2014年5月18日日曜日

【TPP】反発強める米国議会

【転載】


 4月初めから事務レベルで協議が続き、再三にわたって閣僚間での
協議も行われたことから、今回の日米首脳会談では何らかの大筋合意があるのではないかと事態が緊迫していたTPP(環太平洋連携協定)交渉。

結果は合意事項はなく、日米共同声明には「両国は2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と記し、また「まだなされるべき作業が残されている」と両国の主張に開きがあることも示した。

ただ、かりに何らかの合意に到ったとしても、米国議会はオバマ大統領に通商交渉の一括権限を与えておらず、議会を通らない可能性もある。

その議会からは政府宛に「関税ゼロ以下のTPPには反対する」との乱暴な書簡も出されている。日本でも麻生財務大臣が25日の記者会見で「かりにフロマンと甘利でまとまったとしても、それが米国の議会で通る保証もない」と話した。

 大統領の訪日前の4月21日に来日した米国でTPP反対運動を広げている市民団体のロリー・ワラック氏も「そもそも日米会談でオバマ大統領が約束しても何ら法的意味を持つものではない」と話していた。結局は通商交渉に関しては無権代理人として来日、アジアを歴訪しているともいえる。ワラック氏の話などから米国の状況とTPP交渉の今後を考えてみる。

【TPP】TPP日米協議は「ヤマを越えた」?

【転載】
農業情報研究所>グローバリゼーション>二国間関係・地域協力>
ニュース:2014年5月2日

TPP日米協議は「ヤマを越えた」? 米有力議員 交渉は「確実に失敗する」、議会は承認しない

 日本のマスメディアは、 米議会の公聴会におけるフロマン通商代表の発言をTPPに関する日米協議は「重要な一線を越えた」、「重要なヤマを越えた」などと紹介している。人によっては、特にTPPによって存続が脅かされると恐れている農家は、交渉が妥結に向かって着実に前進していると悲観的に受けとめかねない報道の仕方である。

 「TPP、日米ヤマ越えた」USTR代表 日本経済新聞 14.5.2
 日米協議「重要な一線越えた」 米側、進展を強調 朝日新聞 14.5.2

 しかし、そう悲観的になることはない。これらの報道は、公聴会におけるフロマン代表の発言を伝えるのみ、TPP交渉に批判的な議員たちの発言にはまったく触れようとしていないからだ。TPPの成否を決するのは、何度も言ってきたことだが、米政府ではなく、憲法で通商交渉権限を与えられた議会にほかならない。

 マレーシア国営通信(Bernama)が中国新華社通信の報道として伝えるところによると、この公聴会で上院財務委員会の共和党トップ、Orrin Hatchは、議会が与える貿易促進権限(TPA)なしで高度 な基準の協定が結べると信じない、政府の貿易アジェンダは確実に失敗すると述べたそうである。民主党トップのCharles Schumerも、貿易協定に為替操作条項(つまり円安誘導禁止)が含 まれなければ、TPP協定は議会の承認を得られないだろうと警告したそうである。

 US Senators Voice Concerns Over Prospects Of TPP Trade Talks,Bernama,14.5.2
 http://www.bernama.com/bernama/v7/bm/wn/newsworld.php?id=1035175

 TPPの行方を見極めようとするなら、フロマンではない、議員の言動にこそ注意を向けねばならない。

2014年5月9日金曜日

【遺伝子組み換え】仏、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止を法制化

転載:(c)AFP
【5月6日 AFP】フランス上院は5日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの栽培を禁止する法案を可決した。また同日には行政裁判の最上級審も栽培禁止を支持する判断を下し、これによって同国ではGMトウモロコシの栽培が全面的に禁止された。
 法案は米バイオテクノロジー大手モンサント(Monsanto)が開発したGMトウモロコシ「MON810」を禁止する内容で、与党・社会党(PS)やヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)、フランス共産党(PCF)の左派政党が賛成した。同法案は先に国民議会(下院)でも、右派議員の反対を抑えて可決されていた。
 トウモロコシ生産者協会(AGPM)の申立人らは、GMトウモロコシの栽培禁止命令によって厳しい経営危機に陥るとしてMON810の栽培禁止命令の撤回を求めていたが、フランスの行政裁判の最上級裁判所である国務院は同日、フランス国内でGM種子から栽培されるトウモロコシの量は非常に少ないとして、この訴えを退けた。
 AGPMは、同国では既に2011年と2013年の2度にわたってGMトウモロコシ栽培の一時的な禁止命令が出されていたことから、今回の判断に「驚いてはいない」としている。
 農業省は今年3月、欧州連合(EU)で唯一栽培が許可されている害虫抵抗性のあるGMトウモロコシ、MON810の栽培禁止を決定した。その決定の正当性については現在EUが、GM作物の使用に関する幅広い議論の一環として検討している。しかしEUの決定はどうあれ、加盟各国は独自に栽培を禁止する権限が認められている。
 これに関しフランスは、今後GM作物の栽培をめぐる決定を各国の政府だけで行えるよう、EUの関与を排除していこうとする働き掛けを行っている。(c)AFP

2014年5月2日金曜日

【遺伝子組み換え】ロシア、GMOと有機農業の地政学

転載
Ulson Gunnar
2014年5月2日
New Eastern Outlook

ロシアのRTは、“ロシアはGMO産品は輸入しない - メドベージェフ首相”と題する記事で、“ロシアはGMO産品を輸入しないと、ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は語り、ロシアには自然食品を生産す るのに十分な面積と資源があるとも述べた”と報じたが、記事は、ロシア首相が、具体的に、“もしアメリカ人がGMO産品を食べたいのであれば、彼等はそれを食べれば良い。我々はそうする必要はない。我が国には、自然食品を生産するのに十分な土地と機会がある”と述べたことも引用した。

記事は、そうした慣行に大衆の反対が着実に高まりつつあるのに、遺伝子組み換え製品に対する表示が不要なアメリカの法律とは対照的に、ロシアでは、0.9%以上の遺伝子組み換え原料を含む製品は、内容を表示しなければならないことも書いている。
GMOに対するロシアの姿勢は、つい最近モンサントのGMトウモロコシが禁止されたフランス、アメリカGMトウモロコシ輸入が禁止された中国を含 め、他でも見ることができる。益々情報に通じつつある国民の間での、健康上と環境上の正しい懸念ゆえに、GMOに対する逆風がかなり広がっている。しか し、ロシアや中国等の国々が、GMOに強く抵抗する動機には、地政学的な要因もある。

軍隊は胃に向けて行進する

それによって遺伝子組み換え生物が生み出されているバイオテクノロジーは、現在欧米を中心とする一握りの極めて強力な多国籍企業によって独占されて いる。この独占形態は(部分的に)欧米の覇権権力の基盤だ。アフガニスタンで見られる様に、モンサントの様な巨大アグリ独占企業は、南アジア国家の大企業 による植民地化を企む上で、極めて重要な役割を演じた。企業権益とテクノロジーは、欧米の支援機関とあいまって、またNATOの軍事力に裏付けられて、伝 統的作物を組織的に汚染し、遺伝子組み換え大豆で置き換え(それまで、アフガニスタン農業や料理に無縁だった作物)アフガニスタンの農業風景を変えること を支援してきた。

モンサントがアフガニスタンに下ろした根は、深く永続的となろう。特許権を有する遺伝子組み換え大豆に依存する農民は、モンサントや他の欧米のバイ オテク/巨大アグリ企業に永久に依存することになり、日々の暮らしで、そうした農民に依存する人々も同じことになる。独立国家としてのアフガニスタンは、 主権そのものが、最も基本的、根源的なレベルで浸食され、国の食料安全保障は、今や外国人の手中に握られている。

だから、ロシアや中国の様な国々や他の国は、GMO産品による健康や環境上の影響に関して、国民の間で増しつつある懸念だけでなく、この独占技術が、それぞれの国家の食糧供給に対し、結果的にその主権に与える脅威に、対応しているのは明らかだ。

隣国ウクライナにおける政権転覆を強化することを欧米が目指す中での最近のロシアを狙った経済制裁は、欧米巨大アグリ企業への絶対的依存が、どれほ ど潜在的危険となりうるかを完璧に表している。ロシア農業が、欧米のGMOにより依存していたならば、そして欧米の経済制裁が、イランのような国に対する ように、より広範な、あるいは全面的なものであれば、ロシア国民の生存可能性が危険にさらされていた可能性があり、ロシア政府を脅迫することが可能な外国 に支援された政治的不安定も容易に実現されていたろう。

それぞれの国が城砦

対イラン経済制裁は、食料生産、技術研究・開発や、武器開発を含む広範な社会経済活動において、自足自給となるようイランに強いた。欧米のイラン経 済制裁は、国家レベルで行われる現代式の攻囲戦として、国家を弱体化させ、究極的に国家の崩壊に貢献するよう機能するよう設計されているが、彼等はそうで はなく、イランを一層回復力に富む国にした。

イランは、包囲をどこかの場所で破ってしのぎ、他の国境内の場所における、自給自足経済活動によって、包囲を弱体化させる、ことわざの“城砦”に似 たものと化した。ロシアや中国のような国々は、欧米が特定の同盟と戦略(それぞれ、NATOと“アジアへの回帰”)とによって、あからさまに企んでいる包 囲に直接直面しており、同様に、独立と、食料安全保障の様な基本的な必需品を最優先にして、広範な社会経済活動にわたる自給自足を確保しなければならない。

メドベージェフ首相が示唆したような、現代テクノロジーによって強化された有機農業は、ロシアの食料安全保障を、現在そして将来にわたって確保する 力がある。より健康な、GMO成分を含まない食品に対する需要が世界的に増えつつあり、有機農業に傾斜した国家政策は、最終的に、ロシア国境を越え、経済 上の優位性にもなり得よう。世界中の他の国々、コミュニティーや、実際、個人も、自国の食糧供給を確保するこの基本的第一歩を良く見て、国家、地方、個人 の主権にとって、また経済見通しを良くする手段としても、それが、どれほど重要か理解すべきなのだ。

欧米の巨大農業独占企業は、世界中で、国全体の食糧供給に潜入、侵略しようとしており、地政学的に、影響力を与えたり、支配したりすることを狙って いる相手国に対し、打撃の大きい経済制裁を狙っている。欧米超巨大農業独占企業に依存させられるようになった国家は、万一既存の政治秩序を弱体化し、打倒 する為の、経済制裁や、他の手段の標的にされた場合、攻撃にきわめて脆弱になるだろう。だから、有機農業を進めることは、国の国民の健康を維持し、一層生 産的にするだけの手段ではなく、国家主権を守る根本的な手段でもある。

超巨大農業独占企業からの見返りという近視眼的な利点では、世界中の政府にとって、今日は、そそられるものかもしれないが、明日には、そうした政府 の有用性が尽きたと欧米が感じて、新指導部か必要だと思った際には、欧米が、その政府を絶滅させるのに利用する「てこ」になりかねない。GMOの利点を信 じる国々では、外国による食糧供給がもたらす外国による支配の様々な危険に機先を制して、国民は、そのようなテクノロジーは、国家独自に開発され、導入さ れ、規制され、監視されるよう要求すべきだ。
Ulson Gunnarは、ニューヨークを本拠とする地政学専門家で、特にオンライン誌“New Eastern Outlook”ライターである。

記事原文のurl:journal-neo.org/2014/05/02/russia-gmo-and-the-geopolitics-of-organic/

2014年4月12日土曜日

2014年4月8日火曜日

「置賜自給圏構想を考える会」設立趣意書(案)

【転載】

地域資源を基礎にした「置賜自給圏構想を考える会」設立趣意書(案)


1.置賜自給圏構想を考える背景と趣旨について

 地域の活力低下が叫ばれて久しい。どの自治体も、地域活性化、振興に向けて様々な取り組みを行ってきた。しかし、根本的な解決には至らず、その状況はむしろ厳しさを増している。背景には、国境を越えた企業の利益追求と資源強奪型の経済活動、そして富の一極集中を後押しするグローバルな国際金融システムがあり、結果として国内の中小零細企業、家族農業、地域経済は先細りの一途をたどっている。 

 このような現状を打開するために、ここ、置賜を一つの地域ととらえた「自給圏」(注1)をつくることを提案する。これは、圏外への依存度を減らし、圏内にある豊富な地域資源を利用、代替していくことによって、地域に産業を興し、雇用を生み、一方的な富の流出を防ぎ、地域経済を好転・持続させようとする、いわゆる「地域循環型社会」構築のための取り組みである。



2.自給圏構想の柱 -エネルギーと食の地産地消を進める-

(1)地産地消に基づく地域自給と圏内流通の推進

 ① エネルギーについては、国の固定価格買い取り制度(FIT)の後押しもあり、再生可能エネルギーの導入が全国的に進められている。ここ、山形県でも、豊富な水、豊かな森林資源を活かした取り組みが進行中であるが、置賜地域においても、自然資源の有効活用という観点から再生可能エネルギーの地産地消をさらに加速化させる。

 ② 食については、地域で生産された農畜産物をできるだけ地域で消費する取り組みを通じて、生産者と消費者の距離を縮め、顔の見える関係、すなわち、住民の台所、幼児・学校給食、医療施設、旅館業、飲食業、加工食品業界など圏内消費(者)層と農業団体など圏内生産団体とを有機的につなぐシステムを構築する。これにより圏内農業者の安定経営と、農畜産物の安定供給を確保し、もって住民の食の安全を守る。

 ③ 流通については、地元スーパー等に圏内生産物の取り扱いを積極的に働きかけ、地元産の占有率を高めることを目標とする。そのためには、まず、学校、幼稚園、病院、農協、生協、商工業者、飲食業組合、旅館業組合、市民団体、NPO、官公庁などが率先して地元産生産物を利用することが肝要で、そのための働きかけを積極的に行っていく。


(2)自然と共生する安全、安心の農と食の構築

 一般的に農業問題を語るとき、規模やコスト、つまり効率の問題として議論されることが多く、そこには社会資本としての農村、つまり自然環境や文化伝統、人材育成といった視点が欠如している。地域社会における農業の役割は、単なる食料生産にとどまらず、水源の涵養、景観の保持など、多様な役割を担っている。農業があるからこそ農村が存続する。これら農村の役割は、効率性や経済性では決して図ることのできない外部経済効果である。

 また、高畠町のある置賜は全国に先駆けて取り組んできた有機農業(注2)の先進地である。有機農業は、いのちの源である土と共生する農業であり、人にも環境にも負荷が少ない、持続可能な循環型農業である。この取り組みにより、安全、安心の置賜の食を実現する。


(3)教育の場での実践

 ① 米沢市に平成26年度から山形県立米沢栄養大学が開校し(注3)、圏内には地域の人材を輩出してきた置賜農業高校などの高い教育力をもつ学校が数多くある。県・市町村の施策と教育現場の力を連携する仕組みをつくる。

 ② 学校田、畑、地域の農地を活用し、幼児より高校生まで、土に親しみ、作物をつくり、調理を学ぶ教育の場として実践するとともに、人が生き、自立し、暮らしていく基礎としてこれらを学ぶ。


(4)医療費削減の世界モデルへの挑戦

 農家以外の人でも、土や農に関わることができる道を拓き、生きがいづくり、健康づくり、食への理解促進につなげ、健康長寿による医療費削減の世界モデルを構築する。



3.自給圏が生み出す宝

(1)経済力

   ・地場ものの生産・加工・流通、再生エネルギーの地域での創出などを通し、地域資源が圏内で循環するとともに、新しい雇用を生み出す。

   ・地域内消費を主力としつつも、その余力は「自給圏ブランド」として圏外にも供給し交流を図り、付加価値を還流させる。

(2)健康力

   健康な土から生まれる栄養豊かで安心な食べ物を摂取することにより、圏内住民の健康を守ると同時に、農的暮らしの実践による健康長寿を実現する。

(3)教育力

   農業体験を通じて子どもたちの「生きる力」や感受性を育む。

(4)福祉力

   小規模農家や高齢農家が農業を続け、生活を維持することで、村(コミュニティ)が再生でき、コミュニティの助け合いが維持、強化される。そのことを通して地域の持つ福祉力が向上する。

(5)地域財政力

   上記の地域経済の創出により市町の税増収が図られるとともに、健全な食や生きがいづくりなどによる住民の健康や福祉の向上を通して、医療・福祉・介護などに対する支出が抑制され、財政健全化に貢献する。

(6)地域の魅力

   自らの地域に自信と誇りを持つことによって地域の魅力は飛躍的に向上する。魅力
ある地域には訪れる人も増えることから、交流人口の増加が図られる。


 江戸時代屈指の名君として知られる米沢藩第9代藩主上杉鷹山は、産業振興、特に農業の発展に尽力し、破綻寸前の藩の財政を再建させた。時代は変わり、第一次産業が経済の中心とはもはや言えない現代社会ではあるが、食こそが人間活動の源であり、最も大切な営みであることは、どのような時代でも変わらない。今こそ鷹山公の精神に学び、農業を通して地域再生の在り方を真剣に考えるときである。


 規制緩和と自由競争のもとで地域が生き残るためには、住民が主体的にこの地域を考え、行動するところから始まる。一人一人が地域資源に目を向け、その重要性と価値を認識し、付加価値を生み出すための行動をとることで、多様性に満ちた地域の食をはじめとする文化を再認識、継承するとともに、地域を基礎とした新しい人間社会のモデルを築き、広く世界、未来に示していきたい。このことで人々は、置賜が真の「東洋のアルカディア」として地域に誇りと愛着を持つことになることを信じたい。

ここに「置賜地域自給圏を考える会」への参加を呼びかけ、ともに、置賜の地域資源(土、水、山)の上に人と資源と経済が循環する仕組みをつくることを提案する。

(注1)自給という観点でみれば、江戸時代の藩は生活と経済の単位として意味がある。多様な藩(地域)が集まって日本を形成しているが、この地域の多様性、独自性こそ、豊かな未来を築く上での重要な資源であり可能性でもある。

(注2)山形県では、「山形県有機農業推進計画」を策定し、有機農業に取り組む農家数:450戸、栽培面積:800ヘクタール(平成28年度)を目標に、生産者への支援強化に取り組んでいる。

(注3)米沢市の山形県立米沢女子短期大学は、平成26年度から四年生の山形県立米沢栄養大学に改組され、健康栄養学部健康栄養学科が設けられる。