2013年7月7日日曜日

【TPP】環太平洋経済連携協定

・TPP最大の問題は農業か?
TPPでは「2015年までに工業製品、農産物、金融、サービス等、全ての商品について、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃すること」にある。
第二次大戦後のGATTはモノの貿易自由化、1995年発足のWTOはサービス、知的所有権の自由化が特徴だが、TPP最大の特徴は金融の自由化である。米国がTPPに参加してから、金融・投資が一気に焦点になった。オバマは大統領選挙時には、“NAFTAはウオール街の利益にしかならない”と反対し当選したのだが、今はウオール街のためにNAFTA:TPPを推進している。

(TPP : NAFTAはウォール街の利益のみだと反対表明 オバマ大統領候)

・TPPは郵政民営化の完成か?
2007年郵政民営化によって、郵便局、郵便事業、郵便貯金(郵貯銀行)、郵政保険(簡保)が持ち株会社化された。2017年には完全民営化されるが、その焦点は郵貯銀行(世界最大の銀行)226兆円、簡保120兆円を誰が支配するのかである。完全民営化になればM&A(合併や買収)の対象になる。多国籍銀行の投資による支配の対象になる。TPPはこれらの動きを加速することになる。

・農産物の「例外なき関税撤廃」になれば・・?
例えば、米は1俵(60kg)¥4000(10kg=\666)で輸入されるとの試算がある。仮に流通経費等加算し、消費者価格・¥8000(10kg=\1300)としても、日本の農家の現在での出荷価格・1俵=¥13000に比べても、到底再生産可能な価格ではない。仮に政府が主張するように農家平均耕作面積を現在の10倍(20ha)に拡大したにしても、1俵(60kg)の生産費は¥11206と試算されていて、全く採算に合わない。農水省は食糧自給率は40%から14%に下落する試算する。
また、JAの農業関連事業と、信用・共催部門の分離が進められれば、JAbankと農業共済(44兆円)が投資と金融支配の対象になるだろう。
更に、モンサント、デュポン、シンジェンタ社等多国籍GMアグリビジネスは、種子の特許化による、種子、農民、食糧支配を準備している。TPP参加はこれらを促進するだろう。

・「混合診療全面解禁」は、何をもたらすか?
米政府と米保険会社は、日本政府に「混合診療全面解禁」を長期にわたって要求してきた。混合診療とは、健康保険による診療と健康保険適用外の自由診療との並存である。病院は公益法人であり、健康保険診療は公定価格で、営利ビジネスの外国医療資本にとってこの公定価格は「障壁」である。高価な自由診療による高利益の確保こそその目的なので、「混合診療全面解禁」、自由診療、医療技術の特許化が、TPPによってすすめられるだろう。現在のアメリカは貧者にとっては医療地獄であるが、日本の国民皆保険制度が衰退し、アメリカ型医療システムが主流になるなら、医療地獄が来ないとも限らない。

・TPPの核心とは?
ISD条項(投資家と国家との紛争解決手続き)が核心。外国企業が日本の法律や制度や慣習によって経済的不利益を受けたと判断した場合、日本国家を世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」に訴えることが出来るという条項だ。世界銀行はアメリカ金融資本がもっとも影響力を持っており、すでにメキシコ、カナダ政府は、アメリカ企業に訴えられ敗訴している。多国籍巨大資本が、国民国家をねじ伏せ、各国の経済や生活に直接関与支配・搾取できるシステムである。

・「ISD条項は合意しない」というのは本当?
3月15日、安倍政権はTTP参加を表明し、4月12日には日米両政府によるTPP[事前協議]に関する合意文書を交わした。「非関税障壁」はTPP交渉終了までに完結するとしている。
TPPに参加した場合、1)現行加盟国合意文書について再交渉は出来ない、無条件参加。2)将来における決定事項についての拒否は出来ない。3)非公開(秘密交渉)である。
例えば、安倍自民党は「TPP交渉参加の判断基準」のなかで「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」と記載されているが、そんなことは可能なのだろうか?

TPPに参加している米国の国会議員ですらTPP条文テキストを見ることができないのだ。しかし、米国には貿易協定に関する「アドバイザー制度」なるものがあり、アドバイザーとされた約600の米国大企業・団体はテキストを自由に見ることができる。
交渉に参加するまでは条文テキストも見ることはできず、すでに決まった項目(分野)については議論を蒸し返すことはできない、文言の一つも変えることは許されない、というのが実態だ。

・STOPするには、どういう行動が必要か?
  1. 安倍政権に、TTP参加を表明を撤回させる
  2. もし仮に参加した場合は、国会批准を阻止行動
  3. TPPからの脱退要求
  4. 大規模な反TPPの運動(街頭行動とface boook ツイッターなどの利用)
  5. 国内法改悪阻止行動
  6. 国境を越えた反TPPの連帯行動。国際的NGOでは、1999年WTOドーハーラウンドをSTOPさせた“シアトルの時のようにやろう”が合言葉になっている。

・車の両輪で闘おう
反TPPの行動と同時に、TPPに対抗するオルタナティブな社会運動が不可欠だ。オルタナティブナ社会運動とは、もうひとつの価値観とシステムの創造。循環型社会システムがそれで、例えば金融については、大銀行に対抗する労働金庫、城南信用金庫のような地域金融機関、マイクロクレジット、市民bank、地域通貨など、民衆のための金融システムへの参加だ。市中銀行や郵便貯金から預金を引き出し、こうしたオルタナティブナ金融機関を育てていくことが必要である。

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