2015年4月27日月曜日

【遺伝子組み換え】有機農業ニュースクリップ No.662

【転載】
━ No.662 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

               有機農業ニュースクリップ

                 2015.04.23
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
≪ 今日の目次 ≫
 ■北海道:農民がGM作物試験栽培を要請
  道民の8割は栽培に懸念


≪ 遺伝子組み換え ≫
■北海道:農民がGM作物試験栽培を要請
 道民の8割は栽培に懸念

  国際的な遺伝子組み換え推進団体の国際アグリバイオ事業団は
 4月22日、北海道農民協会が50名の農民の署名をつけて、北
 海道立総合研究機構に遺伝子組み換え作物の試験栽培実施の要請
 書を提出したと報じた。こうした遺伝子組み換え作物栽培への動
 きは、2003年に明らかになった「バイオ作物懇話会」(長友
 勝利代表)による全国各地で行われたモンサントのラウンドアッ
 プ耐性GM大豆の栽培以来のこと。要請を行ったとされる「北海
 道農民協会」がどのような組織であるかは明らかでない。

  北海道農民協会は4月7日、北海道が100%出資の地方独立
 行政法人である北海道立総合研究機構(略称:道総研)へ要請書
 を提出し、大豆、トウモロコシとテンサイを含む遺伝子組み換え
 作物の試験栽培を要請したとしている。

 ・ISAAA, 2015-4-22
  Hokkaido Farmers Association Petitions GM Crops
  Field Testing
  http://www.isaaa.org/kc/cropbiotechupdate/newsletter/default.asp?Date=4/22/2015#13320


  昨年の北海道による道民意識調査では、遺伝子組み換え作物の
 栽培自体を不安視する人が8割を占めている(「不安に思う」
 48.0%、「やや不安に思う」31.8%)。こうした道民の
 意識を考えれば、この要請が容易に理解されるとは考えられず、
 試験栽培といえども実施は難しいのではないか。

  北海道知事には、条例で遺伝子組み換え作物の試験や栽培につ
 いて中止命令権がある。2005年に公布された北海道の遺伝子
 組み換え作物栽培規制条例で知事は、試験栽培に対して「届出の
 あった試験研究機関に対し、必要に応じて勧告、栽培中止命令、
 必要な措置を命令」が可能である。高橋知事は、泊原発再稼動容
 認の姿勢をはっきりと示している。このような知事が試験栽培を
 認める可能性が全くないとはいえないだろう。

  今回の要請は、道民の遺伝子組み換え作物栽培への懸念に対す
 る観測気球、あるいはキャンペーンなのかもしれない。しかし、
 今後の動きには注意が必要だ。

 ・北海道
  北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に
  関する条例の概要
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/05/anzen/gmjyourei-gaiyou-26.3.28.pdf

 ・北海道, 2014-11
  道民意識調査 5 遺伝子組換え作物等について
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tkk/01chosei/ishiki/26idenshikumikae.pdf

  今回の要請は、冨田房男氏(日本バイオテクノロジー情報セン
 ター代表)主導で行われた模様だ。冨田氏は、今年1月1日付け
 の日経バイテクOnLileのインタビューで、「着実に2015年こ
 そ北海道で組換え作物が少なくとも試験栽培され」「2016年
 には、遺伝子組換え作物の栽培にこぎ着けたい夢見ている」と、
 GM作物栽培実現への期待を語っている。

  冨田氏はまた、遺伝子組み換え作物栽培推進団体である北海道
 バイオ産業振興協会の理事・名誉理事長であり、2003年より
 自身が代表のA-HITBio社より、GM大豆を使った納豆を販売して
 いる。

 ・日経バイテクOnLile, 2015-1-1
  新春展望、冨田房男=日本バイオテクノロジー情報センター代表
  https://bio.nikkeibp.co.jp/article/news/20141231/181466/

 ・(有)A-HITBio, 2003-11-28
  (有)A-HITBio米国産遺伝子組換え大豆95%使用した納豆新発売
  http://www.a-hitbio.com/news/


  日本でGM作物が商業栽培される可能性は、コメ以外はほとん
 どないのではないか。TPPやEPAによる“貿易自由化”によ
 り、安いトウモロコシや大豆が輸入されることになれば、日本で
 のGM作物栽培は、ますますその可能性が少なくなる。GMトウ
 モロコシを、年間1000万トン以上輸入している日本に期待さ
 れているのは、栽培国ではなく消費市場としての役割だろう。コ
 メ以外のGM作物が栽培されるとすれば、それは“広告塔”とし
 ての役目しかない。

【北海道GM作物栽培規制条例】
  2003年5月に北海道農業研究センターが、札幌市内の同セ
 ンター敷地内の開放系水田でGMイネの試験栽培を発表。危惧し
 た市民や農家が事前説明会に集まり騒然となった。結局、GMイ
 ネの田植えは強行されたが、GM作物栽培規制条例の制定を求め
 る声に押され、ガイドラインを経て2005年罰則付きの条例が
 制定された。

 ・日本有機農業研究会 『土と健康』 05年3月号
  北海道は、今まさに試されている!―「GMイネの試験栽培」
  から「規制条例」上程までの経緯―
  http://www.joaa.net/gmo/gmo-0503-01.html

【バイオ作物懇話会によるGM大豆栽培】
  バイオ作物懇話会(長友勝利代表)は、2001年からモンサ
 ントの除草剤ラウンドアップ耐性GM大豆を無償で提供して、全
 国各地の一般農地で栽培させてきた。実態は明らかではないが、
 モンサントのGM種子の無償提供のみならず、農地の使用料など
 を支払っていて、モンサントとの関係が疑われた。
  2003年7月、茨城県谷和原村(当時)で開花させることが
 明らかになり、緊急に花粉飛散防止行動がとられた。

 ・日本有機農業研究会『土と健康』, 2003年8・9月合併号
  茨城県谷和原村の遺伝子組み換え大豆汚染阻止行動をめぐって
  http://www.joaa.net/gmo/gmo-0308-03.html


【関連記事】
 No.650 北海道道民意識調査:GM作物・食品に8割が「不安」
 http://organic-newsclip.info/log/2015/15030650-1.html


==============================
有機農業ニュースクリップ
 ご 連 絡:info@organic-newsclip.info
 配信停止:clipret@organic-newsclip.info

 公開サイト:http://organic-newsclip.info
 遺伝子組み換え関連情報:
  http://organic-newsclip.info/gmo2/gmo_news.html
 東京電力原発事故:放射能汚染関連資料:
  http://organic-newsclip.info/rad/
 ツイッター:
  http://twitter.com/OrganicNewsClip
==============================

0 件のコメント: