田中正治
新庄水田トラストでは”さわのはな”を栽培しています。
山形県尾花沢で50年前に生まれたもので、市場からはほぼ姿を消していますが、一部の農家が”おいしい”のでつくり続けていました。
少し粒は小さいのですが、胚芽が大きくしっかりしています。精米すると少し乳白色ぽくなるので、米の検査では、等外米になったりするので、市場向けには農家はつくらず、自家飯米として栽培していました。
新庄水田トラストは、10年前から、遺伝子組み換えNO!の田んぼを増やしていこう、在来種を拡大していこうという趣旨で、都市住民と農家が協力して”さわのはな”を栽培しています。
もっとも普段の栽培管理は農家に委託して、都市会員が農作業に参加するのは田の草取りです。
10年間、百数十名の都市会員と7名の農家の産消提携の運動です。
”さわのはな”は、梅雨に入っても食味が落ちないお米なので、年間にわたってトラスト会員がお米を受け取るのには適しているようです。普通、お米は梅雨に入ると食味がぐんと落ちますので。
モンサント社をはじめ、世界のアグリビジネスは、種(たね)を支配しようとしています。日本の野菜の種も気がつかない間に、ほとんどを輸入に頼ってしまっているのが現状です。
種子の自家採取の権利は、知らない間に狭められようとしています。種子会社の特許権(知的所有権)をたてに、農民が永代にわたって種子を採取してきた自家採取の権利が狭められようとしています。
自家採取こそ農業の根幹だといってよいでしょう。
在来種はその土地にあった品種ですので作りやすく、また気象条件にも適応能力があります。
日本中にまだまだ沢山の在来種が受け継がれています。でも、それが農家の自家消費にとどまるなら、栽培していた農家のおばあちゃんが亡くなられたらそれでおしまいになるでしょう。ですから、トラストや産直といった方法で、生産・流通・消費のサイクルを作る必要があるのです。
山形県・長井市のフォークソンググループ・影法師が、さわのはなにささげる歌を作曲しました。
タイトルは、「コメのコメ さわのはなに捧ぐ」
「50年前に 生まれた米が いまなお田んぼで きらめいている・・・」 「時代に合わぬと 捨てられた米が米の未来を 指し示している・・」
(写真は、フォークグループ・影法師)
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