2009年8月27日木曜日

山形県在来種のお米”さわのはな”、世界の「味の箱舟」に乗船!

阿部文子


 ノンフィクション作家の島村菜津さんは、スローフードジャパン「味の箱船」の担当でもある。
日本では、スローフードという言葉はスローライフやフェアトレードなどとともによく聞く流行ことばのように感じているが、実は、世界に広がる会員約8万人の世界的運動である。



 スローフード運動とは「・・・ただゆっくり食べることでも、ファストフード不買運動でもなく、食のグローバル化とともに世界を飲み込もうとしている味の均質化に抗い、土地土地の多様な味を守っていこう」
(「山形在来作物研究会報」島村菜津『在来種とスローフード』より)

という考えに基づいて、イタリアから起こった。

 基本的活動は、各国の会が、その土地土地の風土にあったやり方で活動するが、ゆるやかな指針が3つある。

①質のよいものを作ってくれる小さな生産者を守る
②子供たちを含めた味の教育
③ほっておけば消えそうな味を守る

この③に基づいて「味の箱舟」(アルカ)運動がある。



 ごく最近まで、東京のスーパーでは、大根といえばほとんど青首。
ジャガイモは男爵とメークイン。お米はコシヒカリが主流。リンゴやぶどうも2-3種類。

「味の均質化は化学調味料や大量物流によってばかりでなく、何より種から始まっていたのだ」(同)。


 日本では、仙台で「味の箱舟」の募集が始まった。大地を守る会が80年代から支援してきた岩手県の日本短角牛、北海道の八列とうもろこし、秋田のハタハタしょっつる、長野の親田辛味大根、山形の花作り大根や新庄水田トラストでもしっかり支援している”さわのはな”など。

 すでに9つが正式に世界の「味の箱舟」に乗船した。
特に山形のスローフード協会は、古株の貫禄のある協会である。

 大手スーパーに対抗すべく量から質への転換を図った「ワンストップ小山」の経営者・小山さんを会長として、気骨のある生産者が参加している。
銭金になるものを効率よく作るだけでなく、在来種を手間隙かけて作り続けている。

 ユーモアあふれる「味の箱舟」ツアーを開催したりして、山形の大地にスロー魂を根づかせている。

 BSE(狂牛病)に始まって、食中毒、表示偽装と効率ばかりを重視したフードビジネスの世界は、ますます、世界の消費者の信頼を失っている。
食の6割を海外に依存する日本には、独特のフードビジネスの問題が起こっても不思議ではない。

 「そんな中、在来作物を誰に頼まれるでもなく、ひょうひょうと作り続けている人がたくさんいる山形は、希望の先進地なのである。」(同)

そして、ひっそりとそれを支え続ける新庄水田トラスト会員も時代の希望なのである。


2009年エントロピー学会シンポジウム(第27回)案内


http://2009.entropy.ac/

テーマ: グローバル危機へのローカルからの挑戦
- 生命(いのち)と暮らしの視点から -

日時: 2009年 9月20, 21日
場所: 國學院大學渋谷キャンパス(東京都 渋谷区東4-10-28、渋谷駅から徒歩15分)
http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access.html

記念講演1: 「金融危機に対抗する地域再生の試み~ローカルからの新たな社会構想」
吉澤保幸(ぴあ(株)顧問・税理士、場所文化フォーラム代表幹事)
記念講演2: 「年越し派遣村から見えてきた日本と世界」
湯浅 誠(生活サポートセンター・もやい事務局長、反貧困ネットワーク事務局
長) 
シンポ基調報告:「グローバル危機と地域・循環の再生~食・農・環境からの展望」
古沢広祐(国学院大学経済学部教員)
参加費
一般  一日2000円 2日間 3000円
学生  一日1000円 2日間 1500円

以下、詳細******************

第27回エントロピー学会シンポジウムプログラム

第27回エントロピー学会シンポジウム
「グローバル危機へのローカルからの挑戦?生命(いのち)と暮らしの視点から?」
プログラム
【9月20日】 会   場 1105教室
10:00 受付開始
10:30 開会挨拶 菅井益郎(エントロピー学会代表世話人)
10:40 記念講演 1 
「金融危機に対抗する地域再生の試み ?ローカルからの新たな社会構想?」(60分)
吉澤保幸(ぴあ(株)顧問・税理士、場所文化フォーラム代表幹事)
11:40 質疑応答(20分) 司会:藤堂史明

12:00 昼    食
13:00 全体シンポジウム 「食・農・環境からの地域再生・循環の可能性」
①問題提起 (30分)
古沢広祐(國學院大學経済学部教員)
13:30 ②コメント・報告
金子美登(霜里農場・NPO法人全国有機農業推進協議会代表)(報告15分)
桜井薫(NPOふうど副代表・自然エネルギー事業協同組合(REXTA代表理事)(報告15分)
向田映子(女性市民コミュニティバンク代表)(15分)
14:15 パネルディスカッション(1時間30分)

15:45 休    憩
16:00 記念講演 2 
「年越し派遣村から見えてきた日本と世界」
湯浅誠(自立生活サポートセンター・もやい事務局長、反貧困ネットワーク事務局長)(60分)
17:00 質疑応答(30分)
司会:藤田祐幸
17:30 終    了
18:00?20:00 懇親会(國學院大學有栖川宮記念ホール:若木タワー18階)

【9月20日】 9月21日 一般講演  1101教室
9:50 一般講演(09:50?11:55)
司会 藤堂史明・鈴木明
一般講演①藤堂史明                   
「エントロピー経済学と価値・価格」
一般講演②飛田守孝
「産業連関表から窺える日本の温暖化と汚染のエントロピー論的一考察」
一般講演③鈴木明
「エントロピー論に基づく企業のあり方」
一般講演④重村光輝
「地域の資源循環と経済活性化の課題」
一般講演⑤伊津信之介
「近代の終焉に遭遇しファーミングを志す」

12:00 昼    食 
13:00 一般講演(13:00?14:15) 
司会 井野博満
一般講演⑥桐山信一 黒川富秋
「エネルギー・エントロピー教材としての常温熱機関」
一般講演⑦桑垣豊
「価値分布のある需要供給分析について」
一般講演⑧勝木渥  
「温室効果のメカニズムはどのように思い描かれているか」

14:15 5分休憩・移動
14:20 自主企画①(14:20?17:00)             
「ドキュメンタリー映画『こつなぎ?入会の権利をめぐる百年の記録』」 + 解説 
14:50 企画:横浜セミナー(田中良)           
15:00 映画上映
あいさつ:制作者 菊池文代
映画の解説
16:50
17:00?17:30 総括集会+世話人会(1103教室)

【9月20日】 9月21日 自主企画2  1103教室
9:50
1103教室
自主企画②(09:50?11:40)      
日本ではなぜ再生可能エネルギーが普及しないのか               

企画:小泉好延・菅井益郎   
安藤多恵子
「日本の太陽光発電の問題点」
大東断
「世界と日本の再生可能エネルギーの現状と将来予測」
浅川初男
「太陽光発電現場からの問題点」
井田 均
「風力発電の世界と日本の現場からの報告」
小泉好延
「日本の再生可能エネルギー普及拡大の原則」
コメンテーター 福本敬夫

11:40
12:00 昼    食 

【9月20日】 9月21日 自主企画3  1103教室
13:00
自主企画③(13:00?14:50)     
生ゴミ資源化ノウハウ           
企画:中村修 
和田真理
「生ごみ資源化 全国の自治体の取り組み状況」
西俣先子、遠藤はる奈、小泉佳子
「各地の生ごみ資源化取り組み事例」
中村修
「広域行政のさらなる広域化で、循環の取り組みと、焼却炉3分の1削減、コスト削減」

14:50 10分休憩・移動

【9月20日】 9月21日 自主企画4  1103教室
15:00
自主企画④(15:00?16:50)         
小水力の歴史と課題           
企画:中村修 
中島大
「小水力の課題と展望」
永井健太郎
「動力としての水力?日本・欧州の産業革命?」
松尾寿裕
「小水力の事例報告」
畑中直樹
「美郷町における小水力の可能性 投資とその波及効果に関する考察」
16:50
17:00?17:30 総括集会+世話人会(1103教室)

【9月20日】 9月21日 自主企画5  1104教室
09:50
自主企画⑤(09:50?11:40)     
エントロピー論再考2009      企画:桑垣豊(関西セミナー)       

安田祐介
「エントロピー増大”速度”」
川島和義
「無常系で考えるエントロピー論」
馬場浩太
「エントロピー論の新しい展開の可能性のために」
桑垣豊
「エントロピーが捨てられないのが問題か」 
11:40
12:00 昼    食

【9月20日】 9月21日 自主企画6  1104教室
13:00
自主企画⑥(13:00?14:50)
悪循環する金融危機と政治危機                        

企画:「金融・財政問題自主研究グループ」(青木秀和)
青木秀和
「金融財政政策に出口なし?29年恐慌との決定的相違点」
河宮信郎
「世界金融バベルの塔:歴史的建設過程と一挙的瓦解」
泉留維
「フレデリック・ソディの貨幣・金融改革論の再考」
森野栄一
「偽りの請求権分配:モーリス・アレの「資本課税及び貨幣改革論」再考」

14:50 10分休憩・移動

【9月20日】 9月21日 自主企画7  1104教室
15:00
自主企画⑦(15:00?16:50)    
地域社会経済論事始め                            

企画:田中伸一(関西セミナー)
田中伸一
「農林水産業の復活及び地方への労働力シフトの流れと新たに生じる諸課題」
深澤竜人
「循環型社会構築の礎としての非農家の農業参画に関して?必要労働量・規模・経費から小規模農業の有効性を検討」
森住明弘
「パソコンリサイクルは地域経済活性化の切り札」

2009年8月2日日曜日

低周波音って?

田中正治


現在、事務局の阿部さんと僕が住んでいる千葉県・鴨川と南房総市の境に、巨大風力発電建設計画が持ちあがっています。今現地では急速に住民の反対の声が上がっています。
いろんな問題が浮き彫りになってきていますが、ひとつ不気味なのは、風力発電機が出す低周波音です。
すでに建設され発電が開始されている、各地の風力発電周辺の住民から悲鳴が上がっています。

風力発電ではないのですが、僕は11年ほど前に、冷蔵庫の低周波音にやられ、その後数年間、頭痛、不眠、肩こり、眼痛、倦怠・・・に悩まされた経験があります。

そのとき、読んだ「低周波公害のはなし」(汐見文隆著)を、今もう一度読み直しています。汐見氏は当時、被害者住民の側に立って、人々の痛みと苦しみを感じようとし、励ましてくれたただ一人の専門家だったように記憶しています。汐見氏は今も83歳の高齢でありながら、なお志を貫き、人々のために闘っておられます。
「低周波音公害を語る」汐見文隆 公式サイト


「低周波公害のはなし」の中で、僕の心に留まったところをご紹介します。風力発電問題を考えるヒントにしていただければ幸いです。

★低周波音とは?・・・・・・・・・・・
・「音とは、空気中を伝わる波(空気振動)のこと」「その1秒間の振動数をヘルツ(Hz)という単位で呼ぶ」
・「一般の人の耳は、20ヘルツから2万ヘルツの間の音を聞き取ることが出来る」
・「人間の会話は通常500~2000ヘルツ前後で行われ」る。
・「100ヘルツ以下になると耳の感度が急速に低下する」
・100ヘルツ以下の音を低周波音といい、一般には、人間の耳には聞き取りにくい。
・20ヘルツ以下を超低周波音といい、一般には、人間の耳には聞こえない。

@ちなみに「南房総風力開発KK」の「風力発電所事業計画」書によれば、・・・・・・・・・・
彼らは「風車直下」で計測している。「風車直下」は、”灯台下暗し”で影響は少ない盲点のはずです。
しかも「超低周波音」のみ計測、公表していて、「低周波音」は計測していないか、計測していても何か公表したくない結果が出てきたのかもしれない。
そうした結果「したがって人体に感知される超低周波音は、風車周辺には存在しないと判断される」といっている。
どうもまやかしが隠されているようだ。

★低周波音の発生源は、・・・・・・・・・
・工場の機器(エンジン、ポンプ、ボイラー、モーター・・・)
・輸送機器(自動車、電車、航空機・・・)
・家庭電化機器(冷蔵庫、エアコン、掃除機・・・・)
・タービン(風力発電・・・・)

★「音の強さ(エネルギー)は、音の圧力の2乗に比例」する。音の圧力の単位はデシベル(dB)。

★基準は被害者にあり・・・・
・「低周波音には規制の基準がありません。したがって、低周波を測定し、
その数値をよりどころに、堂々と胸を張って被害を訴えることが出来ます。基準のないことが被害者の救いにもなりうるのです」。「現在、基準は行政や企業のためにあるのであって、住民のためにあるのではない」

★低周波音の被害症状・・・・・・・
・不定愁訴(頭痛、いらいら、疲労感 、肩こり、腰痛、体の不調、不眠、胸の圧迫感、耳鳴り、目や耳の痛み)

★聞こえない騒音?・・・・・・・・・
・一般には、低周波音は聞こえにくく、超低周波音は聞こえないといわれます。しかし被害者には聞こえるのです。
・さまざまな表現がされますが、グア~ン、キィ~ン、蜂の大群がうなっている音、という表現もあります。

@僕の経験では、無数の金属音の共鳴音。目を閉じると大波がうっているのです。耳栓をするとかえって、金属音だけがとぎ澄まれてきつくなります。むしろ雑音があるほうが楽なのです。相殺してくれるのでしょう。
風力発電の会社が、”二重窓にさせていただきます”と提案しますが、これは曲者で、二重窓にすると、雑音が消え、その分、低周波音が純粋に鋭く聞こえてくるのです。僕も思いつくあらゆる対応をしましたがダメでした。
結局、音源をなくすか、音源から遠く逃げるしかないのです。

★脳で聞いている音?・・・・・・・・・・・・・
・雑音は耳で聞いていると確信できますが、低周波音は「耳を介しない脳への直接作用としてみたほうが理解しやすい場合がある」、「睡眠中のゆっくりした脳波の時に、もっと早い低周波音が着たら眠りが妨げられる」
・「低周波音の周波数は、人体の普通の細胞にもなじめる周波数」

@雑音は耳で聞いている感じがしますが、低周波音は、僕には骨で聞いている、あるいは神経で聞いていると思えてなりませんでした。雑音は弱いエネルギーですが、低周波音は強いエネルギーのせいなのかも知れません。
骨や神経に差し込んでくる感じなのです。全身を不快に重苦しくしていきます。低周波音は、ガマンできない。

★低周波公害の4段階
・第1段階(不感期)・・・・・なんともない。感じない。聞こえない。
・第2段階(前駆期)・・・・・うるさいな~、いやだな~と思っている。身体的症状はなし。
・第3段階(移行期)・・・・・もうガマンできない。低周波音が聞こえる。
・第4段階(完成期)・・・・・いろんな症状が出る。まったくガマンが出来ない。医者のはしご。

@僕の場合、冷蔵庫のブーンという音が耳につき出して、2週間くらい後には、耐え難くなり引っ越しました。

★交感神経と副交換神経・・・・・・・・・・・
・「低周波音に対しては、交感神経が緊張しているときは平気であり、副交感神経が緊張しているときは、敏感であると考えることが出来る。活動している人はよいが、休養している人はたまらんというわけです」

@確かに、昼間活動しているときは比較的ましなのですが、夜、休んでいるときは、ガンガン、グイグイと低周波音は体に鋭く入り込んできます。だから風力発電の被害者たちは、”とにかく夜だけでもまずとめてくれ!」と叫んでいるのでしょう。
夜は、別にアパートを借りて、そこに寝にいっていましたね。