なことには疑問の余地がない。これまでに述べたような目標を達成する ためには、技術や関税を操るだけではダメである。化石燃料のような再生不可能資源を使った場 合の本当のコストを説明できるようにならなければいけない。生態系サービスとしての「耕作限 界地」や水の価値を判定する必要がある。農家を中心とした現場の環境保護者たちの貢献を認識 すべきである。最終的には、「この土地からどれだけの作物が取れるのか?またはこの牧草地で どれだけの畜産動物が放牧できるのか?」という質問から、「この土地、この作物、この家畜、 あるいはこの農家を養うにはどれだけコストがかかるのか?」という質問に変える必要がある。

正しいバイオテクノロジーとは、その実施に当たって精度と有効性の両方が高いものである。 「よく誤解されるのは、有機農業が原始時代の農作業に戻ることを意味すると思われてしまうこ とだ。有機農法は伝統的な知識と実践方法に基づいているが、有機農法がもたらすものは現代的 で、人工的な肥料や殺虫剤を用いずに成功できる環境にやさしい集約農法である。」 (p. 217 Scialabba, 2007).

低インプット低収量農法への回帰は答えではない。しかし現代の農業生態学的アプローチは決 して低収量ではない。とはいえ、多くの場合、これらは比較的低インプットではある。大部分の 農業生態系でインプットを減らすと、地球環境の持続可能性を損なわずに、外部インプットを他 の場所へ適用する上で必要な柔軟性をもたらすことができる。正しいバイオテクノロジーは手に 入れることができる。貧しい自作農が、地域の知識を集約し、革新技術を普及させる機構を利用 することができ、自分達の手による市場の形成を邪魔されない限り、今すぐにでも実施できる。 成功へのレシピはこのアセスメントに書かれている。

参考文献
Chávez, A. and Muñoz, M. (2002). Food security in Latin America. Food Nutr. Bull. 23, 349-350.
Hawkes, C. (2006). Uneven dietary development: linking the policies and processes of globalization with the nutrition transition, obesity and diet-related chronic diseases. Global. Health 2:4, p.18 http://www.globalizationandhealth.com/content/2/1/4
Heinemann, J. A. (2009). Hope not Hype. The future of agriculture guided by the International Assessment of Agricultural Knowledge, Science and Technology for Development (Penang, Third World Network). http://www.twnside.org.sg/title2/books/Hope.not.Hype.htm
IAASTD. History of the IAASTD. http://www.agassessment.org/index.cfm?Page=IAASTD_History&ItemID=159 Rivera-Ferre, M. G. (2008). The future of agriculture. EMBO Rep. 9, 1061-1066.
http://www.nature.com/embor/journal/v9/n11/full/embor2008196.html
Scialabba, N. E.-H. (2007). Organic agriculture and food security in Africa. In Africa Can Feed Itself, A. Nærstad, ed. (Oslo, AiT AS e-dit), pp. 214-228. http://www.agropub.no/asset/2636/1/2636_1.pdf
Tee, E.-S. (2002). Priority nutritional concerns in Asia. Food Nutr. Bul. 23, 345-348.
http://www.nutriscene.org.my/journals/Tee 2002 - Nutrition concerns in Asia.pdf
Tilman, D., Cassman, K. G., Matson, P. A., Naylor, R. and Polasky, S. (2002). Agricultural sustainability and intensive production practices. Nature 418, 671-677. http://www.nature.com/nature/journal/v418/n6898/full/nature01014.html


2010年12月15日水曜日

さわのはなの生産者からのメッセージ 2010年12月15日

無農薬・無化学肥料の「さわのはな」を作っているお百姓さんたちのメッセージです。



14日まで雪は全くなかったが、15日未明から降り続け、30cmを超えた。12月15日夕方







【 笹 輝美 】

● 10月にただ一人の兄弟の弟が急死し今までに経験したことのない悲しみと喪失感・虚脱感に呑み込まれた。何も手がつかない日々が何日も続き、このたびの上京も迷っていた。が、もも保育園での餅つき、翌日の収穫祭でたくさんの方々にお会いし交流を深め、たくさん元気を貰い、さらに3日目の各訪問先ではあたたかく迎えて下さり生き返ったような気分です。参加してくださった皆様、そしてスタッフを努めてくださった皆様本当にありがとうございました。感謝あるのみですし、この度ほど強く自分がたくさんの人に支えられて生きていることを実感したことはありません。競争と自己責任だけでなく皆が支え合える社会というのは無理なのでしょうか?



【 星 川 公 見 】


● もうすぐ今年も終わろうとしています。やはり今年は今まで体験したことのない暑くて長い夏が暫くは記憶に残りそうです。やがてもっと暑い年が来るのでしょうか …。




sumiyakist【 佐藤 恵一 】


● 今回の収穫祭(12日)に参加していただいた方々、スタッフの方々、ご苦労さん。そして、ありがとさん。赤羽会場は数年ぶりでなつかしい。料理する人と頂く人が同じフロアなのはとてもいい。狭いながらも心を通わせられる空間だった。出される主菜もお米を引き立てるものばかり。なつかしい顔ぶれに囲まれながら心地よいひと時を過ごした。再見!



【 星川 吉和 】


● 皆様、収穫祭おつかれ様でした。久しぶりに会った方々へ感謝します。東京の夜の農業談義はいつも盛り上がり、楽しいひと時が過ごせました。また会う日までがんばりましょう。


 



【 今田 多一 】


● 収穫祭から帰ったら、新庄は本格的な冬を思わせる雪降りである。12日の収穫祭には多くの方が参加され、新庄の米の食べ比べをはじめ、おしるこ・芋煮・漬物などを楽しんでくれた。また、TPP (環太平洋戦略的経済連携協定)や戸別所得補償制度をどう思うかなど、様々な意見交換も行った。毎年のことではあるが本当に皆様方に支えられていると感じた一日だった。そして、12/11、もも保育園(川崎市)、また12/13に手分けしておとずれた訪問先の皆様にもお礼を申し上げます。



【 遠藤 信子 】


● 赤羽文化センターでの収穫感謝祭に参加された皆さん、そしてスタッフの皆さん、ありがとうございました。おかげ様でまた楽しく有意義なひとときを過ごすことが出来ました。本当に感謝しています。今後とも宜しくお付き合い下さい。


2010年12月6日月曜日

コメ減反強化のなか 日本が大慌ての小麦買い付け それを変とも思わぬ飽食日本の末路は?

農業情報研究所>意見・論評>2010年12月6日(12月4日今日の話題から転載)

 収穫期を迎えた大雨でオーストラリア小麦の減収と品質低下(飼料としてしか使えない恐れ)が避けられない情勢となった。これと干天によるロシアや米国の冬小麦減収の予想が重なってシカゴやパリの小麦先物相場が急騰するなか(世界食料品価格が急騰 2008年食料危機時を超える恐れも)、日本が入札予定を前倒し、大急ぎで米加の小麦調達に走っている。政府は2日の輸入入札でこの2年間で最大の21万トンのアメリカ小麦を確保したあと、7日には19万トン余のアメリカ小麦とカナダ小麦の買い入れを計画している。

 Wheat Purchasing Accelerated in Japan After Tight Supplies Boost Prices,Bloomberg,12.3
 http://www.bloomberg.com/news/2010-12-03/wheat-purchasing-accelerated-in-japan-after-tight-supplies-boost-prices.html

 これで月平均40万トン(2009年12月〜2010年11月の入札結果では、 月平均でアメリカ小麦25万トン、カナダ小麦6.6万トン、オーストラリア小麦7.6万トンほどとなっている)の輸入小麦は確保できるだろうが、既に急上昇している 落札価格のさらなる上昇は避けられず、いずれ小麦製品の価格上昇に跳ね返るだろう。



 そんななか、国内でいくらでも調達できるコメは、米価維持を理由にさらに減産を促す。(農水省 2011年産米生産数量目標決定 需給が緩まないようにと、ついに800万トン割れ)TPPによる日本のコメ撲滅政策さえ唱導され始めた。日本の政府は世界食料市場の緊迫にいかなる危機感ももたず、何も知らされない飽食日本の国民は、食料はいつでも、どこからでも、いくらでも降ってくると思い込み、コメ消費を減らすばかりだ。自給率40%は大変と騒ぐ人も、 コメ消費拡大なくしては自給率引き上げはほとんど不可能であるとは、とんと知らされていない。麦や大豆の国内生産を増やせばいいじゃないかと容易に考えている人もいる。それが絶望的に困難であるとは知らされないままに。高温多湿に弱い麦は、温暖化の進行でコメよりもずっと生産が不安定になることも知らされていない。(例えば、十勝産小麦の収量、過去10年で最低 猛暑影響 1等比率も下落 北海道新聞 10.11.23)

 日本がFTAを結べば農業が壊滅的な打撃を受けると言われるオーストラリアでさえ、産業グループと科学専門家が最近、人口が3500万〜4000万に増え、気候変動が食料生産の足かせとなれば、この国も食料純輸入国に転落すると警告している。いまのままでは、土地劣化、人口増加、長期的気候変動、土地利用の競合、水の希少化、栄養とエネルギーの利用可能性が、いずれ国の食料安全保障を脅かすことになるという。

 Australia faces food insecurity: review ,The Australian,12.2
 http://www.theaustralian.com.au/news/health-science/australia-faces-food-insecurity-review/story-e6frg8y6-1225964201628

 気がついたときには、小麦を売ってくれる国がなくなっていた。国内にはコメを作ってくれる人もいなくなっていた。それが飽食日本の末路である。


2010年12月4日土曜日

「地球に対する戦争を終えるとき」 ヴァンダナ・シヴァ女史、「シドニー平和賞」受賞スピーチ

 インドの農業・エコロジー運動家のヴァンダナ・シヴァ女史が11月6日、「シドニー平和賞」を受賞した。(彼女は遺伝子組み換え農産物に反対するインドでの運動のリーダー的役割をも果たしています。)




 ヴァンダナ・シヴァ : 「いま、地球に対する戦争を終えるとき(Time to End War Against the Earth )」

 今、「戦争」を思うとき、私たちの心は「イラク」や「アフガニスタン」に向かいます。しかし、もっと大きな戦争が、今、戦われてもいます。それは私たちの生きる、この地球という惑星に対する戦争です。この「地球に対する戦争」の根は、エコロジーと倫理が定めた限界を敬うことに失敗した「経済」にあります――不平等には限界があることを、不正義には限界があることを、欲望と経済の集中には限界があることへの敬意を忘れた「経済」に、根を下したものなのです。

 一握りの大企業や強国が、地球の資源に対するコントロールを追い求め、この私たちの地球を、何でも売りに出してしまうスーパーマーケットに変えようとしているのです。彼らは私たちの水を、遺伝子を、細胞を、臓器を、知識を、文化を、さらには未来をも売ろうとしているのです。

 いまアフガニスタンとイラクで続き、今度も戦われて行こうそる「戦争」は、単に「石油のために血を流す」ものではありません。すでに明らかなように、「戦争」は「食料」のためにも「遺伝子と生物多様性」のためにも、「水」のためにも血を流すものになって行くことを、私たちは目の当たりにすることでしょう。

 こうした「軍・産・農」を支える戦争のメンタリティーは、「モンサント」社の殺虫剤の商品名、「駆り立てる(Round-Up)」「山刀(Machete)」「投げ縄(Lasso)」――を見れば明らかです。「モンサイト」と合併した、「アメリカン・ホーム・プロダクト」社も、その製品の殺虫剤に、「ペンタゴン(米国防総省)」とか「スカドロン(航空団)」といった、同じように攻撃的な名前をつけています。これは「戦争の言葉」です。私たちの「持続可能性(Sustainability) 」は、(そうではなく)「地球との平和」を土台にしたものです。

 「地球に対する戦争」は、私たちの精神の中で始まるものです。暴力的な思考から、暴力的な行為が形成されるのです。暴力的なカテゴリーを考え出すから、暴力の道具が作られるのです。産業化された農業・食糧・生産が依拠している「メタファー(隠喩)」や「メソッド(方法)」ほど、このことをハッキリ示してものはありません。戦時下において、人々を殺す毒や爆発物を生産する工場は、戦争が終わると、農薬工場に変身するのです。

 「1984年」は、食糧が産み出される方法に何か恐ろしいことが起きているという事実に、私を気付かせてくれた年でした。(インドの)パンジャブの動乱とボパール(化学工場)での惨事によって、「農業」がまるで「戦争」と化したかのように見えたのです。私が『「緑の革命』の暴力』という本を書き、「ナヴダンヤ(九つの種子)」という、毒にまみれない農の運動を始めたのは、このときのことです。

 戦争のための毒ガスとして始まった農薬はこれまで、疫病をコントロールできずに来ました。遺伝子操作が、有毒な化学物質に代わるものと考えられたこともあります。しかし、実際は逆に、殺虫剤の使用量を増加させ、「農民に対する戦争」を解き放っただけでした。

 飼料と農薬のコスト高は農民たちを負債の罠にはめているのです。負債の罠は農民たちを自殺へと追い込んでいます。政府の公式データによっても、インドでは1997年以来、20万人以上の農民が自殺を図っているのです。

 「地球との平和を築く」ことは常に、倫理とエコロジーの絶対命令であったことです。それは今や、私たちが生物種として生き延びるための絶対命令になっているのです。

 土に対する、生物多様性に対する、水に対する、大気に対する、農場や農産物に対する暴力は、人々が食べることを不可能にする、「戦争のような食糧システム」を産み出しています。いま、10億人が飢えているのです。20億人が、肥満、糖尿病、高血圧、癌といった、食べものに関係する病に苦しんでいます。

 この持続するはずのない発展には、3つのレベルの暴力が含まれています。第一は、地球に対する暴力です。環境の危機として現れているものです。第二は、人々に対する暴力です。貧困、欠乏、難民化として現れているものです。第三は、戦争と紛争としての暴力です。これは際限なき貪欲を満たすため、他国や他の共同体に眠る資源を力で掴み取るものです。

 「生」のあらゆる側面が商品化されると、たとえ1日に1ドル以上、稼げたとしても、「生活」はさらにコストのかさむものになり、人々はさらに貧しくなってしまいます。他方、人々は「マネー経済」なしに、物質的に豊かであり得ます。土地に対してアクセスでき、土地が肥沃で、川の水が汚れずに流れ、文化が豊かで、美しい住と衣、そして美味な食をもたらす伝統が生き続け、社会的な結束があり、地域の共同体に連帯と協働の精神がありさえすれば……。

 市場経済の領域、さらには人工物でしかない資本としてのマネーが、社会の最高の組織原則、及び生活に福祉を推し量るたったひとつの物差しに祭り上げられたとき、それは自然と社会の命を維持・存続させうるプロセスを切り崩すものになって行くのです。

 私たちは金持ちになればなるほど、エコロジーと文化の面ではますます貧しくなって行きます。マネーで測られる豊かさの成長は、物質的・文化的・環境的・精神的なレベルにおける貧困の増大を招くものです。

 生活をつなぐ、ほうとうの通貨とは、生きることそのものです。こうした視点に立つことで、以下のような問題が提起されます。私たちはいま、この世界において、自分自身をどう見ているのだろう? 人は何のための生きるのか? 私たちは、金儲けのために資源をがぶのみする、単なる機械に過ぎないのか? それとも私たちはそれよりももっと高い目的、目標を持ったものではないか?
 
 私は「地球デモクラシー(earth democracy)」というものが、あらゆる生物種、あらゆる人々、あらゆる文化に固有な価値に基づく「生きるデモクラシー(livingd emocracies)」を、私たちに思い描かせ、創造させて行くものだと確信しています。「地球デモクラシー」とは、この地球の大事な資源の公正で平等な共有と、この地球の資源をどう使うかの決定の分かち合いのことでもあります。

 「地球デモクラシー」は、水、食べ物、健康、教育、仕事、生計の諸権利を含む「生きる権利」の基礎をかたちづくる、命及び基本的人権の持続するエコロジーのプロセスを守るものです。

 私たちは選択を迫られています。企業の貪欲による市場の法則に従い続けるか、地球のエコシステムと生物の多様性を維持する「ガイアの法則」を取るかどうかの選択を迫られています。

 人々の食べ物、水へのニーズは、食べ物と水を供給する自然の能力が守られていてこそ、はじめて満たされ得るものです。死んだ土や川は食べ物や水を恵んでくれません。

 「母なる地球」の諸権利を守り抜くことはそれゆえ、最も重要な、人権と社会正義を守る戦いであるわけです。それは私たちの時代の、最も広汎なる平和運動であります。


2010年11月20日土曜日

TPPをにらみ農家の大規模化を促進 鹿野農相 日本農業破滅への道

農業情報研究所より転載


鹿野道彦農相が11月18日の参院予算委員会で、農家への戸別所得補償制度に関連し、大規模化を促すために作付面積の多い農家を優遇する「規模加算」導入に強い意欲を表明した。

 また、19日のNHKの番組に出演後、「戸別所得補償制度を拡充し、作付面積の多い農家を優遇する「規模加算」を2011年度から導入する方向で検討することを明らかにした。環太平洋連携協定(TPP)をにらみ、農家の大規模化を促進して生産性向上を図り、日本農業の競争力を高めるのが狙い。11年度の農業予算の在り方を議論するため設置した「関係4大臣会合」で調整する見通しだ」という。

 農相、大規模化へ加算金に意欲 戸別所得補償で  47news 2010年11月18日
 http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010111801000851.html
 大規模農家に「加算」 農相、11年度から導入方針 中日新聞 2010年11月19日
 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2010111901001021.html

 ということは、TPP参加は既定の事実であり、またコメ等重要品目の一層の市場開放も既定の事実であるということだろう。しかし、「農家の大規模化を促進して生産性向上を図り、日本農業の競争力を高める」ことが日本農政のTPP対策とは、笑止千万だ。

難しい話ではない。TPPに参加するベトナムはタイと並ぶ世界最大の米輸出国だ。その今年1月から10月までの米の輸出量は556万トン、輸出額は23億 5000万ドルである。トン当たり平均輸出価格は423ドルで、1ドル=85円で換算すると3万5870円だ。キロ35.9円、60キロ2154円の計算だ。ところで、日本の米生産費は、農水省米生産費調査(平成21年)で知ることができる最大規模の15ヘクタール以上作付農家の平均でも1万円を超えている(11,206円)。ベトナムで栽培されるインディカ米は、こんな価格差があっても日本の米飯用米として急増することはない(米粉用市場は別)。しかし、米を自由化対象に含めた貿易自由化協定が結ばれれば、ベトナムもタイもジャポニカ米栽培を急速に増やすだろう*。日本の最大規模の米農家でも、価格競争では競争にならないことは明らかだ。この大差を所得補償しようとすれば、持続不能な国家財政=納税者負担が生じることも明らかだ。

  *自由貿易協定の経済効果評価の専門家である川崎賢太郎氏→
  http://www.maff.go.jp/primaff/kenkyu/kenkyuin_syokai/pdf/primaffreview2004-12-11.pdf

 そもそも、規模拡大で国際競争力を増すという発想が時代錯誤だ。日本よりはるかに規模拡大が進んだフランスでさえ、そんな発想はとっくの昔に捨てている。農業の多面的機能への直接支払を打ち出した1999年農業基本法の制定に際し、その提案理由説明は次のように述べている。

 「欧州農業は最も競争力が強い世界の競争者と同じ価格で原料を世界市場で売りさばくことを唯一の目標として定めるならば、破滅への道を走ることになる。それはフランスの73万(1995年末)の農業経営のうちの少なくとも30万の経営を破壊するような価格でのみ可能なことであり、そんなことは誰も望んでいない」、「農業のための大きな公的支出は、それが雇用の維持、自然資源の保全、食料の品質の改善に貢献するかぎりでのみ、納税者により持続的に受け入れられる」(北林寿信 「方向転換目指すフランス農政—新農業基本法制定に向けて—」 『レファレンス』<国立国会図書館> 1999年3 月号 58頁)。


 EUも同様な方向を目指してきた。11月18日に発表されたばかりの2013年以後の共通農業政策(CAP)のあり方を示す欧州委員会の青写真も、公的補助を正当化するためには農民に一層の環境保護を求めねばならないと強調している。

 Commission outlines blueprint for forward-looking Common Agricultural Policy after 2013,European Commission,10.11.18

 こんな時代に、なぜTPP、なぜ規模拡大優先農政なのか。

 日本の米が競争力をつける最短の道は、規模拡大ではなく、生産方法(有機、減農薬、環境保全)や品質の差別化である。国はフランスの多面的機能への直接支払にならい、農家のこのような努力をこそ支援せねばならない。

[規模拡大一般を無意味というつもりはない。自由化対策としての規模拡大にはほとんど意味がないということだ]


2010年11月14日日曜日

COP10報告会「生物多様性と先住民族」

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     COP10報告会「生物多様性と先住民族」
生物多様性条約名古屋会議(COP10)における先住民族の主張

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 2010年10月に名古屋市にて開催された生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)では白熱した議論が繰り広げられました。この名古屋会議では、遺伝資源へのアクセスと利益配分のルールを定めた「ABS名古屋議定書」や、生態系を保全するためのポスト2010年国際目標「愛知ターゲット」などが採択されました。議定書には、先住民族の伝統的知識も利益配分の対象にすることも盛り込まれました。また、先住民族・地域共同体の文化的知的遺産を尊敬するよう定めた倫理的行動規範も採択されました。

 COP10には、世界の7つの地域(アジア、太平洋、北米、中南米、アフリカ、ロシア、北極圏)から「生物多様性に関する国際先住民族フォーラム(IIFB)」の代表団が参加し、日本からはアイヌ民族や琉球・沖縄民族も参加しました。準備会議(10月15~17日)から本会議(10月18~29日)にかけて、180名ほどの先住民族が活発な議論、交渉、交流を行い、生物多様性保全のためのさまざまな取り決めの実施・評価にあたり、先住民族からの主張の重要性をアピールしました。

 名古屋会議では、特にIIFBの議論に立ち会うために有志による取材班が結成され、精力的な取材が行われました。先住民族の視点からみた生物多様性に関するホットな報告会を行います。奮ってご参加ください。



●日時:2010年11月26日(金)午後6時30分~8時30分

●会場:アイヌ文化交流センター
   東京都中央区八重洲2-4-13 アーバンスクエア八重洲3階
   東京駅八重洲南口より徒歩4分
   地図→ http://www.frpac.or.jp/prf/c_map.html

●報告者:青西靖夫、木村真希子、細川弘明(COP10先住民族ニュース取材班)

●資料代:500円
*予約不要。どなたでも参加できます。

■主催
先住民族の10年市民連絡会
明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
COP10先住民族ニュース取材班

■連絡先
先住民族の10年市民連絡会 
Tel/Fax:03-5932-9515  
E-mail:postmaster@indy10.sakura.ne.jp

2010年11月7日日曜日

お漬物「最上かぶ」の歴史

阿部文子


(写真 豪雪地帯・新庄)

12月12日に行われるネットワーク農縁の収穫・感謝祭。ネットワーク農縁のお百姓さんと都市の会員が、山野の恵に感謝し集うお祭りの日。

その日は山形・新庄から恵を積んで、はるばる来てくれるお百姓さんを迎える会員さん、再会を喜ぶ百姓衆、あちこちで感謝の花が咲く。ネットワーク農縁にとってうれしい一日である。

炊きたての新米、「さわのはな」や「ひとめぼれ」に欠かせないのが、新庄のお漬物。酢漬けや塩漬け、麹づけ等、色とりどりのお漬物。中でもひとしお異彩を放つ“最上かぶ”。セクシーピンクと白のかぶである。


(写真 赤カブの漬物)

山形県各地には20種類近くの在来種のかぶがあるそうだが、私たちにおなじみは最上地域を代表する“最上かぶ”。地面から出た部分がセクシーピンクに着色し、土中にある部分は白である。そのセクシーピンクの清々しさ。どうしてこんな色がつくのだろう。

なぜ山形県に在来種のかぶが多いのか。「かぶが飢饉の年に人の命を救う」という言い伝えがある。雪深い国の人々の自然との闘いの厳しさと、切ない生活の思いを表していた。

「8月も過ぎれば、今年主食の米が凶作になりそうかどうかわかります。8月に種をまくかぶは、生育期間が2-3ヶ月と短いので、播種後1か月には、間引き菜を食べることが出来、降雪前の11月ごろには、収穫可能になります。

つまり、冷夏で凶作とわかってからでも、種を多めにまいて冬の食料に備えることが出来るのです!収穫したかぶの一部は、漬物でも保存できますが、大部分は生の状態で家の入り口に積み上げられ、わらで囲った「かぶらちぼけ」と呼ばれる貯蔵場所に保存されます。

こうして飢饉の年でも、翌春山菜が出始める季節までかぶを保存しながら、飢えをしのぐことが出来たのです。」(「おしゃべりな畑」やまがた在来作物研究会)


こうした人々の窮状を救った雪深い国のかぶ。12月―3月まで、雪に閉ざされる新庄。今日も変わらぬ豪雪地帯ではあるけれど、うれしいことにこうした思いをすることはなくなっている。

そして、本来のおいしい漬物として“最上かぶ”は、収穫・感謝祭に華を添え、私たちを楽しませてくれている。ネットワーク農縁の収穫・感謝祭は、2010年12月12日(日)、東京のJR赤羽駅前、赤羽文化センターで、11時半開場です。


2010年11月3日水曜日

さわのはな生産者からのメッセージ 2010年10月15日

無農薬・無化学肥料の「さわのはな」を作っているお百姓さんたちのメッセージです。





【 今田 多一 】

● コンバインでの稲刈りは終わっていたが、6日から5日間仕事を休む。急に下痢をもよおし、食欲はなくなり何をするにも力が入らない。医者に診てもらうと整腸剤を処方されたが、なお下痢が止まらず、痩せてゆくのがわかる感じだった。再診を受け血液検査をしたら白血球値が異常に高く、ウィルス性のものだとの診立てになり抗生剤を飲んだらピタリと止む。このたびは疲れた体、弱った体にウィルスが入るのを体験する。

 夏の猛暑でやはり高温障害が出た。コメの玄米に腹白が異常に多く、見た目も悪い。昼と夜の寒暖の差も少なかったからか、平年より食味も若干落ちる感じだ。そして、カメムシの斑点も多い。栽培管理には私なりに努力したつもりですが、自然条件、気象条件などの影響を理解して食べていただくと大変ありがたい。





【 笹 輝美 】

● 猛暑が過ぎ、いざ稲刈りとなったら毎日雨、アメ、あめ。茎が長く柔らかい品種は倒伏したり、田んぼはぬかるんでコンバインでの作業も難渋を極めた。収穫作業が終わってみれば案の定、登熟期の夜間の高温がたたり、さほど収量は上がらず、カメムシの被害ばかりが目立ち、見た目はあまり良いとは言えないが、食味は心配に反しまずまずの出来と言える。稲の作業が終わっても、畑の片付けや機械の清掃・点検整備、格納、ハウスのビニールの張替え、そして雪囲いと仕事は尽きない。





【 星 川 公 見 】

● 夏の猛暑で心配していた米の作柄も収量は少ないものの思っていたよりきれいな美味しい米ができたようでホッとしている。稲刈りも無地に終わって、秋を感じる余裕が出てくるが、疲れも出てくる。
天の恵みに感謝しながら稲刈りの後かたづけに精を出す。





【 遠藤 敏信 】

● 稲刈りを終えとにもかくにもホッとしている。新米を炊いてもらった。実にうまい。食欲の秋とはよくいったものだ。毎食一杯と決めているのがついつい余計に食べてしまう。ささやかな しあわせ感。実はこの文章、冒頭を除けば、昨10月の短信と全く同じ。

 それにしても、政治が良くない。いまや、昨年の政権交代での期待感は失せた。交代した意味が全くない、と思う。安焼酎で今夜も酔う。 




(有)新庄最上有機農業者協会  【 佐藤 あい子 】

● (有)協会だより

① ただ今、にんにくを1反歩植えつけています。その種代48万円 … 。

②昨年産の我が「なたね油」は、あと2本で完売。本年産は今月末完成の予定。

③はと麦と大豆、今月中には刈り取りが終わります。


2010年10月28日木曜日

新庄水田トラスト 2010年度 お米の収量のお知らせ

事務局・阿部文子




1)遺伝子組み換えNO、無農薬・無化学肥料栽培「さわのはな」

2010年度は、1口40kgの収穫量(玄米)となりました。
「さわのはな」は、世界のスローフード運動「味の箱舟」に山形県の在来種として登録されています。
お米と自然を、今年もまた恵として引き出してくれたお百姓さん、そしてそのお米をいただいて、お百姓さんと自然を支えてくださった新庄水田トラスト会員の皆さん、ありがとうございました。感謝です。
これから、直接、お百姓さんから会員の皆さんへ電話連絡がいきます。


2)8人の農家の各1反(300坪)あたりの収穫量は次の通りです。

・高橋保広 7.0俵(420kg)
・星川公見 7.0俵(420kg)
・笹 輝美 7.0俵(420kg)
・星川吉和 6.5俵(390kg)
・今田多一 7.0俵(420kg)
・吉野昭男 6.0俵(360kg)
・遠藤敏信 7.0俵(420kg)
・佐藤恵一 5.5俵(330kg)


3)収穫・感謝祭

収穫・感謝祭は、2010年12月12日(日)東京・赤羽文化センターで開催します。
JR赤羽駅西口前です。お昼前から開催です。ぜひ、ご参加ください。喜びを共にいたしましょう。


4)精米について

「さわのはな」は玄米がおいしいです。かめばかむほど、口の中でおいしさが広がります。玄米は生命の全体食です。体の芯から力がついてきます。お試しください。

「さわのはな」は、胚芽が比較的大きく、白米には向いていませんので、白米はお勧めしておりません。白米をご希望の方は、“7分づき白め“を指定してくださいますよう。

では、収穫・祭感謝でお会いしましょう。


2010年10月20日水曜日

土と平和の祭典 2010

田中正治

第四回「土と平和の祭典」にネットワーク農縁・新庄水田トラストも出店しました。
新庄から農家の高橋さんも来てくれて、結構、刺激を受けた様子。
4万人くらいの参加者でしょうか。
団塊の世代の有機農家と団塊ジュニアの半農半Xたちが盛り上げた祭典。
トークのステージがとても充実していたので、僕はステージに張り付いていました。













2010年10月6日水曜日

きれいな水で商品経済に染まるアフリカ自給農村 農業も一変、とアメリカ研究者

農業情報研究所(WAPIC)


ルワンダ農村での2週間のフィールド調査からに帰ったアメリカ・レンセラー工科大学准教授・Michael J. Mascarenhasが、自給的コミュニティーにもたらされる技術的改善の影響がいかに複雑で思いがけないものか思い知らされた、研究方法はよほど注意深いものでなければならない、とニューヨーク・タイムズ紙上で述懐している。

 Leaving the Land of a Thousand Hills,The New York Times,9.15
 http://scientistatwork.blogs.nytimes.com/2010/09/15/leaving-the-land-of-a-thousand-hills/?ref=science

その一つの例が、重力送りのきれいな水を蛇口から出すシステムの導入による水へのアクセスの改善だ。これは間違いなく歓迎されると思われ、開発援助団体、チャリティー団体もこの分野で活動している。事実、インタビューした多くの家庭が、その導入以来、前より暮らしやすくなったと言っている。

 ところが、改善されたシステムから水を受け取るために、彼らは料金を支払うための金を用意しなければならない。水に対する支払が水へのアクセスの重大な障害となっている。蛇口の数が少ないから、その水を受け取るためには多くの家庭ははるか遠くまで足を運ばなければならない。となると、多くの家庭は近くの汚れた水の方を選ぶことになるだろう。多くの家庭は貧しく、ジェリカン(5ガロン=約20リットルが入る缶)一つ分に払う10ルワンダフランを稼ぐのも大変だ。

 システムの導入は、多くの家庭の農業のやり方も変えた。水を買う金を稼ぐために、今まで家族を養ってきたキャッサバ、豆類、トウモロコシなどの食料作物の代わりに、コーヒーなどの換金作物を作るようになった。これによって自給的農民の生活は不安定なものになった。世界市場でコーヒー価格が下がれば、彼らの購買力が落ち、水が購入できなくなるばかりか、彼らの経済的福祉水準も全体として下がる。それでコーヒー生産を増やせば、コーヒー価格がさらに下がることになる。

 今や灌漑のための費用もかかるから、多く家庭は、灌漑が必要なトマト、ペパー、タマネギ、パッションフルーツ、トマトの木のような、家族を養うだけでなく、余れば地方の市場で売ってきた果物や野菜を作るのもやめた。

 最後に、すべての家庭は、このシステムの最近の民営化で、水質や水量は全然改善されないのに、ジェリカン一つの水の値段が5ルワンダドルに跳ね上がったと文句を言っている。一部の村人は、飲み水に金を支払うために初めて借金をかかえることになった。

 南の国の公正で持続可能な開発、言うは易いがとんでもなく複雑で、難しい課題だと思い知らされる。


2010年9月25日土曜日

さわのはな生産者からのメッセージ 2010年9月16日

無農薬・無化学肥料の「さわのはな」を作っているお百姓さんたちのメッセージです。
さわのはな生産者からのメッセージ 20109月16日




【 今田 多一 】

●例年なら8/25の東北の最後の夏祭り・新庄まつりが終わると道行く人の挨拶が「やはり涼しくなったなぁ」と交わすのであるが、新庄も今年はご多聞にもれず猛暑続きであった。ここ数日の雨でやっと秋らしくなってきた。

9/11の新聞で全農山形が今年の県産米の概算金を発表した。過去最低の9000円/1俵60kgだという。村の仲間はいつもの事ながら、農協・全農・卸業者などの中間マージンを下げないで生産者価格だけを下げると怒る。そして、農縁米の無農薬無化学肥料栽培米は手と時間がかかり、病虫害のリスクも大きく、面積の拡大はなかなか難しい。頭が痛い。





【 笹 輝美 】

●なんとも厳しい夏でした。新庄は一週間ほど前から朝晩が涼しく感じられるようになりましたが、日中は高めの気温が続いています。酷暑の中、稲はといえば日照が多いのでさぞと登熟が進むかと思いきや夜間気温が高いため、日中光合成が活発に行われてもせっかく稼いだ分を夜間の呼吸作用で多くを消費してしまうので思いのほか進まず、茎葉の疲ればかりが目立ってきました。品質や味にどう影響するのか気がかりです。

この夏のような誰も経験したことがない猛暑が人間の生活・営みの結果であることは誰しも認めているのに、エコを口にしながらも更なる便利さを求め産業界はエコとは程遠い商品を休むことなく作り続け市場競争に熾烈な戦いを展開し続け、私たちもそれが当然と思い込み、より便利さ、より安さを求め続けているのだからいい加減なものである。

いい加減さついでにこの暑さで少々狂った脳ミソでコストというものを考えてみた。産業界は効率化によるコスト引き下げを永遠の至上命題に掲げ活動しているのだが、そこで言われるようなコストとは言うまでもなく生産に要した物財費や労賃、研究開発のための費用等であるがこれはいかにも産業界の都合のよい考え方であるとも言うことができる。

地球が今ほど病んでいるのであれば生産及び生産されたものを利用する段階、そして作られた目的を果し得なくなって廃棄される段階でも自然環境に与えた負荷をゼロに回復させるための費用をコストに含めるべきものと思うのだがどうだろうか?そうでもしない限り人間の強欲と貪欲が地球を呑み込んでしまうように思えてならない。





【 星 川 公 見 】

●あの暑い夏がいつまで続くと思っていたら、いつの間にか鈴虫のなく音を聞きながら眠るようになっていた。長い夏だった。

今年は今までになく田んぼに水を入れた。暑いと自分たちが水を飲むように稲も水を欲しいだろうと思ったからだ。これから刈り取りの時期を迎えるが、すでに早生の稲を借り入れた人や新聞等ではいつになく米の品質が悪いらしい。猛暑の頃、質が悪くなるのではと感じていた。

農薬を使わない米は尚更かもしれないし、またその逆かもしれない。それだけ手を尽くしたからだ。

品質が悪くても美味しい米はたくさんある。美味しい米であって欲しい。





【 遠藤 敏信 】

●政権を担う民主党の代表選が決着。「雇用。雇用。雇用」と叫んだ方が再選された。市場原理主義の横行で、働き場を奪われ失職した国民が生きられるのか。

米の概算価格が提示された。大暴落といっていい。このままでは日本の農民は農業に見切りをつける日が近い。

16日、幼稚園の子どもたちとその保護者が稲刈りに来た。小雨が降る中での作業となったが、濡れと汚れを気にする親の心配をヨソに子どもらは歓声を上げていた。