農業情報研究所(WAPIC)
10.3.6
モンサント社が、土壌細菌・Bacillus thuringiensis (Bt).から分離されたCry1Ac遺伝子を組み込んだ第一世代殺虫性GMワタ(Bollgard-I)はワタアカミムシ(pink bollworm、ピンク綿実蛾)に効かないことを確認した。害虫のBt毒抵抗性発達をモンサント社自身が認めたのはこれが初めてだ。
モンサントの科学者が2008年11月、インド・グジャラート州のワタ畑でワタアカミムシが異常に生き残っているのを発見した。畑から採取したサンプルをモンサントの試験所で検査、アムレーリー県、バーブナガリ県、ジューナーガル県、ラージコート県の4つの県でワタアカミムシがBtワタに対する抵抗性を発達させていることを確認したという。
モンサント社は農民に対し、Cry1Acと Cry2Abの2つの遺伝子を組み込んだ第二世代のBtワタ・Bollgard II を勧めている。Bollgard-Iに比べて害虫の抵抗性発達が遅れるからだ。また、非GMワタを植えた害虫の「非難所」を設けることで抵抗性発達を抑える標準的慣行の忠実な実行も勧告する。
しかし、農業科学者や活動家は、モンサントの勧告は”ばかげている”と言っている。なぜなら、Bollgard IIにはワタアカミムシと闘う毒が追加されているわけではない。抵抗性発達を引き延ばすだけだ。どのみち、ワタアカミムシは生育シーズン後期の害虫だが、Bt毒は90日間しか効かない。さらに、インドの小農民には、米国農民のように「非難所」を設ける余裕などない。
Bt cotton ineffective against pest in parts of Gujarat, admits Monsanto,Hindu,3.6
http://www.hindu.com/2010/03/06/stories/2010030664831400.htm
Bollgard-I vulnerable to pink bollworm: Monsanto,Hindu Business,3.6
http://www.thehindubusinessline.com/2010/03/06/stories/2010030654020100.htm
特許料つきの高い種子を売り付けておいて、これはいったいどういうことだ。この発見は、承認をめぐって議論が沸騰しているBtナス(インド GMナスの商業栽培をモラトリアム 開発企業の試験は信用できない、生物多様性への長期影響も懸念,10.2.10)への逆風も強めるかもしれない。
関連情報
Btワタの有効性をめぐるインドの論争ー研究者とNGOの抗争,05.9.5
インド Btワタが播種後110日で標的害虫に無効化の新研究,05.8.3
インド:Bt毒抵抗性害虫種が増殖、GMワタ拡散に警告,03.8.16
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