2010年4月25日日曜日

東北大学GMイネ反対声明

2010年4月12日


東北大学総長 井上明久様



抗議と要請
貴大学で行おうとしている遺伝子組み換えイネの野外実験について


  1. 貴大学・川渡農場で行おうとしている紫外線耐性・感受性イネの栽培実験の中止を求めます。
  2. 今後、東北大学で遺伝子組み換え作物の栽培実験を行わないでください。

 今年は、国際生物多様性年であり、10月には名古屋でCOP10/MOP5(生物多様性条約第10回締約国会議/カルタヘナ議定書第5回締約国会議)が開催され、日本はもとより、世界中で生物多様性を守る取り組みが繰り広げられます。にもかかわらず、貴大学では新たに遺伝子を組み換えて紫外線に耐性を持ったイネと感受性を高めたイネの2種類のイネを開発し、貴大学川渡農場で栽培実験を行おうとしています。私たちはこの実験がもたらす環境への影響、生物多様性への影響に疑問を持つだけでなく、その必要性にも疑問を持っています。

 また先日開催された公開説明会で地元の農家から、栽培実験への疑問や懸念の声が出されました。いま鳴子では、農家、温泉街、商店、住民グループ等が一体となって、稲作を軸にした山間地農業の再生を目指しているところです。地元の人々がこの栽培実験に疑問や懸念を抱くのは当然のことです。

 北海道が行った交雑実験では、遺伝子組み換えイネの花粉は600メートル離れた通常のイネと交雑を起こすことが確認され、距離は隔離の条件にならないことが明らかになりました。鳴子では600メートル以内に農家がおり稲作を行っています。遺伝子汚染が起きてからでは、手遅れとなります。

 私たちは、東北の豊かな自然を守り、これからも安全で安心できる米を作り、食べ続けることができるよう、貴大学での遺伝子組み換えイネの栽培実験の中止を求めるとともに、今後、貴大学で遺伝子組み換え作物の野外実験を行わないよう求めます。

以上


特定非営利活動法人日本消費者連盟
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
大地を守る会



さわのはな生産者からのメッセージ

無農薬・無化学肥料の「さわのはな」を作っているお百姓さんたちのメッセージです。2010年4月15日





【 今田 多一 】

私の集落では年2回、3月と11月に総会がある。村の運営経費・決算報告が主な議題である。終了後、各隣組長宅で一杯飲むのが習慣。

この3月、飲んでい る中、民主党農政の目玉といわれている戸別補償制度(15000円/10a)の話題になった。昨年まであった“産地づくり交付金”がなくなるし、団地化加 算もなくなるのかと!

それぞれもっている情報を酔いの回る中で喋り始める。各々トラの皮の胸算用で試算してみるが、水田総面積の多くない農家には金銭的に大した事がない、ということに話が落ちついた。

最後に、「いつの時代の権力者も百姓に良い思いをさせるわけがない」となり、また皆で飲み始めた。


【 吉野 昭男 】

今日は、ハウスの排水路の土上げをしていると、頭の上で鳥が鳴いて行く。
白鳥が山形になり北の方に向って行った。
家に帰ってくるとツバメが家の回りを飛び 忙しい。自然であって、草も木も当たりまえなのに、あすは雪だとテレビで言っているが、今年は農業にとっても、良い天気であってほしいです。


【 笹 輝美 】

「3月中に雪はなくなってしまうだろう」皆そう思っていたら、彼岸前から低温が続き雪解けは大幅に遅れ、大雪の年のようになってしまった。そして今日14 日は季節外れの猛吹雪である。旧暦では今日はまだ3月1日とのこと。ならばこのような天気も頷ける気がする。旧暦は農耕上では忘れてならないものかも知れ ない。そんな訳で育苗用のパイプハウスもまだ建てることができず播種の目途は立っていません。

これから山菜、野草の時期となりますが、春野菜も含めてそれらは総じてビタミン、ミネラルが豊富で冬の間、人間が不足していた分を補ってくれ、夏野菜は 体を冷やす働きをしてくれると言い、秋野菜は冬に備えデンプンが多く含まれ、大根さえも体を温めてくれると言い、季節と人間の体もまた切り離すことはでき ないものであることを強く感じさせられる。


【 遠藤 敏信 】

三原さんも書いているが、井上ひさしさんが亡くなったことを惜しむ。日本の良心を代表する一人だったと思う。「ひょっこりひょうたん島」の頃は中学 生だったっけ。「吉里吉里人」が出たときは俺もその気になった。農業への関心も深く農業講座を行い、「生活者大学校」を開設し、日本の農と食(米)文化を 論じた。また、「九条の会」を立ち上げ平和憲法遵守の論陣を張った。農縁新庄の生産者もその会員である。

新庄には熱烈な井上ファンがいる。先年、広島の被爆をモチーフにした「父と暮らせば」の“こまつ座”公演があったばかりなのに、去年8 月、地元の人間だけで、再舞台化したのは記憶に新しい。また、3/27、魯迅と彼を支えた日本人を戯曲化した「シャンハイムーン」の公演は大入りだった。 「重いテーマを巧みな言葉と笑いで包む井上舞台は深く、すばらしい。」という会話が交わされたばかりである。(合掌)

2010年4月3日土曜日

遺伝子組み換え食品の危険性示される

TEXT:天笠啓祐



(写真・天笠啓祐氏)


米国環境医学会がGM食品の停止を求める

 米国環境医学会(AAEM)が、遺伝子組み換え(GM)食品の即時のモラトリアムを求めた。5月19日に発表された、そのメッセージは次のようなものである。

 「米国環境医学会は本日、GM食品に関するポジション・ペーパーを発表した。それは 「GM食品が深刻な健康被害をもたらす」ため、そのモラトリアム( 一時停止) を求めたものである。いくつかの動物実験が示しているものは「GM食品と健康被害との間に、偶然を超えた関連性を示しており」「GM食品は、毒性学的、アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康、代謝、生理学的、そして遺伝学的な健康分野で、深刻な健康への脅威の原因となる」と結論づけることができる。

 その上で、AAEMは次のことを求める。
GM食品のモラトリアムと即時の長期安全試験の実施、GM食品の全面表示の実行。
GM食品を避けることができるように、患者、医学界、市民を教育する医者の養成。
患者の病気の過程でGM食品の果たす役割を考慮する医者の養成。

 人々の健康問題とGM食品との関連を調査するためにデータを集め始める、独立した長期にわたる科学的研究。」(The American Academy of Environmental Medicine 2009/5/19)
AAEMは、1965年に設立された、環境問題と臨床医学を結んだ領域に取り組んでいる学会で、大気・食品・水などの汚染や生物化学兵器などが絡んだ病気を研究し、情報を提供してきた。

 では、その多数の動物実験とはどんなものなのだろうか。引用された文献は7 種類で、単行本1 冊に論文6 つである。単行本はジェフリー・スミスの「ジェネティック・ルーレット」で、論文は昨年発表されたイタリア食品研究所やウィーン大学の報告などである。ジェフリー・スミスの本では、多数の動物実験例や実例が紹介されている。そのごく一部を紹介しよう。

多数の事例


(写真・実験用ラット)

 1998年にロシア医科学アカデミー栄養学研究所が行った、遺伝子組み換え(GM)ポテトを用いた実験で、ラットに異常が起きていたことが判明した。実験に用いられたポテトは、モンサント社の殺虫性(Bt)ポテト「ニューリーフ」で、そのポテトを与えたラットの臓器や組織に損傷が生じていることが分かった。この実験結果は、8 年間隠されてきたが、ロシアのグリーンピースと消費者団体による長い法廷闘争によって、2007年にようやく公開された。

 2003年、カナダ・オンタリオ州のグエルフ大学の研究者が実施した動物実験で、GMトウモロコシを摂取した鶏が42日間の飼育で死亡率が2 倍になり、成長もバラバラになるという結果が出た。用いたトウモロコシはバイエル・クロップサイエンス社の「T25」( 除草剤耐性) である。

 モンサント社が開発したBtコーン「MON863」について、ドイツの裁判所が情報公開を命じたことから、同社が行ったラットによる動物実験の詳細が明るみに出た。それをフランスの統計専門家が再評価したところ、モンサント社は問題ないとしていたが、体重では雄が低下、雌が増加していた。また肝臓と腎臓、骨髄細胞にも悪影響が見られた。

 その他にも数多くの実例が報告されている。ニュージーランドの市民団体がまとめた報告書で、Bt綿を運ぶ労働者の皮膚が黒く変色したり、吹き出物や水膨れが生じる例が示された。インドでは、Bt綿を収穫した後の畑を利用した牧草地で、草や葉を食べた羊や山羊が死亡するケースが相次いだ。ドイツでも殺虫性トウモロコシ(Bt コーン) を飼料とした12頭の牛が死亡している。

 米国では、Btコーンを餌に用いた豚の繁殖率が激減することが報告されている。ある農家の豚の場合、約80%が妊娠しないし、この傾向は他の農家でも現れているという。Btコーンを与えると偽装妊娠が起き、やめると偽装妊娠もなくなるという。

 2004年、フィリピン・ミンダナオ島で、Btコーンを栽培している農場の近くに住む農家の間で発熱や、呼吸器疾患、皮膚障害などが広がっていることが分かり検査したところ、3 種類の抗体で異常増殖が見られ、反応が花粉の飛散時期と重なり、抗体がいずれもBtコーンにかかわることが分かった。

 以上の事例は、この本で紹介されているもののごく一部である。AAEMは、このジェフリー・スミスの本以外に6つの論文を紹介している。それらについて書かれた部分を紹介しよう。

動物実験から見る健康障害の可能性


(写真・英国王立医学協会)

 「GM食品と健康への悪い影響の間には、偶然以上の関連性がある。ヒルズ・クライテリア(1965 年に英国王立医学協会が出した環境と病気との関連性を見る際の基準) の定義に基づいて見ると、関連性の強さ、一貫性、特異性、生物学的傾向、生物学的妥当性の領域で因果関係が見て取れる。GM食品と病気との関連性、一貫性は、いくつかの動物実験で確認できる(1-7) 。

 GM食品と特定の病気の経緯との関連もまた裏付けられている。複数の動物実験(2,7) が、喘息、アレルギー、炎症に関係するサイトカインの変化を含む、免疫上重大な変調をもたらすことを示している。
 いくつかの動物実験はまた、肝臓の構造や機能の変化を示している。そこには脂質や炭水化物の代謝の変化とともに細胞質の変化も含まれており、それは老化を早め、活性酸素の増加を導くと思われる(3,4,6) 。

 さらには腎臓、膵臓、脾臓の変化も記録されている(2,4,6) 。
2008年に発表された最近のBtトウモロコシと不妊に関する研究では、マウスで有意な子孫の減少と体重の減少を示した。この研究はまた、GMトウモロコシを与えたマウスで400 を超える遺伝子に顕著な変化が起きていた(4) 。これらの遺伝子は、蛋白質の合成や細胞間の情報伝達、コレステロールの合成、インスリンの抑制を制御していることで知られている。

 ある研究では、GM飼料を用いた動物に腸の損傷が起きていた。そこには増殖性細胞の増加や腸の免疫システムの崩壊も含まれる(2) 。
生物学的傾向を見るために行った、S ・クロスボらが行った実験では、Bt米を食べたラットでBt毒素に特異に反応するIgA が見られた(7) 。」

 免疫への影響では、イタリア食品研究所のエレーナ・メンゲリらが行った研究などが引用されている。その実験で用いたGMトウモロコシは「MON810」( 殺虫性) で、マウスに30日間と90日間与え、腸、上皮、脾臓、リンパ球を調べている。その結果、30日間、90日間いずれも、対照群( 非GM飼料) に比べて、生後21日の幼いマウス、18-19 月齢の年とったマウスでT 細胞、B 細胞などの割合で有意の差が見られた。また、MON810を摂取した後に、IL-6、IL-13 などが増加していた。この結果について実験者は、同じ年齢に当たる人間への影響が懸念されるとしている(2) 。

 また、デンマーク国立食品研究所のS ・クロスボら、英国、スコットランド、中国の研究者は共同で、ラットにGM米を与えて、免疫毒性学的研究を行った。用いたGM米には、Bt毒素の一つCry1Abを作る遺伝子を導入した。また、インゲン豆のレクチン遺伝子もポジティブ・コントロールに用いた。総免疫グロブリンなどが調べられたが、Bt毒素に特異に反応するIgA が見られた(7) 。

 肝臓への影響では、イタリア・ベローナ大学のM ・マラテスタら、いくつかのイタリアの大学の研究者が共同で行った、年老いた雌のマウスでGM大豆を用いた実験がある。結果は、乳離れ以来24月齢までGM大豆を与えた集団は、対照群( 非GM大豆) に比べて、肝細胞の代謝、ストレス反応、カルシウムによる情報伝達、ミトコンドリアにかかわる蛋白質の発現で特異的な変化が見られた。また肝細胞で核とミトコンドリアの変化が、代謝の衰えとともに見られた(3) 。

 また、不妊や子孫への影響では、オーストリア政府が支援しウィーン大学獣医学教授ユルゲン・ツェンテクらが行った実験が、引用されている。この実験で用いたGMトウモロコシはモンサント社の「NK603(除草剤耐性)'とMON810( 殺虫性) 」を掛け合わせたもの。実験は長期摂取による影響を調べたもので、2 種類行われた。1 つ目は、4 世代にわたる観察試験で、外見の変化に加えて、組織学的、分子生物学的分析も行われたが、ここでは対照群に比べて有意差は出なかった。2 つ目は、継続的繁殖試験(20 週で4 回出産) で、ここでは有意の差が出た。後者の実験では、GNトウモロコシを33%含んだ飼料を与えたマウスが、対照群( 非GM飼料) に比べて、3 、4 世代目で子孫の減少と体重の減少があった(4) 。
 これらの実験で用いられたGM食品は、そのほとんどが日本では食品として承認されている。環境医学会が指摘するように、GM食品の即時流通停止を行い、安全性を全面的に見直す時期に来ているように思う。また消費者が選べるように、食品表示の抜本的な改正も必要である。

著作権 天笠啓祐 (無断転載を禁ずる)

1 、ジェフリー・スミス「Genetic Roulette」Yes Books 、2007年
2 、E ・メンゲリ( イタリア食品研究所) らのGMトウモロコシ(MON810)を用いた実験の論文、Agricultural and Food Chemistry 、2008年
3 、M ・マラテスタらのGM大豆を用いた実験の論文、Histochemistry and Cell Biology 、2008年
4 、J ・ツェンテック( ウイーン大学) らのGMトウモロコシ(NK603×MON810) を用いた実験の論文、Family and Youth、2008年
5 、A ・プシュタイ( ロウェット研究所) らのGMジャガイモを用いた実験の論文、Lancet、354
6 、A ・キリックらのBtコーンを3 世代にわたりラットに投与した実験の論文、Food Chemistry and Toxicology 、2008年
7 、S ・クロスボらのGM米を用いた実験の論文、Toxicology、2008年


※転載(天笠啓祐さんに許可をいただき転載しています。)


2010年3月7日日曜日

消費者はGM小麦にNO!

有機農業ニュースクリップ(2010.3.6)より転載

2010年2月10日、GM小麦の商業栽培に反対する日本、カナダ、米国、オーストラリアの4ヵ国の団体は、遺伝子組み換え小麦(GM小麦)の商業栽培に反する共同声明への賛同団体が26カ国、233団体に達した、と発表した。
米・加・豪3カ国の大手小麦生産者団体は2009年5月、GM小麦の商業栽培を求める共同声明を発表した。これに対し、米国、カナダ、オーストラリアの3カ国の生産者団体や消費者団体、環境団体など15団体が商業化反対の共同声明を公表し、賛同を募っていた。日本からは生協や有機農業関係団体など80団体が署名している。



・Press release, 2010-2-10
"GM Wheat rejected by 233 Consumer,
Farmer Groups in 26 Countries"
http://www.worc.org/userfiles/file/GM%20crops/GM_%20Wheat_PR_02_09_10.pdf

・プレスリリース(和文), 2010-2-10
「遺伝子組み換え小麦に対し
世界26ヵ国で233の消費者・生産者グループが拒否表明」
http://organic-newsclip.info/doc/20100210_press_release_GMwheat_statemant_ja.pdf

・署名団体リスト
http://www.worc.org/userfiles/file/GM%20crops/GM%20Wheat%20Rejection%20Signatures%20List%20Final%20Feb%209%202010.pdf

・共同声明, 2009-6-1
"Definitive Global Rejection of Genetically Engineered Wheat"
http://cban.ca/Resources/Topics/GE-Crops-and-Foods-Not-on-the-Market/Wheat/Definitive-Global-Rejection-of-Genetically-Engineered-Wheat


米国や日本で同時に発表されたプレスリリースは、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンのアンケートに答えた、日本の製粉業界団体によるGM小麦反対の立場を紹介している。製粉協会・門田正昭専務理事は、次のように明確に反対を表明している。

日本の消費者がGM農産物の人体に対する安全性および環境への影響に疑念をもっている現在の状況下では、GM小麦が含まれる、あるいは含まれているかどうかわからない小麦を原料とした小麦粉およびその製品は日本の市場では受け入れられないと考えている

また、モンサントの「勘違い」を指摘した全米家族農業同盟のデナ・ホフ氏の次の発言も紹介している。

アメリカの家族経営農家はモンサント社から小麦を守るためにあらゆることをやってきた。企業が種子も含め生命特許権をもつことは到底受け入れられない。
GM小麦は農産物や食糧供給を汚染し、有機農産物を破滅させる。
アメリカの農民はすでにGM小麦を拒否している。モンサント社は農家がいつかGM小麦を受け入れるかもしれないと思い違いをしている


この発表に先立つ2010年1月27日、米国中西部の農業生産者団体WORC(Western Organization of Resource Council)は、GM小麦の商業栽培が米国小麦産業に及ぼす影響についての分析レポートを公表した。このレポートでは、米国産小麦は約40%の価格低下を招くだろうと分析。GM小麦に慎重なEUや日本は、その供給をロシアなど旧ソ連諸国にシフトすることにより、米国のシェアと価格の低下を招くとしている。2009年シーズンの米国産小麦の世界シェァは、生産高で約10%、輸出では約20%を占めている。

・WORC, 2010-1-27
"A Review of the Potential Market Impacts of
Commercializing GM Wheat in the U.S."
http://www.worc.org/userfiles/file/GM%20crops/Review_%20of_Potential_Market_Impacts.pdf


モンサントは2004年、除草剤耐のGM小麦の商業栽培を断念した。商業化までにはまだ8年近くかかるといわれる現在の開発の狙いは、干ばつや塩分に耐性があったり、フザリウムや赤さび病などの菌類による病害に耐性のある品種とされている。レポートでも近年の品種改良の手法が、遺伝子組み換えを使わず(非GM)、化学物質よる突然変異とMAS技術(Marker Assisted Selection、DNAマーカー選抜技術)を応用した手法が注目されている、としている。

【関連記事】
・■“共同戦線”でGM小麦の復活を狙う米国小麦業界 No.505
http://organic-newsclip.info/log/2009/120505-1.html


インド・グジャラートのBtワタがワタアカミムシに効かない モンサント Bt毒に対する抵抗性発達を初めて認める

農業情報研究所(WAPIC)
10.3.6




 モンサント社が、土壌細菌・Bacillus thuringiensis (Bt).から分離されたCry1Ac遺伝子を組み込んだ第一世代殺虫性GMワタ(Bollgard-I)はワタアカミムシ(pink bollworm、ピンク綿実蛾)に効かないことを確認した。害虫のBt毒抵抗性発達をモンサント社自身が認めたのはこれが初めてだ。

 モンサントの科学者が2008年11月、インド・グジャラート州のワタ畑でワタアカミムシが異常に生き残っているのを発見した。畑から採取したサンプルをモンサントの試験所で検査、アムレーリー県、バーブナガリ県、ジューナーガル県、ラージコート県の4つの県でワタアカミムシがBtワタに対する抵抗性を発達させていることを確認したという。

 モンサント社は農民に対し、Cry1Acと Cry2Abの2つの遺伝子を組み込んだ第二世代のBtワタ・Bollgard II を勧めている。Bollgard-Iに比べて害虫の抵抗性発達が遅れるからだ。また、非GMワタを植えた害虫の「非難所」を設けることで抵抗性発達を抑える標準的慣行の忠実な実行も勧告する。

 しかし、農業科学者や活動家は、モンサントの勧告は”ばかげている”と言っている。なぜなら、Bollgard IIにはワタアカミムシと闘う毒が追加されているわけではない。抵抗性発達を引き延ばすだけだ。どのみち、ワタアカミムシは生育シーズン後期の害虫だが、Bt毒は90日間しか効かない。さらに、インドの小農民には、米国農民のように「非難所」を設ける余裕などない。

 Bt cotton ineffective against pest in parts of Gujarat, admits Monsanto,Hindu,3.6
 http://www.hindu.com/2010/03/06/stories/2010030664831400.htm
 Bollgard-I vulnerable to pink bollworm: Monsanto,Hindu Business,3.6
 http://www.thehindubusinessline.com/2010/03/06/stories/2010030654020100.htm

 特許料つきの高い種子を売り付けておいて、これはいったいどういうことだ。この発見は、承認をめぐって議論が沸騰しているBtナス(インド GMナスの商業栽培をモラトリアム 開発企業の試験は信用できない、生物多様性への長期影響も懸念,10.2.10)への逆風も強めるかもしれない。

 関連情報
 Btワタの有効性をめぐるインドの論争ー研究者とNGOの抗争,05.9.5
 インド Btワタが播種後110日で標的害虫に無効化の新研究,05.8.3
 インド:Bt毒抵抗性害虫種が増殖、GMワタ拡散に警告,03.8.16


2010年3月6日土曜日

“共同戦線”でGM小麦の復活を狙う米国小麦業界

有機農業ニュースクリップ(2008.12.24)より転載

2004年、米国やカナダのみならず日欧の消費者団体などの反対に直面したモンサントは、ラウンドアップ耐性GM小麦の商業栽培を断念した。この頓挫から5年、米国などの小麦生産業界はGM小麦の“復活”に向けて大きく舵を切っている。



2006年2月には、米国小麦協会と全国小麦生産者協会は共同して、シンジェンタ社の遺伝子組み換えフザリウム耐性小麦の推進を決議する一方、食品業界への働きかけを強めていた。

2009年5月14日、米国小麦協会など米国、カナダ、オーストラリアの小麦生産者団体は、遺伝子組み換え小麦の導入を是とする共同声明を発表した。この中で、2004年に問題となったラウンドアップ耐性のような除草剤耐性ではなく、害虫や病気、干ばつなどへの抵抗性の獲得が可能となるとしている。そして、GM技術は唯一ではないが問題解決の重要な要素であるとも評価し、GM小麦を導入しなければ、他のGM作物に農地を奪われる、と危機感を表明している。その上で、3カ国の小麦生産団体が同時にその商業化へ到達するように努力するとしている。

・共同声明, 2009-5-14
"Wheat Biotechnology Commercialization"
http://www.wheatworld.org/wp-content/uploads/biotech-trilateral-statement-20090514.pdf

これらの小麦生産団体は、5年前のモンサントの敗退の教訓とし、小麦主要生産国の“共同戦線”によって突破しようとしているかのようにも見える。消費者が選択の余地がない状況を作り出せば突破できる、とみているということだ。

この“GM小麦共同戦線”に対して6月1日、米国、カナダ、オーストラリアの3カ国の生産者団体や消費者団体、環境団体など15団体は商業化反対の共同声明を公表した。

・Statement of Australian, Canadian and US Farmer, Environmental and Consumer Organizations , 2009-6-1
http://www.cban.ca/Resources/Topics/GE-Crops-and-Foods-Not-on-the-Market/Wheat/Definitive-Global-Rejection-of-Genetically-Engineered-Wheat

おりしも6月18日、カナダ小麦局(Canadian Wheat Board)は小麦生産農家の多くがGM小麦に反対しているという意識調査を発表した。この調査は09年4月から5月にかけて1300人を対象に行われたもので、69%がGM小麦を導入すべきではないとする一方、すぐに導入するべきとしたのは9%に過ぎなかった。また、51%がGM小麦に興味がないとしている。カナダではGM小麦が歓迎されている、とは言えない。

・Canadian Wheat Board, 2009-6-18
"Farmer optimism clashes with weather fears: CWB survey"
http://www.cwb.ca/public/en/newsroom/releases/2009/061809.jsp

モンサントは2009年7月14日、北米の小麦関連研究開発会社である
WestBred社を買収し、同社の持つ小麦の遺伝資源を手に入れた。この買収に関する発表でモンサントは、明確にラウンドアップ耐性を除外し、干ばつ耐性小麦とチッソ利用率の向上に焦点を当てた開発目標をあげている。少ない水と少ない肥料で収量を上げようということである。しかしモンサントは、その新しい開発目標の商業化には8年から10年かかると見込んでいる。

・Monsanto , 2009-7-14
"Monsanto Company Invests in Developing New Technologies
for Wheat With Acquisition of WestBred Business"
http://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=727

6月に始まった反GM小麦の共同声明には、7月で13カ国91団体が署名している。日本からはほとんど反応がなかったようである。

日本の普通小麦の輸入量は約550万トンで、約360万トン(65.6%)を米国から輸入している。(2008年、貿易統計)

米国      3,603,277[t]  65.6%
カナダ      965,058 17.6%
オーストラリア  924,661 16.8%
フランス      3,509  0.1%
---------------------------------------
合 計     5,496,505[t]


米国がGM小麦の商業化に踏み切れば、“GM小麦共同戦線”のカナダやオーストラリアも歩調を合わせて商業栽培に踏み切る可能性が大きい。その場合、これら3カ国からの輸入小麦に依存している日本の消費者が大きな影響を受ける。

2004年には、カナダなどの小麦生産者と、その小麦を輸入する日欧の消費者の“共闘”による反撃が功を奏し、モンサントはGM小麦の商業栽培から撤退した。現在、カナダでは多くの生産農家が反対している。米国でもワシントン州の生産農家が商業財倍への反対運動を始めている。彼らは、小麦生産量の85%を輸出しているワシントン州の最大輸出先が日本であり、GM小麦の商業化によりその市場を失うことを恐れている。しかし、「日本はGM小麦に反対しているが、GM菜種は受け入れた」とワシントン州小麦委員会の代表は語っている。世界的な需給の逆転が生産者優位の状況に、日本の消費者はその足元を見られているといってもよいだろう。

・Capital Press, 2009-12-19
"Trio fights GMO wheat"
http://www.capitalpress.com/washington/djw-GMOwheat-121809

2010年2月13日土曜日

ビデオ:有機農業の歩み

全国有機農業推進協議会(全有協)が、有機農業の歴史を紹介するビデオ(約13分)を動画としてサイトに載せています。
有機農業の流れをコンパクトにイメージすることが出来ます。

ビデオ:有機農業の歩み