2014年11月8日土曜日

【遺伝子組み換え】米国住民投票:一部で栽培禁止条例成立するもGM表示は僅差で敗退

【転載】
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               有機農業ニュースクリップ

                 2014.11.07
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≪ 遺伝子組み換え ≫
■米国住民投票:一部で栽培禁止条例成立するもGM表示は僅差で敗退

  オバマ民主党の大敗となった米国中間選挙の影で、遺伝子組み換えについて、注目すべきいくつかの住民投票が同時に実施された。2州で行われた遺伝子組み換え食品の義務的表示の住民投票は、オレゴン州(Measure 92)は僅差で、コロラド州(Prop 105)は大差で成立しなかった。モンサントを先頭とする、GM表示に反対する企業連合の圧倒的な資金力の壁を超えられなかった。

  モンサントやデュポン、ダウ・アグロサイエンスなどのGM種子企業は、一連の反GMOの住民投票に対して、その反対運動に1千万ドル以上の多額の資金を提供している。食品企業がGM表示に反対するのは理解ができないわけはないが、GM種子企業によるテコ入れは、その異常さが際立っている。

  一方、ハワイ州マウイ郡では、モンサントやダウ・アグロサイエンスなどのてこ入れを跳ね返して、GM作物の一時的栽培禁止を僅差で成立させた。カリフォルニア州フンボルト郡では、同州で5番目となるGM生物禁止条例が成立した。

  企業連合の圧倒的な資金力に対抗して得られた条例制定は、米国の根強い市民運動の成果であるし、闘って獲得する民主主義の姿といえる。


 ● 圧倒的な資金力に GM表示義務化は僅差で敗退

  11月4日の米国中間選挙と同時に行われた遺伝子組み換え食品の義務的表示を求めた住民投票は、オレゴン州では賛成49%、コロラド州では賛成35%で、いずれもGM表示義務化は成らなかった。

  住民発議による2州の住民投票に、市民中心の表示賛成派は、2州で900万ドルを集めて運動を進めた。一方の遺伝子組み換え食品の義務的表示に反対するモンサントなどGM企業やクラフトなどの食品企業は、2つの州に合計3600万ドルの運動資金をつぎ込んでいた。中でもモンサントは、合計で1070万ドルを投入したという。圧倒的な資金力を背景とした企業連合が、2012年のカリフォルニア州、2013年のワシントン州に続きGM表示義務化をつぶしたことになる。

  その一方では、米国初となる単独でのGM表示義務化の州法が、今年5月にバーモント州で成立している。差し止め訴訟が起こされているが、2016年からGM食品への表示が義務化となった。また、メイン州などでも表示義務化法が成立しているが、周辺州での同様な州法の制定が条件となっているため、いつから表示がなされるか定かではない。

 ・Reuters, 2014-11-5
  GMO labeling fails in Colorado, Oregon; GMO ban passes in Maui
  http://www.reuters.com/article/2014/11/05/usa-elections-gmo-idUSL1N0SV2WF20141105

 ・Cornucopia Institute, 2014-11
  Measure 92 & Prop 105: Your right to know.
  OREGON AND COLORADO GMO LABELING INITIATIVES
  http://www.cornucopia.org/wp-content/uploads/2014/10/meas92-prop105.1001-2.pdf


【関連記事】
  No.607 米国:2州目のGM表示義務化
       メイン州も広域条項を付ける
   http://organic-newsclip.info/log/2014/14020607-4.html


 ● ハワイ州:マウイ郡 GMO禁止条例が僅差で成立

  モンサントの遺伝子組み換え種子生産圃場のある米国ハワイ州マウイ郡では、4日の住民投票の結果、僅差の51%の賛成を得てGM作物栽培の一時的禁止条例が成立した。GM種子企業のモンサントやダウ・アグロサイエンスなどは約790万ドルの運動資金を集め反対したが、阻止できなかった。今後、反対派による差し止め訴訟が起こされるとみられている。

  成立したGM作物栽培の一時的禁止条例は、GM栽培に関する安全影響評価が完了するまでの限定的なものであるものの、1日当たり最大5万ドルの罰金と、個人に対しては2千ドルの罰金と1年以下の懲役が科せられることになっている。

  禁止条例の運動を繰り広げてきた SHAKA Movement のマーク・シーアン氏は「企業に対する人々の勝利」「驚いた。うれしくて興奮している」と述べたという。

  ハワイでは、その気候が災いして、1100ヶ所余りの種子用のGM作物栽培と試験圃場があり、それに伴う農薬散布が大きな問題となっていた。マウイ島に従業員600人のGM種子生産圃場と試験圃場を持つモンサントは、510万ドルを投じて条例案に反対した。ほかに、ダウ・アグロサイエンスが180万ドル、バイテク情報協議会(Council for Biotechnology Information)が100万ドルを反対運動に提供していた。一方、個人の拠出による推進側の運動資金は、反対派の1%足らずの6万ドルに過ぎなかったという。

 ・Ballotpedia
  Maui County Genetically Modified Organism
  Moratorium Initiative (November 2014)
  http://ballotpedia.org/Maui_County_Genetically_Modified_Organism_Moratorium_Initiative_%28November_2014%29

 ・Star Advertiser, 2014-11-4
  Voters adopt GMO ban
http://www.staradvertiser.com/elections/20141104_GMO__Charter.html

 ・Center for Food Safety, 2014-11-5
  Victory! Maui Wins Community Protections
  from Chemical Companies
  http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/3585/victory-maui-wins-community-protections-from-chemical-companies


 ● カリフォルニア州:GM生物栽培・飼育禁止の郡条例が成立

  カリフォルニア州では、同州で5番目となるフンボルト郡のGM生物の栽培・飼育禁止条例が、約60%の賛成を得て成立した。GM作物のみならず、GM動物の飼育も対象として禁止するもので、栽培や飼育されていた場合、廃棄させる権限も規定されている。同州では、すでに、マリン郡など4つの郡で同様のGM禁止条例が成立していた。米国全体では、ほかにオレゴン州の2つの郡で、同様の栽培禁止条例が住民投票で成立している。

 ・Center for Food Safety, 2014-11-5
  Genetically Engineered Crops Banned in Humboldt County!
  7th County to Vote for Ban
  http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/3588/genetically-engineered-crops-banned-in-humboldt-county-7th-county-to-vote-for-ban

 ・Ballotpedia
  Humboldt County "Genetic Contamination Prevention
  Ordinance" GMO Ban Initiative, Measure P (November 2014)
  http://ballotpedia.org/Humboldt_County_%22Genetic_Contamination_Prevention_Ordinance%22_GMO_Ban_Initiative,_Measure_P_%28November_2014%29


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2014年11月1日土曜日

【遺伝子組み換え】写真が訴える「遺伝子組み換えの犠牲者たち」『DAYS JAPAN』11月号(10月20日発売)

【転載】
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               有機農業ニュースクリップ
               2014.10.31
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≪ 遺伝子組み換え ≫
■写真が訴える「遺伝子組み換えの犠牲者たち」 

  『DAYS JAPAN』11月号(10月20日発売)が「遺伝子組み換えの犠牲者たち 遺伝子組み換えのタブー」という特集を組んでいる。遺伝子組み換えの問題を写真を通して考える記事は少ない中、この特集では、モンサントの研究所内部を取材した「遺伝子組み換え作物はこうして生まれた」、インドのGMコットンと殺の問題「インド・遺伝子組み換えコットンの悲劇」、アルゼンチンの農薬被害「アルゼンチン・農薬に蝕まれる子どもたち」の3つを取り上げている。

  インドでは、2002年からの10年間で約17万人の農民が自殺している。おおよそ30分に一人が自殺していることになる。インドのワタの90%以上がGM種に取って代わられ、在来種が駆逐された。その結果、選択のすべを失った農民は、高価な種採りのできないGM種を、借金してまで買わなければならない状況に追い詰められている。インドのWTO加盟を契機としたワタの価格低迷や、水と肥料を多く必要とするGM種の栽培は、零細な農民を借金漬けにして自殺に追い込んでいる。

  アルゼンチンのGM大豆栽培地域の健康被害は悲惨だ。除草剤耐性のGM大豆の大規模栽培は、ラウンドアップなどの除草剤を大量に散布し、周辺住民に、それも子供たちに重い健康被害を生じている。この事態に母親を中心として地域住民が立ち上がり、農薬反対の運動を展開している。モンサントは、アルゼンチンで年間350万袋の生産能力を持つGM種子工場を建設しようとしているが、反対運動の前にストップしている。

  こうしたインドやアルゼンチンの状況を生み出しているのが、モンサントに代表されるGM種子企業だ。この特集の中でも、モンサントの研究所の内部を写真取材した記事は貴重だ。筆者のブルソン氏は2001年6月に、モンサントの取材を申し込み、米国ミズーリ州セントルイス郊外のチェスターフィールド・ビレッジ研究所の写真取材を1日だけ許可された。企業秘密にかかわる部分の多い研究所内部の写真は、めったに公開されることはない。この点でも貴重な写真だ。

  この号には安田節子さんの「種子の独占と、自由貿易協定は日本に何をもたらすか」と題した記事が掲載されている。インドやアルゼンチンの状況の背景が簡潔にまとめられている。“種子を握るものが農業を左右する”現状がよく分かる格好の特集になっている。

  この号はまた、「ヤマトシジミチョウにみる低線量被ばくの影響」と題する記事も掲載されている。琉球大学の大瀧丈二准教授らの研究グループは、福島第一原発事故で放出された放射能による低線量被ばくの影響をヤマトシジミで研究している。この研究を研究者がわかりやすく解説している。この研究で、親世代が汚染食物を食べたとしても、子世代が汚染されていない食べ物を食べることで生存率が回復したという結果は、日本の現状を考えるとき示唆に富んでいる。

  『DAYS JAPAN』2014.11月号
  発行 (株)デイズジャパン 定価843円
  表紙写真 http://www.daysjapan.net/about/images/1411.jpg

 ・DAYS JAPAN
  2014年11月号(10月20日発売号) 詳細
  http://www.daysjapan.net/bn/1411.html

2014年10月26日日曜日

【日本の農業】百姓たちが時代を創る - 山形置賜自給圏の挑戦

食と農、地域とくらしを守るために 改めて考える この国のかたち(JAcom 2014年10月26日)

百姓たちが時代を創る 山形置賜自給圏の挑戦
・風土に先人の体温が
・「土」は命の循環の和
・生産者・消費者の区別なく
・食と農の「自給圏」実現へ
・グローバリズムに抗して

 米沢藩の上杉鷹山(1751?1822年)の治世で知られ、また明治の初期、イギリスの旅行作家・イザベラバードに「東洋のアルカディア(理想郷)」と言わせた山形県置賜地方。長井市で米づくりと自然養鶏を営む菅野芳秀さん(64)らは、自給を基本とした当時の理想郷の再建を目指す。それは閉鎖的な理想郷ではなく、外に門戸を開き、そこから、新しい社会のあり方を示そうとする。これが、食料・エネルギーの自給を基本とした「置賜自給圏」である。
 上杉鷹山は、「国は国民のために存在・行動するのが君主である」として、「国」が公的存在であることをしっかり認識していた。当時の「国」を支えていたのは百姓である。菅野さんと「置賜百姓交流会」の仲間たちは、「百姓」たちが主役の「国」(地域)づくりに挑戦する。

 「百姓」の言葉は一般的にはネガティブなイメージを持つが、菅野さんは、これを「人が人として生きていく心構え」ととらえる。つまり大地に根差した農民として生き方である。
 成田空港建設阻止や減反拒否など、さまざまな試練を重ねてきたが、農業を継ぐ決意をした背景に「地域のタスキ渡し」があった。

◆風土に先人の体温が

 菅野さんが住む地域は水田と、西側に雄大な朝日連峰が横たわる農村地帯。だが山が急峻で保水力に乏しく、周辺の村にとって治水事業は稲作が始まって以来、最優先の課題だった。
 いまも多くの堤(ため池)があるが、その規模からみて、世代を超えた事業だったことが想像できる。
 村人たちは、その恩恵を自分たちが享受することは考えなかった。次の時代の息子や孫たちのために汗を流した。「自分たちに続く世代が少しでも安んじて暮らせるために、率先して苦労を引き受け、楽しみを先送りしできたのだろう」と菅野さんは言う。そう考えたきっかけは沖縄での経験にある。
 1976 年、国定公園にも指定された海を埋め立てて石油基地をつくろうという計画に反対する住民の運動があった。その頃の沖縄には仕事がなく、多くの人が本土に働きに出ていたが、参加者の一人から「地元を逃げ出して後ろ向きに生きていたら、後に続く子孫も逃げてしまう。そこで暮らすと決めた人が逃げ出さなくてもいいように、みんなで地元をよくしていく。そういう生き方が俺たちの生き方だ」と言われた。
 菅野さんにとって、地域をこのように未来の子孫につなごうとする脈絡のなかで語り、自分たちの人生をその過程としてとらえる視点は初めてだった。「地域を過去から未来に向けて生きようとする人々の共通の財産としてとらえている」。
 大きなショックを受けた。
 それから半年後、26歳の春、菅野さんは置賜の百姓の一人として生まれ育った長井市にいた。
「地域のタスキ渡し」、「楽しみの先送り」の目でみると、これまでと同じ風景が違ったものに見えた。体温が伴い、感情のこもったのとして感じられるようになった。
 「地域の風土に感じる先人の体温と、次世代との間に生きるという、私の身体に掛かっているタスキを自覚した」と言う。ここに置賜の百姓として、菅野さんの原点がある。その目でみると、地域のさまざまな問題が見えてきた。高齢化の進展や荒廃農地の増加はもとより、食の生産と消費の分離、安全・安心への不安、そして農村や地域に住む人の自信喪失などである。
 どうすれば生き生きとした地域社会をつくることができるか。これまでに参加したさまざまな社会運動、農民運動の中から、「循環型の生命系社会」「多様性を認め合う共生社会」、「地域の自立と自給」、「民主主義」、「地球的な視野」、「交流」、「家族農業」など、目指すべき組織・社会のイメージをつくりあげていった。


生産者・消費者の区別のない「置賜自給圏」づくりに挑む山形の菅野芳秀さん

◆「土」は命の循環の和


 そのイメージを実現する機会がきた。1980年代の終わりに長井市に「いいまちデザイン研究所」ができ、その「農業班」のメンバーの一人に菅野さんがいた。後に長井市の「レインボープラン」として実現した「生ごみ」たい肥化の事業の始まりである。
 都市の廃棄物である生ごみを単にたい肥として処理するのではない。「生ごみを活用しながら、命の循環を大切にした地域社会をつくろうという事業だった」という。菅野さんの農業についての考え方の基本には「土」がある。
 「作物は土の産物であり育った場所の影響を受ける。土が汚染されていれば、それを食べる人が汚染される。土の力が衰えると食する者の生命力、免疫力に影響を与える」と言う。ここに命の循環を見る。土は先人たちが山草や厩肥を鋤きこんで作ったもの。砂地に作物は育たない。しかし土なら育つ。「土は命の源だ」ということである。
 だが現実には土の力が衰えていることを痛感していた。なによりも土を豊かにする家畜が少なくなり、厩肥が手に入らない。そこで、農村で手に入る生ごみのたい肥化を考えつき、そこから取り組むことになった。
 菅野さんらが考えたレインボープランには、「循環」、「ともに」、「土はいのちの源」の理念がある。土から借りたものは土に戻すという「物質循環の環(わ)」と、町と村の人々の「連帯の和(わ)」を大切にして、行政の職員や一般の市民など、地域を構成する人々が「ともに」平等な立場で計画に参画する社会づくりである。
 つまり「住民自治のまちづくりであり、地域の人と人のつながりを回復させること。これによって食と農との物質的循環を取戻し、人と自然のつながりを回復しようとする試みで、その仲人役が生ごみ」だというわけである。
 現在、レインボープランには、市街地の5000世帯全員が参加し、分別して集めた生ごみをたい肥センターに集め、たい肥をつくる。たい肥は農家に販売する。市内の生ごみすべてを長井の土を豊かにするために使う。レインボープランのキャッチフレーズに掲げる「土づくりへの台所からの参加」が実現している。


自給圏構想にレインボー・プラン経験が生きる(長井市の生ごみコンポストセンター)

◆生産者・消費者の区別なく

 食とエネルギーの自給を基に新たな地域再生しようとする置賜自給圏推進機構の挑戦が始まった。今年8月設立総会を開いて発足。長井市の循環型社会づくりをめざしたレインボープランの経験を生かし、置賜地方のすべての市町村、生産者、消費者などが、それぞれの垣根を超え、今日にふさわしい新しい人と人の関係づくりを目指す。
 菅野さんは生産者と消費者を対峙(じ)する考え方に疑問を持つ。「食べ物の消費者はたい肥の生産者であり、たい肥の消費者は食べ物の生産者となる」。みんなが農業と土に対する当事者であり、これが「本当の食と農を分かち合う関係だ」と言う。ここに新しい生産のあり方、暮らしのあり方を見つけ出そうとする。
 そのための必要な条件を挙げる。ひとつは「目先の経済性よりいのちの世界を優先させること、未来の人たちと共有するいのちの資源、すなわち土の健康を守ること」である。
 2つ目は、誰でも、どこでも農(業)を織り込んだ暮らしのできる農地活用制度への転換である。 それは環境・循環・健康・福祉・自給・教育・医療などを織り込んだ新しい農(土)と人々の関係をもう一度農地利用の柱として政策化することである。そして3つ目は人々の暮らしと地域の田畑が有機的、自立的につながることである。
 この考えは、菅野さんや仲間の置賜百姓交流会、さらには長井市のレインボープランにかかわってきた仲間たちによって、今年8月に発足した「置賜自給圏推進機構」に引き継がれる。

◆食と農の「自給圏」実現へ


 置賜地方には豊かな自然と、地域資源の豊かなストックがある。推進機構に名乗りをあげた自治体は、米沢市、南陽市、長井市、高畠町、川西町、小国町、白鷹村、小国町、飯豊町の9市町からなり、面積は東京都区の5倍近い約3000平方キロで、人口約21万人。幕藩体制の米沢藩の版図と重なる。
 日本海に流れる最上川の上流に位置し、北方を除く3方を山に囲まれた置賜平野は豊かな水と農地に恵まれた地域である。また、農業と地域産業の振興で自給力をつけて度重なる飢饉を乗り越える一方、最上川の水運を利用して江戸や上方と交流するなど、上杉鷹山以来の自主・自立の精神の伝統が残る地方でもある。
 しかしこの地方も、近来の効率優先のグローバル経済のもとで、地元の中小企業や家族経営が危機に陥り、地域経済の先細りが進み、将来が懸念される。推進機構は、この状況を打破するため、置賜地方を一つの「自給圏」としてとらえ、圏外への依存度を減らし、地域資源を利用することで地域産業を興し、雇用の確保を実現しようというものである。
 具体的な活動としては、
[1]地産地消に基づく地域自給と国内流通の推進、
[2]自然と共生する安全・安心な農と食の構築、
[3]教育の場での実践、
[4]医療費削減の世界モデルへの挑戦
の4つを挙げる。

 このため推進機構は取り組むべき課題を8つに分け、それぞれ部会を設けた。それぞれの部会は以下の課題を検討する。

[1]再生可能エネルギー部会
 再生可能エネルギーの調査やシステム導入のための研修会、情報交換と研究発表など。

[2]圏内流通(地産地消)推進部会
 自給圏内の生産量や消費量の実態調査、学校給食・医療施設の地産地消の調査や地元小売店や旅館、飲食店の実態調査など。

[3]有機農業推進部会(ケミカルから有機へ)
 有機農業の現状調査やモデル農家実証ほの公開、普及促進に関する課題の整理など。

[4]教育・人材育成部会
 「置賜学」・置賜自給圏推進講座の開講や地域エネルギー講座、グリーン・ツーリズムの受け入れ講座など。

[5]土と農に親しむ部会(身土不二の農舞台)
 普及展示圃および講座の開設。置賜伝統野菜の普及と種子の保存など。

[6]食と健康部会
 農医連携の普及や食と健康に関する講座や栽培方法別栄養素の調査研究、加工(漬物・干物)講座による普及など。

[7]森林等再生可能資源の利活用研究部会
 住とくらしの環境講座開設など。

[8]その他
 年次数値目標の設定と事業実施の検証など。

 民・官・学を挙げての取り組みである。呼び掛け人には、教育関係者や温泉旅館の女将さん、酪農組合、生協、国会議員などがなり、設立総会には置賜地方8市町や県、教育・農業関係者、国会議員、地方議員ら約300人が参加した。


 置賜平野の散居集落(飯豊町)。イギリスの女性旅行家イザべラ・バード(1831?1904年)は、明治時代の東北地方を旅行し「日本奥地紀行」を書いた。そのなかで置賜地方を「エデンの園」とし、その風景を「東洋のアルカディア」(古代ギリシャの伝承上の理想郷)」と評した。飯豊町の「散居」風景は平成5年の「第1回美しい日本のむら経験コンテスト」最高賞の農水大臣賞を受賞した。(写真は飯豊町提供)

◆グローバリズムに抗して

 「自給圏」といっても閉鎖的な社会をめざすものではない。菅野芳秀さんは「循環型社会づくりは、農業・農村に引き付けて次の時代を拓くという時代的条件に合っているのではないか。門戸を開き、世界に働きかけていきたい」と、自給圏の向こうに人と人のあらたなつながりの社会を展望する。
 また呼び掛け人代表の、高畠町で有機農業を営む農民作家の星寛治(79)さんは、「IT社会の便益と仮想現実では充たされない何かを求め、人々は再び大地に還り始めた。豊かな自然と土の香りの中で汗を流す営みから、人間としての生身の実感を取戻し、そして現地交流から生まれる新たなつながりに喜びと希望を見出そうとしている」と、自給圏の生まれた時代背景を分析。
 その上で「グローバリズム、新自由主義に対抗し、国家主義に対する自主・自立の精神を基本とした自給圏であり、国内だけでなく広く世界に働きかけていきたい。いろいろなしがらみの垣根を超えて、新しい時代にふさわしい取り組みだ」と、機構に大きな期待を寄せる。


「食」を通じて「おきたま」を再発見する「置賜八食祭」(置賜の3市5町の食材や料理を発信する「食の桃源郷』おきたま 秋の大収穫祭」のポスター)。「置賜はひとつ」の意識が育つ。

2014年10月10日金曜日

【お知らせ】ネットワーク農縁のウェブサイトが新しくなりました

ネットワーク農縁のウェブサイトが新しくなりました。
新庄水田トラスト、大豆畑トラストの最新情報をいちどに見ることができます。
http://nouen.miraiserver.com/
アクセスしてみてください。

2014年10月7日火曜日

【イベント】土と平和の祭典2014

【転載】

10月19日(日)台場・潮風公園・太陽の広場で開催!種まき大作戦が贈る大地に感謝する収穫祭『土と平和の祭典2014』です!
土と平和の祭典2014『 共 生 』
大地に感謝する収穫祭『土と平和の祭典』にようこそ!
種まき大作戦が贈る、大地に感謝する収穫祭『土と平和の祭典』
音楽で彩る日本最大級の環境配慮型農業と
農的暮らしのフェスティバル
オーガニックな食と農の文化祭として
今年で8回目の開催となります。

今年も全国から有機農家が集結!
賛同アーティストたちによるライブステージや、
これからの農業や社会の問題を語り合うトークステージなど、
企画も盛り沢山!
安心安全で旬の美味しいモノもいっぱい用意して、
あなたのご来場をお待ちしています!
買って、食べて、飲んで、遊んで、
芝生にのんびり寝っ転がって、
スペシャルな日曜日を、いっしょに楽しみましょう!
朝10時鏡開きでスタート!
ナント、寺田本家の自然酒が無料で振る舞われます!!
小さいお子さんも大歓迎!
ご家族、お友達お誘いの上
マイ食器とレジャーシートをもって、
ぜひ朝から遊びに来てくださいネ!

【公式WEB SITEより】
【日 時】2014年10月19日(日)10:00〜17:00(雨天決行)
*GOCOO出演時間 10:00〜10:30(予定)
【会 場】都立 潮風公園・太陽の広場
〒135-0092 東京都品川区東八潮1-2)
【アクセス】
◎ゆりかもめ「台場」または「船の科学館」下車 徒歩5分
◎りんかい線 「東京テレポート」下車徒歩約10分
◎東京都公園協会東京水辺ライン 「お台場海浜公園」下船 徒歩10分
【入場料】無料
【公式WEB SITE】http://www.tanemaki.jp/saiten2014/index.html
【実行委員長】藤本八恵(Yae)
【世話人】加藤 登紀子(歌手)/高野 孟(株式会社インサイダー代表取締役兼同誌編集長)/田中 正治(ネットワーク農縁)/藤田 和芳(大地を守る会会長)/辻 信一(文化人類学者・環境運動家・明治学院大学国際学部教員)/甲斐 良治(社団法人農山漁村文化協会 編集局次長)/渡邊 義明(株式会社アファス認証センター代表取締役)
【事務局】特定非営利活動法人 トージバ
【主 催】種まき大作戦

2014年10月4日土曜日

【種子】世界のタネを支配するTOP10

種を支配することは、農業者を支配すること。
農業者を支配することは食を支配すること。
食を支配することは命を支配すること。
遺伝子組み換え種子にNO!を。
遺伝子組み換え種子が忍び寄るTPPにNO!を。
 
Namiko Kawahara 

2014年9月29日月曜日

【あべふみこのあっちこち】薩摩川内原発の反対「金曜行動」

阿部文子


薩摩川内、九州電力の川内原発が、現在もっとも早く再稼動される
可能性が高いという。反対運動の弱いところが狙われている感じだ

「「金曜デモ」は全国で続いている。首相官邸前で始まったのは、東京電力福島第一原発事故から1年後の2012年3月。それ以降、各地に広がった。誰でも会社や学校帰りにふらっと参加できる形を取り、「脱原発」関係以外の訴えは遠慮してもらうなどのルールを設けて、地元の県庁周辺や繁華街、駅周辺などで、毎週金曜日に有志が集まり、原発再稼動に反対する声を上げ続けている。」(東京新聞6月14日)

東京から約千キロかなれた鹿児島県でも、首相官邸前と同じように、原発再稼動に反対する「金曜デモ」が続いている。いつもは十数名のこじんまりした集まりが、6月13日は全国に呼びかけたところ、東京、大阪、福島などから700人が集まった。

いつもの「金曜デモ」は、夕方だが、この日は県議会初日にあわせて、朝から始まった。午前9時、鹿児島県庁前に色とりどりののぼりや、プラカ-ドがかかえられた。官邸前で100回を超えた金曜日の声は、全国の広がり横のつながりも生まれている。

しかし、この行動が、もう一方で今日の資本主義をどう超えるかという問題意識と結びつく必要がある。何故なら、原発は資本主義経済である限り、特にわが国においては、一方で、廃炉にし、廃炉ビジネスとして取り組みながら、他方では、原発の売り込み取引をするという方向をやめることはできないからである

それにしても、がんばれー。わがふるさと鹿児島の「金曜デモ」。

お互いに、川内原発再稼動を許さじと金曜日の声を上げ続けていこう。