2008年10月14日火曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点②

● 裏切られた期待(1)増えない組換え作物の収量、しかしGM化が進む理由

1996年にアメリカで本格的に栽培が始まるまで、大々的に宣伝されたGM作物の収量増加について、第三者による本格的な検証が始まったのは、1998年になってからである。

アメリカ中西部の穀倉地帯ネブラスカ州やイリノイ州など8つの州立大学が、モンサント社の除草剤耐性大豆とその親株を使い、大々的な収量試験を行った。
その結果は、全く予想を裏切るものであった。

親株の在来種に比べ、除草剤耐性大豆の収量は平均で6%、地域や株によっては20%以上も減収した。除草剤耐性と同じく収量増が期待された殺虫遺伝子を持つトウモロコシ(Bt)も収量は親株とほとんど変わらす、農家にとっては遺伝子組換え種の値段が高くなり、契約により自家採取できないマイナス面があらわになった。
除草剤耐性ナタネの収量も非組換えに比べて数%~10%の減収である。

にもかかわらずアメリカでは何故今もGM作物の栽培が増えつづけているのだろうか。理由は、アメリカ政府による大規模なGM補助金である。アメリカの農家の大豆生産コストは市場価格の2倍にも上る。その差額は政府の農業補助金、即ち税金でまかなわれている。

農家は補助金さえでれば、省力化が可能で大規模栽培に適したGM作物を増やす。
アメリカはGM大豆やトウモロコシ、綿などを大規模に栽培し、世界の中で穀物輸出における主導権を目指している。GM作物はアメリカにとって戦略物資である。

アメリカは自国の作物に対する手厚い補助金で輸出価格をダンピングし、WTOを通じた自由貿易競争を主張して、アジアやアフリカの農業の競争力をそぎ自立を妨害している。

他方で、飢餓に苦しむアジアやアフリカ諸国にGM作物の援助受け入れを強要している。遺伝子組換え作物が投機の対象になる傾向は、GM作物がエネルギー作物として認知されるようになった現在、ますます激しさを増すと考えられる。
>>遺伝子組換え作物の現状と問題点③

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