2010年5月3日月曜日

ニュージーランド 巨大な卵巣が人間の不妊治療用ミルクを出すはずのGM子牛を殺す

農業情報研究所(WAPIC)
10.5.3



 ニュージーランド草地農業研究所(AgResearch)の 研究者が人間の不妊治療用ミルクを出させようと作った遺伝子組み換え(GM)牛が、この牛を殺すほどに巨大化した卵巣のために死んだ。研究者はこれは大した問題ではなく、科学者の学習過程の一部にすぎないと言うが、反GMグループは、これはAgResearchの研究を監督する動物福祉委員会が倫理観をまったく欠くことを示すと批判しているということである。

 研究者は、人間の卵胞刺激ホルモン(FSH)が人間の不妊治療に使うことができるミルクを産 生できるように牛を作り変えると考え、牛の卵巣から得た卵子に牛の細胞に注入した人間のFSH遺伝子を加え、これを牛の子宮に入れた。こうして生まれた4頭の子牛は、FSH遺伝子を持たないそのクローン牛よりも成長が早かった。FSH子牛は腹部が大きく、首が太い以外、健康に見えた。

 しかし、生後5ヵ月のときの検査で、4頭中の3頭の卵巣が異常に大きいことが発見された。これらの子牛が6ヵ月になったとき、1頭は、卵巣の奇形が原因と見られる子宮動脈出血で急死した。その5日後には、卵巣がねじれ、子宮から分離したのちに2頭目が死んだ。同じ日、オーバーサイズの卵巣が3頭目を殺した。

 研究者は、トラブルの根は、人間のFSH遺伝子が、意図したように乳腺だけでなく子牛全体に影 響を与えてたことにある、マウスの実験ではこんなことは予期されなかったが、これも研究にはつきものと言っているそうである。

 Mutant cows die in GM trial,The New Zealand Hearald,5.1
 http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10642031&ref=rss

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