2014年3月16日日曜日

【遺伝子組み換え】急減するGM開発費 中国はGM食品に距離か?

【転載】
━ No.617 ━━━━━━━━━━━━━━
有機農業ニュースクリップ
 2014.03.16
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≪ 今日の目次 ≫
■急減するGM開発費 中国はGM食品に距離か?
■相次ぐGM作物栽培禁止決定ブラジルとメキシコ

≪ 遺伝子組み換え ≫
■急減するGMO開発費 中国はGM食品に距離か?
中国のGMO開発費が急減しているとのロイターが3月10日にが
報じた。

2008年、中国はGM開発12カ年計画に260億元(4400億円)の資金投入を決め、2010年には20億元(340億円)を投入している。しかし、2013年には4億元(70億円)と8割も急減しているという。

中国は2009年、自国開発の害虫抵抗性GMイネ・Bt63の試験栽培を承認したと伝えられた。

中国のGM作物管理に関する法律「農業遺伝子組み換え生物安全管理条例」では、商業栽培以前の栽培試験として、小規模(中間試験)、中規模(環境放出)、大規模(生産試験)の3段階が必要であり、その都度、農業部の農業GM生物安全委員会の承認を得なければならないとされている。

4年後までに認可されるだろうという見通しもあったが、2012年1月にグリーンピースは中国政府筋の話として、このGMイネの商業栽培への動きを停止していると報じている。

現在、中国で商業栽培が公式に認められているGM作物は、GMワタとGMパパイヤだけであるというものの、4つの州で違法栽培が確認されているとしている。

昨年11月から今年2月までに中国の税関当局は、米国産トウモロコシに未承認品種(シンジェンタ社・MIR162)が混入しているとして、89万トンの輸入を禁止したという。

問題となった中国では未承認のGMトウモロコシMIR162を開発したシンジェンタは、その早期の承認を求めている。中国政府農業部副部長は3月初め、MIR162の承認は2014年前半中に可能と答えたいう。
・Reuters, 2014-2-27
China's approval process for GMO grains 'overly political'
http://www.reuters.com/article/2014/02/27/china-gmo-crops-idUSL3N0LW2BP20140227

・Greenpeace, 2012-1-31
China says 'no' to genetically engineered rice
http://www.greenpeace.org/international/en/news/features/China-says-no-to-genetically-engineered-rice/

・Reuters, 2014-2-28
China rejects 887,000 T U.S. corn due to GMOs since Nov
http://www.reuters.com/article/2014/02/28/china-gmo-usa-idUSL3N0LX4IQ20140228

・Reuters, 2014-3-5
China says could approve Syngenta's MIR162 GMO corn
in H1 2014
http://www.reuters.com/article/2014/03/05/china-syngenta-corn-idUSL3N0M210E20140305

●政府庁舎の食堂では“緑色” 一部で脱GM

今年の2月、中国政府財務部庁舎内の食堂でGM食品を使わないように、とする財務部長の「命令」により、職員の健康のため、使用する食品を安全な非GM食品としたという。

使っている大豆油は、中国東北産の安全な非GM大豆油であるとしている。財務部に先立ち教育部でも同様な措置が取られ、使用する大豆油を非GM製品に変更したという。

中国は世界一の大豆輸入国で、年間6550万トンを米国、ブラジル、アルゼンチンなどから輸入している。

・Sustainable Pulse, 2014-2-21
Chinese Finance Ministry Bans GM Oil for Staff to
Safeguard Health
http://sustainablepulse.com/2014/02/21/chinese-finance-ministry-bans-gm-oil-staff-safeguard-health/

●健康懸念から距離を置きつつある?

中国人民代表大会の最中の3月6日、農業部の韓長賦部長は記者会見で「GM食品を食べるか」との質問に、「GM食品を原料とした加工品は食べている」答え、具体例として大豆油を挙げ「中国の大豆油は主に輸入大豆を加工したものであり、輸入大豆
のほとんどは遺伝子組み換えの大豆だ」と語っている。

また、この中で、中国のGM表示について大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、トマトの5作物の17製品にGM表示が義務付けられているとしている。8作物の日本と比べその承認作物は少ない。

開発予算の急減とともに、昨年11月より始まった未承認品種の混入による輸入拒否は、中国のGM政策の変更、修正が行われた可能性を示唆している。

輸入GM大豆は別として、食用として商業栽培が認められているのはGMパパイヤだけである。

一時は商業栽培間近とも見られたGM米の“中止”など、中国は直接ヒトの口に入るGM食品から距離を置きつつあるようにも見える

・中国農業部, 2014-3-10
主要作物の遺伝子組み換え生産、認可されておらず
http://japanese.agri.gov.cn/xw/201403/t20140313_21410.htm

※中国農業部は、中国語は当然だが、加えて英語、ロシア語、韓国語とともに日本語サイトを開設している。内容からみて輸出入を念頭にしたものだろうが、輸出拡大を言いつつも、貧弱な英語サイトだけの農水省に比べ、力の入れ方が違う。

■相次ぐGM作物栽培禁止の決定ブラジルとメキシコ
ブラジルとメキシコの裁判所が、相次いでGM作物栽培禁止の決定を下した。

ブラジルではバイエルの除草剤グリホセート耐性遺伝子組み換えトウモロコシが、メキシコ・ユカタン半島カンペチェ州ではモンサントのラウンドアップ耐性遺伝子組み換え大豆の栽培が禁止された。

●ブラジル:画期的な判決

ブラジルの控訴裁判所は3月13日、バイエルの除草剤グリホセート耐性遺伝子組み換えトウモロコシの栽培認可を取り消す決定を下した。

合わせて、市民が自由に文書にアクセスできるような基準の策定もブラジル・バイオセキュリティ委員会に命じた。

この取り消しを求めた裁判は、ブラジルの消費者擁護協会と全国
小農民連合が提訴していた。

・Sustainable Pulse, 2014-3-14
Historic Court Ruling Bans Bayer's GM Maize in Brazil
http://sustainablepulse.com/2014/03/14/historic-court-ruling-stops-cultivation-bayers-gm-maize-brazil/

●メキシコ:GMコーンに続く栽培禁止の決定

メキシコ・ユカタン半島カンペチェ州の地方裁判所はこのほど、モンサントのラウンドアップ耐性遺伝子組み換え大豆の栽培禁止の判決を下した。この裁判は、2012年6月に提訴されていた。

栽培禁止を求めたマヤのコミュニティは、GM大豆の栽培とそのための森林伐採が環境に影響し、養蜂に影響があると主張していた。

メキシコは世界4位のハチミツ生産国で、世界5位の輸出国でもあり、今年2月には、ユカタン半島のハチミツからGM大豆の花粉が検出されていた。

また、昨年12月には、モンサントが提訴したGMトウモロコシの栽培認可の確認を求める裁判では、訴えが却下されている。

・Sustainable Pulse, 2014-3-13
Mayans Win Legal Battle to Ban GM Soya
in Mexico's Campeche Region
http://sustainablepulse.com/2014/03/13/mayans-win-legal-battle-ban-gm-soya-cutivation-mexicos-campeche-region/

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