2009年8月2日日曜日

低周波音って?

田中正治


現在、事務局の阿部さんと僕が住んでいる千葉県・鴨川と南房総市の境に、巨大風力発電建設計画が持ちあがっています。今現地では急速に住民の反対の声が上がっています。
いろんな問題が浮き彫りになってきていますが、ひとつ不気味なのは、風力発電機が出す低周波音です。
すでに建設され発電が開始されている、各地の風力発電周辺の住民から悲鳴が上がっています。

風力発電ではないのですが、僕は11年ほど前に、冷蔵庫の低周波音にやられ、その後数年間、頭痛、不眠、肩こり、眼痛、倦怠・・・に悩まされた経験があります。

そのとき、読んだ「低周波公害のはなし」(汐見文隆著)を、今もう一度読み直しています。汐見氏は当時、被害者住民の側に立って、人々の痛みと苦しみを感じようとし、励ましてくれたただ一人の専門家だったように記憶しています。汐見氏は今も83歳の高齢でありながら、なお志を貫き、人々のために闘っておられます。
「低周波音公害を語る」汐見文隆 公式サイト


「低周波公害のはなし」の中で、僕の心に留まったところをご紹介します。風力発電問題を考えるヒントにしていただければ幸いです。

★低周波音とは?・・・・・・・・・・・
・「音とは、空気中を伝わる波(空気振動)のこと」「その1秒間の振動数をヘルツ(Hz)という単位で呼ぶ」
・「一般の人の耳は、20ヘルツから2万ヘルツの間の音を聞き取ることが出来る」
・「人間の会話は通常500~2000ヘルツ前後で行われ」る。
・「100ヘルツ以下になると耳の感度が急速に低下する」
・100ヘルツ以下の音を低周波音といい、一般には、人間の耳には聞き取りにくい。
・20ヘルツ以下を超低周波音といい、一般には、人間の耳には聞こえない。

@ちなみに「南房総風力開発KK」の「風力発電所事業計画」書によれば、・・・・・・・・・・
彼らは「風車直下」で計測している。「風車直下」は、”灯台下暗し”で影響は少ない盲点のはずです。
しかも「超低周波音」のみ計測、公表していて、「低周波音」は計測していないか、計測していても何か公表したくない結果が出てきたのかもしれない。
そうした結果「したがって人体に感知される超低周波音は、風車周辺には存在しないと判断される」といっている。
どうもまやかしが隠されているようだ。

★低周波音の発生源は、・・・・・・・・・
・工場の機器(エンジン、ポンプ、ボイラー、モーター・・・)
・輸送機器(自動車、電車、航空機・・・)
・家庭電化機器(冷蔵庫、エアコン、掃除機・・・・)
・タービン(風力発電・・・・)

★「音の強さ(エネルギー)は、音の圧力の2乗に比例」する。音の圧力の単位はデシベル(dB)。

★基準は被害者にあり・・・・
・「低周波音には規制の基準がありません。したがって、低周波を測定し、
その数値をよりどころに、堂々と胸を張って被害を訴えることが出来ます。基準のないことが被害者の救いにもなりうるのです」。「現在、基準は行政や企業のためにあるのであって、住民のためにあるのではない」

★低周波音の被害症状・・・・・・・
・不定愁訴(頭痛、いらいら、疲労感 、肩こり、腰痛、体の不調、不眠、胸の圧迫感、耳鳴り、目や耳の痛み)

★聞こえない騒音?・・・・・・・・・
・一般には、低周波音は聞こえにくく、超低周波音は聞こえないといわれます。しかし被害者には聞こえるのです。
・さまざまな表現がされますが、グア~ン、キィ~ン、蜂の大群がうなっている音、という表現もあります。

@僕の経験では、無数の金属音の共鳴音。目を閉じると大波がうっているのです。耳栓をするとかえって、金属音だけがとぎ澄まれてきつくなります。むしろ雑音があるほうが楽なのです。相殺してくれるのでしょう。
風力発電の会社が、”二重窓にさせていただきます”と提案しますが、これは曲者で、二重窓にすると、雑音が消え、その分、低周波音が純粋に鋭く聞こえてくるのです。僕も思いつくあらゆる対応をしましたがダメでした。
結局、音源をなくすか、音源から遠く逃げるしかないのです。

★脳で聞いている音?・・・・・・・・・・・・・
・雑音は耳で聞いていると確信できますが、低周波音は「耳を介しない脳への直接作用としてみたほうが理解しやすい場合がある」、「睡眠中のゆっくりした脳波の時に、もっと早い低周波音が着たら眠りが妨げられる」
・「低周波音の周波数は、人体の普通の細胞にもなじめる周波数」

@雑音は耳で聞いている感じがしますが、低周波音は、僕には骨で聞いている、あるいは神経で聞いていると思えてなりませんでした。雑音は弱いエネルギーですが、低周波音は強いエネルギーのせいなのかも知れません。
骨や神経に差し込んでくる感じなのです。全身を不快に重苦しくしていきます。低周波音は、ガマンできない。

★低周波公害の4段階
・第1段階(不感期)・・・・・なんともない。感じない。聞こえない。
・第2段階(前駆期)・・・・・うるさいな~、いやだな~と思っている。身体的症状はなし。
・第3段階(移行期)・・・・・もうガマンできない。低周波音が聞こえる。
・第4段階(完成期)・・・・・いろんな症状が出る。まったくガマンが出来ない。医者のはしご。

@僕の場合、冷蔵庫のブーンという音が耳につき出して、2週間くらい後には、耐え難くなり引っ越しました。

★交感神経と副交換神経・・・・・・・・・・・
・「低周波音に対しては、交感神経が緊張しているときは平気であり、副交感神経が緊張しているときは、敏感であると考えることが出来る。活動している人はよいが、休養している人はたまらんというわけです」

@確かに、昼間活動しているときは比較的ましなのですが、夜、休んでいるときは、ガンガン、グイグイと低周波音は体に鋭く入り込んできます。だから風力発電の被害者たちは、”とにかく夜だけでもまずとめてくれ!」と叫んでいるのでしょう。
夜は、別にアパートを借りて、そこに寝にいっていましたね。


0 件のコメント: