2013年6月25日火曜日

【農薬問題】農薬にさらされた影響は3世代後まで続く

【転載】 AFP
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2879544/8987064

農薬にさらされた影響は3世代後まで続く、米大学がラットで実験

 a.. 2012年05月24日 14:06 発信地:ワシントンD.C./米国
【5月24日 AFP】妊娠中のラットを一般的な農薬に暴露したところ、直接農薬にさらされていない3世代後の子孫にまで不安やストレスの増大といった影響が及ぶという実験論文が、米研究チームにより米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表された。

 研究チームは、この動物実験により、近年人々の間で増加している不安障害や自閉症、肥満といった問題の原因を説明することができる可能性を示唆している。

 論文の主執筆者の米テキサス大学(University of Texas)のデービッド・クルーズ(David Crews)氏によれば、今の世代の人類は化学革命によってこれら有害物質に さらされるようになってからの第3世代にあたるといい、「自閉症や双極性障害などの精神障害が増大していることは疑いの余地がない」と述べている。

 実験では、果物や野菜に一般的に使われていた殺菌剤で、動物のホルモンバランスを崩し何世代にもわたって影響を及ぼすことが知られている「ビンクロゾリン」を妊娠したラットに暴露した。

 研究チームはその後、ひ孫のラットのうち青年期まで成長したオスの体を拘束しストレスを与え、化学品を暴露されていないラットの子孫と反応を比較した。

 結果、殺菌剤を暴露された家系のラットは、暴露されていないラットの子孫と比べて体重が重く、テストステロン(男性ホルモン)のレベルが高かった。また、不安やストレス感度も大きく、脳のストレス関連領域ではより活発な活動が確認されたという。

 社交性を測る別のテストでは、殺菌剤を暴露されたラットの子孫は、新入りのラットや新しい環境への関心がより薄い結果となったという。

 研究チームは、化学品への暴露が精子や卵子の遺伝子構造に変化を及ぼし、青年期になった子孫のストレス反応に影響を与える可能性があると指摘している。
 
 論文の共同執筆者、米ワシントン州立大学(Washington State University)のマイケル・スキナー(Michael Skinner)氏によれば、メスの子孫を対象とした実験も現在進行中だとい う。また、実験でラットがさらされた薬品の量は「(通常の)環境下で想定される量よりは多いが、この特定の化学品が環境に存在するレベルは詳しく分かっていない」とも説明した。

 スキナー氏は、この実験の目的は人間へのリスクを見積もることではなく、農薬への暴露によって起こりうる問題を調べることにあると付け加えている。

 ビンクロゾリンは、米国の農業で1980年代初期に防かび剤や防腐剤として使用され始めたが、テストステロンなどの男性ホルモンを模倣し通常の性的発育を阻害する恐れがあるとの研究結果が報告されたことから、その使用は急激に減少していった。(c)AFP

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