2009年5月10日日曜日

インフルエンザA型:農工業のインフルエンザ!―問われる農工業モデル―

インフルエンザに関してAttacフランスと農民連盟が出した声明(翻訳:Attac Japan星野さん)が出されています。問題の本質を突いた声明だと思います。(田中正治)
(以下、Attacフランス、農民連盟より転載)

原文:http://www.france.attac.org/spip.php?article9914



インフルエンザA型:農工業のインフルエンザ!
2009年5月6日
Attacフランス、農民連盟

問われる農工業モデル

インフルエンザA(H1N1)型という名称によって着手される取組みは、過熱する報道の中で、このウイルスの出現と拡大の真の原因を覆い隠すおそれがある。それにもかかわらず、しだいに多くのNGO、研究者、北米のジャーナリスト、そしてメキシコの住民の証言が、多国籍企業によって主導され、新自由主義的グローバリゼーションによってもたらされた農工業モデルを問題にしつつある。

ウイルスの正確な起源に関する確証はないが、ヒト型、鳥型、豚型の混合とされている。しかし、あらゆることから、ウイルスの伝播は農工業と深く結びついていると考えられる。何年も前から多くの科学者が、畜産の工業化や非常に集約的な畜産によってウイルスの伝播や再結合が助長されることを警告してきた[1]。

重大な手がかりとして、豚肉の生産・加工で世界最大規模の多国籍企業、スミスフィールド・フーズ社が挙げられている。同社はメキシコのラ・グロリアという町にグランハス・キャロルという子会社を持っている。数カ月前から、住民は呼吸器官の病気や変死が発生していることを訴えてきたが、これらはすぐに、この多国籍企業の凄まじい衛生状態(たとえば、屋外に放置された豚の腐った死骸)と関連づけられた[2]。まさにこの地で、国内初の豚インフルエンザの事例が確認されたのだった。

メキシコ当局は明らかに問題をもみ消そうとした。それにもかかわらず、スミスフィールド・フーズ社はすでに、公衆衛生を危険にさらすその畜産慣行の犠牲者である住民によって告発されている。しかし、農産物加工に携わる他の多国籍企業の場合と同様に、当局の無能力や放任のおかげで、自由な投資の法則が幅を利かせることになったのである。

もうひとつの潜在的な発生地は、ノースカロライナ州で米国人研究者らによって特定される可能性がある。同州は、養豚業の集約化と工業化が国内で最も進んでいるからである[3]。また他の発生地が特定される可能性もある。

重要なのは、少数の多国籍企業の畜産の過度な工業化が公衆衛生にもたらす大きな危険を注視することである。このような工業化は、非常に多くの研究者や機関の警告にもかかわらずおこなわれてきた。この40年間で、米国の1畜産農場あたりの豚の平均数は50頭から1,000頭に増加した。スミスフィールド・フーズ社の畜産では、巨大な飼育場にそれぞれ数万ないし数十万頭の豚が集約的に閉じ込められる。そこは糞便の池と化しており、汚染をもたらす大量の排泄物と、耐性を高める抗生物質にまみれているのだ。農民や家族による牧畜とはまったくかけ離れているのである。

根本的な原因:自由貿易と多国籍企業による独占支配今回のインフルエンザが最初にメキシコと北米で特定されたことは、明らかに偶然ではない。1994年に米国、カナダ、メキシコの間で締結されたNAFTA(北米自由貿易協定)によって自由貿易圏が創設され、特に予防原則を無視して自由市場が定着したのである。保護される可能性を失ったメキシコの農業は、超低価格の大量の農作物によって壊滅させられたのだ。米国の農産物加工の多国籍企業は、米国で課される規制を逃れるためにメキシコに大量に投資し、大挙して根を下ろすことができた。

さらに、メキシコは1980年代以降、IMFと世界銀行の構造調整計画に従っていることも忘れてはならない。これらの計画は、とりわけ国内向けの食糧生産や家族農業を犠牲にして、農業を輸出志向にしむけるものである。その条件は、環境・社会・公衆衛生に関する規制のない、工業化され、汚染を引き起こすような農業へと向かう偏流をもたらすものであった。

また、このインフルエンザの拡大によって、防止システム、とりわけ世界保健機関のシステム、および北米の公衆衛生システムがうまく機能しないことも明らかになった。これらのシステムは民営化され、財源が乏しく、適切に調整された迅速な対応が取れないのである。さらに、南の国々は、ロッシュ社のタミフルと同様に不可欠な抗ウイルス剤をジェネリック薬品として公然と生産しようとしたが、製薬業界は、この動きを阻止するためにあらゆる手を尽くした[4]。

鳥インフルエンザの場合と同様に、根本的な原因は自由貿易と多国籍企業による独占支配にある。緊急に、ウイルスの起源、特に北米における畜産の工業化と公衆衛生システムの破綻がもたらす影響について独自に評価をおこなう必要がある。これは容易なことではないだろう。鳥インフルエンザの場合と同様に、養豚業界は、あらゆる手段を使って調査を妨げる可能性が高いからである。

より長期的には、農工業モデルおよびそれをもたらした自由貿易協定と市場の自由化を再び問題にしなければならない。世界貿易は、食糧主権そして各人が自らの農業を特に多国籍企業から守る権利において、連帯的かつ協調的なものとならなければならない[5]。さもなければ、公衆衛生に関わるさらに甚大な惨事を覚悟しなければならない。

Attacフランス
農民連盟

2009年5月6日

原注

[1]NGO「Grain」のウェブサイトを参照(http://www.grain.org/article/?id=50);Bernice Wuethrich、「気まぐれな豚インフルエンザの追跡」、『サイエンス』誌、2003年第299巻;「専門家パネルは工業的畜産が公衆衛生に及ぼす深刻な脅威を強調」も参照。これは、2008年11月に議会においてなされた、集約的養豚がもたらす衛生上の大きな危険に関する専門家パネルの警鐘に言及している(http://www.pewtrust.org/news_room)。

[2]特にメキシコの日刊紙『ラ・ホルナダ』による。この地域では鶏の集約的・工業的な畜産も多数おこなわれており、最近、鳥インフルエンザが猛威をふるった。ウイルスの再結合の発生源という可能性もある。

[3]「米国動物愛護協会」の公衆衛生・畜産局長Michael Gregerの論文(http://sheepdrove.wordpress.com/200)。同様に、2004年の「フランス獣医学会会報」には次のように述べられている。「2000年代初頭から、フランスにおける豚のインフルエンザは、第一に、豚の密度がもっとも高いブルターニュ地方の畜産と関係している。これは同地域の畜産に大きな経済的影響を与えている。このインフルエンザの活動は、鳥起源(A/H1N1)または遺伝子再集合体(A/H1N2)のA/H型ウイルスの仕業である。インフルエンザウイルスは不安定なため、疫学的監視を有効におこなうためには検出手段を定期的に調整する必要がある。」

[4]http://www.guardian.co.uk/comments

[5]このテーマに関して、Attacヨーロッパ/ビア・カンペシーナ・ヨーロッパ共編『食糧主権:欧州は何をしているか?』(Paris, Syllepse,2009)が近刊予定である。


2009年5月3日日曜日

OIE 現在広がる豚インフルエンザの”北米インフルエンザ”への改名を提案

農業情報研究所(WAPIC)
09.4.29


 国際獣疫事務局(OIE)が28日、メキシコと米国に発して現在世界中に広がりつつあるインフルエンザを”豚インフルエンザ”と呼ぶのは不正確とし、”北米インフルエンザ”と呼ぶべきと提案した。



 OIE position on safety of international trade of pigs and products of pig origin(OIE Press Release),09.4.28
  http://www.oie.int/eng/press/en_090428.htm


 貿易最優先のOIEらしく、豚インフルエンザの呼び名が豚と豚由来製品の貿易に悪影響を及ぼすことを恐れたのが何よりの動機だが、現在広がっているウィルスは、人間・鳥・豚起源の遺伝的コンポーネントを含むもので注1)、”豚インフルエンザ”と呼ぶのは不正確、過去に起きたアジアのインフルエンザ、スペインのインフルエンザの発生のときに使用されたのと同様な命名法にならい、”北米インフルエンザ”と呼ぶことを提案する。


 そして、現在までに利用できる情報では、現在米国とメキシコで起きているインフルエンザの発生に先立つ豚インフルエンザの発生はなかった。人間の感染者が発見された地域内で感染動物が確認されていないのだから注2)、豚や豚製品の国際貿易措置を導入する必要はないし注3)、豚肉製品の消費者に感染リスクがあると考えることもないという。  




 人間と豚と鳥のインフルエンザウィルスを世界のすべての場所から寄せ集めた複雑怪奇な新型ウィルス、巨大養豚・養鶏工場が集積する北米でなければこのようなウィルスは誕生しなかったかもしれない。その意味では、確かに北米インフルエンザの名がふさわしい。(タイは既にメキシコインフルエンザと呼んでいるそうである)


 Swine flu: Is intensive farming to blame?,Guardian,4.28
 http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/apr/28/swine-flu-intensive-farming-caroline-lucas


  ただし、それが豚の監視の軽視につながるようなことがあってはならない。豚への感染は、鳥インフルエンザが人間から人間に移る型、つまり新型インフルエンザに変身するための最も有力な経路をなす。現に、神戸大学感染症センターは、インドネシアの4州で調査した402頭の豚のなかの1割を超える52頭の豚からH5N1鳥インフルエンザウィルスを検出した。52頭の豚から検出されたH5N1ウイルスを詳しく調べると、人への感染力を一部獲得したタイプが1株見つかったという。


 インドネシア豚から鳥インフル、体内で変化「新型」の恐れ YOMIURI ONLINE  4.29
  
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090429-OYT1T00073.htm


   強毒で知られるH5N1鳥インフルエンザの新型インフルエンザへの変身も近いのかもしれない。豚の監視は一層強める必要がある。 


 注1)このウィルスは、1998年に初めて同定された人間・豚・鳥インフルエンザウィルスを寄せ集めた既存のウィルスがユーラシアからの新たな二つのH3N2豚ウィルス遺伝子―それら自体は最近の人間起源―と結合した豚H1N1株という。


 Swine flu outbreak sweeps the globe,Nature News,4.27

 http://www.nature.com/news/2009/090427/full/news.2009.408.html


 注2)3000村民の6割が感染、2月以来死者も出ているメキシコ南東部・ベラクルス州ラグロリア村村民がこのインフルエンザの発生源ではないかと疑う養豚工場を関連会社に持つ世界最大の養豚・豚肉加工企業・スミスフィールドは、メキシコのジョイントベンチャーの豚や労働者に豚インフルエンザの症候は見られなかったと発表している。


 Smithfield Foods Says It Found No Evidence of Swine Influenza at Its Mexican
Joint Ventures,09.4.26
 http://investors.smithfieldfoods.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=379761

 なお当該村民に関する情報は、
 Four-year-old could hold key in search for source of swine flu
outbreak,Guardian,4.28
 http://www.guardian.co.uk/world/2009/apr/27/swine-flu-search-outbreak-source

 Mexico outbreak traced to 'manure lagoons' at pig farm,Times,4.28

 
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6182789.ece


 注3)中国、ロシア、ウクライナは、メキシコ、米国の一部からの豚肉輸入を禁止した。



2009年4月23日木曜日

ドイツ モンサントのGMトウモロコシ・MON810の栽培を禁止 蝶やテントウムシに悪影響


農業情報研究所(WAPIC)

09.3.15


  4月14日、オーストリア、フランス、ギリシャ、ルクセンブルグに続き、ドイツがモンサント社の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・MON810の栽培を禁止した。MON810はEUで商業栽培が許された唯一のGM作物で、ドイツでは2008年に4000㌶で栽培され、2009年については3700㌶での栽培が許可されている。


 禁止の理由については、農相が環境への悪影響と説明している。特に、3月末にルクセンブルグを同様な決定に導いた二つの新たな研究で示された蝶やテントウムシなど標的害虫以外の生物への影響を挙げたという。



 A son tour, l'Allemagne
suspend le maïs transgénique de Monsanto
,Le Monde,4.14

 http://www.lemonde.fr/planete/article/2009/04/14/a-son-tour-l-allemagne-suspend-le-mais-transgenique-de-monsanto_1180614_3244.html#ens_id=1176302

  Germany bans GM maize,Nature News,4.14

 
http://www.nature.com/news/2009/090414/full/news.2009.364.html


 'There Was No Reason to Accept The Risks of GM Corn',Spiegel
International,4.15
 http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,619166,00.html


 Germany Bans Cultivation of GM Corn,Spiegel
Internatinal,4.14
 http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,618913,00.html


 Germany to ban cultivation of GMO maize: Minister,Reuters,4.14
 http://www.reuters.com/article/scienceNews/idUSTRE53D2CV20090414?sp=true



2009年4月22日水曜日

農水省 漸く蜜蜂不足の調査へ 蜜蜂保護の視点が欠如


農業情報研究所(WAPIC)

09.4.4


 4月3日の閣議後記者会見で、「ミツバチの不足の問題をどういうふうに認識されていて、また、今後どういう対応、作業等をしているのか」と問われた石破農林水産大臣が、「日本全国どういう状況にあるか、各都道府県において、どこがどういう状況なのかということを、正確に、詳細に把握をしたいということで、早急にその状況を取りまとめるように、という指示を出したところであります」と答えた。


 http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/090403.html


 欧米でも日本でも、大量死や巣ごとの失踪(蜂群崩壊症候群=CCD)などによる固体群激減という蜜蜂異変が報じられるようになって久しい。無反応だった農水省も、生産者の訴えで漸く動き出さざるをえなくなったようだ。ただ、大臣の関心は、専ら、蜜蜂不足に苦しむ生産者のための蜜蜂調達策にあるようだ。蜜蜂の保護策については、まったく話がない。これでは、食料どころか、蜜蜂までも輸入頼みということになりかねない。


 大臣もいうとおり、「何でこんなことになったのだということは、いろいろ、低栄養であるとか、ストレスがあるとか、農薬とか、寄生虫とか、その他の病気とか、いろいろあるわけで、まだ原因特定には至っていない」。だからといって、蜜蜂保護策は後回しでいい、あるいはそうするほかないということにはならないはずだ。


 少なくとも、一部の大量死に、抵抗性発達や安全性問題から使用が制限されるようになった有機りん系やカーバメート系殺虫剤に代わって使用が近年増えているネオニコチノイド系殺虫剤が関係していることは、ほぼ確かである。ドイツでも、日本でも、大量死した蜜蜂から、その有効成分であるクロチアジニンが検出されている。このような殺虫剤の使用制限は、直ちに実行可能な蜜蜂保護策になるだろう。


 低栄養やストレスの原因と考えられる農業方法そのもの(モノカルチャー化、ハウス栽培)についても、疑いがある以上、改善の方向を探るべきだろう。CCDについては、日本では報告がないようだが、状況の把握もこれからというのでは、恐らく漏れているだけだろう。CCDに関しては、携帯基地局が発する電磁波で蜂が帰巣できなくなったというLandau
University(ドイツの) の Jochen Kuhn博士の研究もある。


 Are mobile phones wiping out our bees?,The Independent,07.4.15

 http://www.independent.co.uk/environment/nature/are-mobile-phones-wiping-out-our-bees-444768.html


  英国環境食料農村省(Defra)とウエールズ行政庁は先月はじめ、イングランドとウエールズの蜜蜂の健康を保護し、改善する「ヘルシー・ビーズ(Healthy
Bees)」10ヵ年計画を発表した。


 DefraのNews Releaseは次のように言う。


 Jane Kennedy launches plan to halt declining bee numbers,Defra,3.9

 http://www.defra.gov.uk/news/2009/090309a.htm


 計画は養蜂団体と協議して策定されたもので、有効な生物安全保障措置を確保する養蜂家の支援によって蜜蜂個体群(数)を維持することを目指す。.計画の第一段階では、蜂の健康問題についてナショナル・ビー・ユニット(NBU)に知らせる必要性があると啓発し、蜜蜂データベース(BeeBase,)への登録を促すために、恐らくは2万人にのぼるアマチュア養蜂家を確認し、彼らとの接触を試みる。これは、新たな、あるいは既存のあらゆる健康問題の確認に役立つ。


 過去2年、蜜蜂の数は10〜15%の減少を記録した。NBUと接触のない多くの養蜂家がいるから、実際にはもっと大きく減少している可能性がある。それが多種の病気や環境の脅威に曝されており、これらの脅威のあるものは、過去5年から10年の間に大きく増加した。


 計画は、養蜂家個人、養蜂家団体、その他の関係者が共同、次の5つの主要な目標の達成を目指す。


 1.害虫、病気、その他の危害を可能なかぎり低レベルに抑えること。


 2.害虫と病気のリスクを最小限にし・蜜蜂集団の維持に貢献する適正養蜂基準の促進―予防は治療に勝る。


 3.害虫、病気、望ましからざる種からのリスクを最小限にする有効な生物安全保障の奨励。


 4.健全な科学が蜂の保健政策とその実施を支えるように保証すること。


 5.蜂の健康に関してすべての人が協力すること。


 
日本の石破農林水産大臣は、「原因は特定をしなければいけないということがある。それは、今日、明日にすぐできるわけではございません」と言うが、原因は特定できなくても、「予防原則」に基づいてなすべき措置はいくらでもあるはずだ。もしそれができないというなら、生産者保護の観点ばかりが優先され、蜜蜂保護の観点がないがしろにされているからではないか。それは、結局は生産者をさらに苦しめることになるだろう。なにもかも英国に倣う必要はない。しかし、蜜蜂保護を重視する姿勢だけは、しっかりと学ぶ必要がある。




2009年3月31日火曜日

3月28日アサンテサーナCafeイベントReport

田中正治



アサンテサーナCafeは、僕の印象では、レストラン・Cafe+第三世界・フェアトレード+インフォメーションショップが渾然一体となっているくつろげる空間だ。

ネットワーク農縁のお米”さわのはな”を使っていただいているご縁で、食と農のトークをやろうというおはなしをいただいた。

新庄の農家・高橋保広さんの米作りの話というか、稲と向き合っている彼の魂の部分を
引き出そうという企画だ。8月の朝、風のない田んぼで、艶かしい臭いを発散する稲の花は、気温が17度になると、朝露に乗って、おしべはめしべのもとに滑り込んで行く。
受粉だ。一個の意思を持つかのような生命の神秘とも思える営みをしているという。

35名で満員の会場からいろんな質問をいただいた。昨今の農と職への関心の強さを感じた一日だった。
参加された皆さん、アサンテサーナCafeのスタッフの皆さん、充実した時間を持てることが出来、ありがとうございました。





アサンテサーナカフェ

2009年3月12日木曜日

安房ルネッサンス・佐藤竹栄(竹栄接骨院)REPORT

田中正治


竹栄さんと初めてあったのは、1992年藤本敏夫氏が参議院選挙に出馬した時だった。若くして藤本の”秘書”をしている有能な人という印象だった。
彼は鴨川に15年居を構え、現在、柔道整復師として信頼を得ている。安房マネー会員でもある。僕も2008年末に”ギックリ腰”をやったとき治療をしてもらい、1回で快方した。
数年前には「未来たち学校」のコーディネイターとして活躍した。



田―藤本選挙には、どうして係わったのですか?

竹―1991年頃、東京で藤本氏と一緒に、東洋医学を取り入れた”BODY トリートメント”の事業を立ち上げようという話があったのです。でも、バブル崩壊で資金が集まらず、取りやめになった後、藤本氏は”参議院選挙に出馬するぞ”と宣言したのです。
行きがかり上、秘書をやってしまったのですよ。

田―藤本氏と出会ったきっかけは?

竹―1985年(20歳の頃)、仙台に藤本氏をよび講演を依頼したのです。講演の夜、川原での打ち上げの時、藤本氏の隣に座ってしまったのです。それが”運のつき”で
した(笑)。彼は熱つぽく里山の多目的利用空間の話をし、その中での医療の役割をいいました。”医療者は農村で生活しなければならない”と。僕は、里山の多目的利用空間での医療の話に興味を持ったのです。当時既に「柔道整復師」の資格をお持っていましたので。

そこで1986年の1年間、鴨川で暮らしてみることにしました。実験的に。おもしろかった。じいちゃん達に竹細工やきのこ狩りを教えてもらったりして。その体験がその後の出発点になったようです。

田―その後、どうされたのですか?

竹―1987年から4年間、仙台で超ハードな「柔道整復師」のインターンの修行したのですが、1992年、藤本氏に呼ばれて参議院選挙を手伝うことになったのです。

田―藤本選挙は、15万票で当選圏には全く届かなかったですよね。僕は、選挙を戦った仲間と一緒に「オゾン層保護プロジェクト」という環境団体を立ち上げ、けっこうユニークな活動をして楽しんだのですが、竹栄さんは、どうされたのですか?

竹―仙台へ帰り、その後1年間、アジアへ旅に出ました。ベトナム、タイ、パキスタン、インドネシア、ネパールと。そのご、再び鴨川へ行き、1994年、「柔道整復師」として「竹栄接骨院」を開設したのです。

田―実際の治療方法は”操体法”ですよね。どうして”操体法”なんです?

竹―仙台に”操体法”の治療院「温古堂」があり、橋本敬三先生(創始者)がご健在な頃、学生時代なのですが、フリーの見学や研修に行っていたのです。橋本敬三先生はとてもオープンな方で、そこで学んで自由に”操体法”を広げていったらいいよ、というスタンスだったんです。

柔道整復師のインターン時代は、50~60人の治療をしていて、量をこなすことが求められていたので、その反動として質を求めて”操体法”に転換したのです。

”操体法”をメインにした理由は、患者さんのリスクが少ないことです。痛くない方に動かす、気持ちの良い方に動かすですからね。また、部分でなく全体的治療ですから、直りが早い。さらに内科的疾患かどうか見分けやすいのです。

田―患者さんは毎日何人くらいみているのですか?安房マネーも使えるんですよね?

竹―開設した当初は1日、1~2人でしたが、現在は毎日10人くらいですね。力が要らないので、あまり疲れませんが。
安房マネーは治療費の30%受け入れています。毎月1~2人の安房マネー会員が治療にみえていますね。

田―どういった患者さんが多いですか?

竹―捻挫、首、肩、ひざの痛みで、看護系、福祉系、農業系が多いようです。

田―「未来たち学校」のコーディネイターとして活躍されましたが、今どういう印象を持っていますか?

竹―水、海、化学物質、廃棄物、森林などをテーマにしてやったのですが、自分たちの勉強としてはとてもよかった。地域の人もたくさん来て、環境に興味を持ってくれたのですが、何かをやろうということにはならなかったですね。

田―もう一度「未来たち学校」をやろうとおもいます?

竹―再度やるとしたら、主旨を変え、具体的な計画を実施するための環境学習なら良いかもしれないですね。

田―2004年に「竹榮の鴨川エコCity構想」を発表しましたよね。そのポイントは?


竹―鴨川にとって環境が、観光の問題であり、産業ブランド育成につらなるということです。リンクしています。鴨川の海がきれいということが、鴨川の野菜がうまいということとつながっていなくてはいけないのです。

田―現在、鴨川の最重要な問題は何でしょうか?

竹―資本主義は崩壊しはじめています。次の質を求めているのです。物と投資が分離しパンク状態にあります。新しい質とは物と金がくっついていることです。例えばフェアトレードやNPO や中小企業製造業のように。

具体的には、エネルギーの形を変えることです。石油エネルギー型ではなく、どこでもエネルギーを作れるようにする。太陽光発電、小型水力発電、バイオマスエネルギー、海水温度差発電、風力発電。大企業がものを作り輸出する形ではなく、中小企業がネットワークでこうしたエネルギー技術を広げ、大企業並みに機能させ、地域の中で消費して行くのです。電気自動車も町工場が作り、キャパシタでの蓄電も利用していく。こうした地域エネルギー自給、中小企業の時代を前提にして、地域を構想していくことです。

田―そこから鴨川を構想すると?

竹―まずエネルギー自給からはじめ、環境にリンクさせ、観光事業にリンクさせ、産業にリンクさせていくことです。

田―福祉については?

竹―医療施設は亀田病院はじめ充実しているのですが、介護が必要になる前の福祉、つまり予防福祉が足りないのです。家にこもっている人が自由に外出できるようなシステムが必要です。コミュニティーバスではなく、コミュニティータクシーです。玄関まで来てくれると外出しやすくなるでしょう。

公共施設が住民のいろんなニーズに応えようとしても応えきれないでしょう。行きたい人が行きたいところへいけるようにすることです。それにはコミュニティータクシーの仕組みを作りそれに助成し、安く利用できるようにすることです。

誰もがデイサービスを利用すればデイサービスはパンクします。

所得に対する税負担を30%くらいにして、高福祉・高負担システムが必要です。医療費、介護費、生活費保証をするのです。その場合ネックは銀行や保険会社です。生活不安から人々の貯蓄率が非常に高いですよね。このことで銀行や保険会社は儲かっているのです。生活保障すれば銀行や保険会社に頼らなくなるでしょう。

田―座右の銘はなんですか?

竹―「判断したことに責任がもてますか」。患者さんのリスクを減らすことがモットーです。

田―ありがとうございました。

2009年3月1日日曜日

バイテク企業がGM作物の独立研究を阻む 26人の害虫専門家がEPAに直訴

農業情報研究所(WAPIC)
09.2.21

ニューヨーク・タイムズ紙によると、26人のトウモロコシ害虫専門研究者が、遺伝子組み換え(GM)作物の有効性と環境影響の完全な研究をバイテク企業が阻んでいる、「多くの決定的に重要な問題に関するいかなる独立研究も、合法的に行えない」と書いた声明を環境保護庁(EPA)に提出したそうである。

 研究者の多くは、企業からの研究費削減を恐れて名前を明らかにしなかったが、何人かは名前を公表した上でのインタビューに応じたという。

 研究者たちは、問題は、農業者やその他のGM種子のバイヤーは、栽培者が企業の特許と環境規制を尊重しなければならないとする協定に調印しなければならず、この協定が研究目的で作物を栽培することを禁じていることだと指摘する。

 従って、大学研究者は、研究目的で農薬や非組み換え種子を自由に購入できるが、GM種子についてはこれができない。その代わりに、種子企業から許可を得なければならない。企業はときにはこの許可が拒否する。あるいはいかなる発見も、公表前に[企業が]審査すると言い張る。このような協定はずっと前から問題になっていたが、もはや堪忍袋の緒がきれたと、公表に踏みきったというのである。

 研究者は、技術そのものには反対していない。企業の研究締め付けは、作物の最善の栽培方法に関する農業者への情報を供給できないことを意味すると主張する。また、政府規制者に供給されるデータも”不当に制限されている”。コーネル大学のElson
J. Shields昆虫学教授は、企業が「データ、EPAに提出される情報をロンダリングする可能性がある」と言う。

 EPAの科学諮問委員会は来週、害虫が害虫抵抗性トウモロコシに対する耐性を持つようになるのを防ぐために農民が設けねばならない避難地(GM品種作付地中に設けるべき非GM品種の作付地)の面積を減らす新たな方法についてのパイオニア・ハイブレッド社の許可申請を審査する。

 パーデュー大学のChristian Krupke助教授は、外部の科学者はパイオニアの戦略を研究できなかったから、あり得る問題(欠点)がきっちりと評価されたとは思わないと言う。彼は、声明起草者の一人だが、声明にサインしたかどうかは明かさなかった。

 コーネル大学のShields教授は、農業研究への資金供給が公的部門から民間部門にシフトしてきた、これは多くの大学科学者が大種子企業からの資金や技術協力に依存することを意味すると指摘する。みんなブラックリストに載せられるのを恐れている、「トウモロコシ害虫の研究が我々の唯一の仕事だとしたら、最新のトウモロコシ品種が必要だが、企業がそれを与えないと決めたら、我々は仕事ができない」と言う。

 Crop Scientists Say
Biotechnology Seed Companies Are Thwarting Research
,The New York
Times,2.20
 http://www.nytimes.com/2009/02/20/business/20crop.html?_r=1&ref=business 


 わが国でも多くのGM作物が承認されてきたが、こんな怪しげなデータと情報に基づいて承認されたということだ。