2014年8月9日土曜日

【あべふみこのあっちこち】鴨川だより・awanova


阿部文子


7月27日はawanovaマーケット&cafeの日だった。
この日はいつもとちょっとちがって、午後3時からの開催。年1回、全ての出品が100%地域通貨・安房マネーで買える日だ。

連れ合いの田中が出張だったので、歩いて3時にawanovaに到着すると、すでに、カキ氷、コーヒー、パン屋が出店していて、私も店を出す。子供服、おもちゃ、ゆかた、手ぬぐい、お財布、石鹸、醤油、天日塩、お茶など。

awanovaは地域通貨・安房マネーの女性会員3人が2011年に立ち上げたプロジェクト。鴨川・大山商店街に近く、88号線の傍にある小さな食品加工工場を改装したオーガニックマーケット&cafe だ。

屋外にテーブルを並べて仲間が集まる。いつもは月一回新月の日に開催。お昼前後に集まっては情報交換、近況確認、雑談をしながら過ごす。

手に入るものは、オーガニック食品の量り売り、手作り菓子、パン、有機野菜やお米、味噌や醤油や食用油、自家製チーズやヨーグルト、コーヒーやランチ等。時には花の種や苗なども並ぶ。

最近では近所のおばあちゃん達、館山や千葉市内からの参加者もあって話が進む。この日も、東京にオフィスを構えて「鴨川の隣町に引っ越してきて、田んぼも人も確保しているんだけど、農業の指導をしてくれる人がいない」といった若いカップルからの相談があったので、後日、田中を通して新庄のお百姓とつなげることにした。

夕方、私はクロ(犬)の散歩もあって先に帰ったけれど、”影絵”の上映などもあって盛り上がったそうである。

近くの”sugar&salt cafe”で、9月から貸ステージやcafeを開く予定のハリントン・クリス&エリ夫妻を中心に、外国人7-8人がテーブルに集まり、開店への話が進んでいたようだ。

その中の女性が、”ゆかた”に興味を示し、自分の背丈に合った”ゆかた”を購入。まだ安房マネーに参加していないので、現金で400円。でも、とても、とてもうれしそうで、袖を通したりしていた。

awanovaも、ハリントン・クリス&エリ夫妻のsugar&salt cafeもそうだが、今トレンドのコラボレーションである。何かを共通項とする、個人のソフトな協同作業である。クリスたちの場合、日本に在住する外国人、日本人女性と結婚し日本に住むことになった欧米人の交流の場、協同作業の場のようだ。

awanovaに出入りする人達は、半農半Xの人が多い。自分の好きな仕事を通じて作品を創り、ささやかに現金に換えながら生活し、同時に田んぼ創りもする。家族だけでの人もいれば仲間と一緒に農作業し、収穫を分かち合う人達もいる。農作業を通じて地元のお年寄り達との?がりも出来、お年寄り達の知恵を引き継ぎながら、炭焼きをしているグループもある。

しかし、こうした地域の動きが地域の枠にこもっていていいのだろうか。3・11福島原発事故によって、これまであったコミュニティーのつながりはかなり壊れた。子どもを育てる時期にあった10家族ほどが、放射能を逃れて京都、岡山、広島、四国、九州、沖縄へと移住していった。

それまで、私も、この地震列島の上に、40以上の原発があることを意識しないで生活していた。現在ではもうそれは許されない。原発反対の声を上げなければ、地域でどんなユニークな活動をしていても、結局、原発再稼動を進め、原発輸出さえしようとしている政権に加担することになってしまう。

だから時々首相官邸前の抗議行動にも出かける。鴨川や館山での小さな抗議行動にも出かける。そうせずにはいられない。

”もうひとつの世界は可能だ!”この言葉が主張されてから久しい。今日では、資本主義を超えたいというもっと切実な願いが起こっているように思う。だが、そこに至る道筋は未だ不透明である。

若いひとたちの中から生まれている”分かち合い・シェア”の動きは、全ての人々に係わる資本主義の根幹、商品、貨幣を超えようとし、そして私たちの望む働き方に接近している1つのプログラムではないだろうか。

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