2012年8月5日 阿部文子
2011年は、東日本大震災、東京電力福島第一発電所の原発事故などで、支援に動くことが多く、文章を書くことが全く出来なかったことを深く反省。今回はもう何年も係わっている組織のひとつDNA問題研究会のことについてお知らせしたい。
DNA研究会は1980年の発足以来、市民の立場から一貫してバイオテクノロジーに「否」を唱えてきている。物質を基礎に発展してきた工業社会が次なる技術と物質資源を求めて、生命の世界に踏み込むことを危険なものと感じた市民によって続けられてきた。
ここが取り上げる問題意識は、新聞やテレビでは決して取り上げられない。DNA問題研究会は、科学の名の下に,科学の発展は善であり、経済の発展は必要だと思っている人達の手で進められている「踏み込んではならない世界・遺伝子、核、ナノテクノロジー研究開発」について問題にしている。
いかにも素人の私達には、生活に関係ないね、という領域のように思える。しかし、そうではない。「東電原発の破綻・暴走によって、私達は人間には原子核エネルギーを制御する力はないということ、したがって、そこに踏み込んではならなかったのだということを、いまさらながらのように思い知らされている。それでもなお、利に走る者たちに引き下がる気はないようだが、結果は破滅的であり、そのために払った代償と、これから払わなければならない代償は、途方もなく大きい」(「DNA通信」NO123号p11)
「だが、制御できない、踏み込んではならない世界は、何も原子核の中だけではないのであって、次々に高効率の技術ネタを求める経済社会は、そうしたものにいくつも手をつけてしまっている。例えば、バイオテクノロジーによる機械や素材の開発も始まっている。・・・これらは五感で捉えることが出来ない世界に踏み込んでの営為なのであって、人間のコントロール能力をはるかに超えているという点で、核物質の利用と同列のものである。当然だが、これらもまた、生命と生命の場を破壊するはずであり、バイオテクノロジーでは破壊はすでに始まっているのである。」(同、p11)
巨大企業・モンサントによる遺伝子組み換え大豆、とうもろこしの支配は、アメリカでは牛のえさとして、日本では輸入大豆のほとんどであり、私達の生活の中でその加工品の占める割合はきわめて高い。しかも、その人体に対する影響についてはわかっていないし、研究もされていない。命を健康に保つために、国内の良心的な農家とつながり、顔の見える関係を作っていくことに更に努力したい。そうした、地道な行動こそに、巨大な支配を削ぐ力があると思う。
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