2014年6月27日金曜日

【遺伝子組み換え】EU諸国やロシア、中国の“GM離れ”が顕著

転載
━ No.625  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 有機農業ニュースクリップ

                 2014.06.27
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≪ 今日の目次 ≫
 ■遺伝子組み換え作物はどうなっている(1)


■遺伝子組み換え作物はどうなっている(1)

  遺伝子組み換え作物の“伝道師”国際アグリバイオ事業団
 (ISAAA)は、毎年世界のGM作物栽培の状況を公表している。今年2月に公表された2013年版ではGM作物の栽培面積は1億7千5百万ヘクタールに達し、途上国での栽培面積が先進国を上回ったとしている。言い換えれば、米国やカナダなどの先進諸国でのGM栽培が頭打ちになったことを意味しているにすぎない。

  一方で、EU諸国やロシア、中国の“GM離れ”が顕著になってきている。中国は、未承認品種の混入を理由として米国産トウモロコシの輸入を停止し、解放軍はGM食品とGMダイズ由来の食用油を禁じた。ロシアは、WTO加盟条件であった2014年6月からのGM作物栽培認可を、さらに3年延長した。

  各国のGM作物・食品の状況を、規制強化の動きを軸にまとめてみた。

 ・遺伝子組み換え - 2014年 世界の商業栽培と規制の動き -
  PDF http://organic-newsclip.info/log/gmo/GM_2014-06.pdf
  写真  http://organic-newsclip.info/img/gmo/GM_2014-06_s.jpg


 ●中国:顕著な“GM食品離れ”
  中国は、GMワタなどのGM作物を420万ヘクタールで栽培する、世界第6位の“GM大国”である。しかしこの数年、急激に“GM離れ”の政策が顕著となってきた。

  中国は昨年秋、米国産トウモロコシに未承認のGMトウモロコシMIR162(シンジェンタ)が混入していたとして積戻し処分とした。それ以降今年の春までに、輸入禁止となった米国産トウモロコシは100万トンを超え、総額29億ドルに達すると見られている。中国農業部の公表資料では14年1月から3月の四半期、トウモロコシ、アルコール醸造滓(DDGS)ともに前年比を上回る量が輸入されている。DDGSは、前年比323%と異常な量が伸びとなっている。しかし、今年6月に入って中国の税関当局は、MIR162の混入リスクを理由として、米国からのDDGS輸入を停止した。

  中国政府はまた、GM開発予算を急減させている。2008年、中国はGM開発12カ年計画に260億元(4400億円)の資金投入を決め、2010年には20億元(340億円)を投入している。しかし、2013年には4億元(70億円)と8割も急減しているという。また、商業化への承認間近とされた中国開発の害虫抵抗性GMイネは、2011年に棚上げされた。

  今年2月、中国政府庁舎の食堂からGM食品が排除されていると報じられた。4月には、中国科学技術部(日本の旧科学技術庁に相当)の科学技術新聞に、GMダイズと残留農薬の健康への懸念から「ヒトの生命と安全に対して強い予防的措置をとらなければならない」とする解放軍中将による主張が掲載された。さらに中国解放軍は5月、GM食品の健康への懸念からすべてのGM食品とGMダイズ由来のダイズ油の供給を禁止した。

 ●台湾:表示規制を強化 5%を3%へ
  台湾ではGM食品表示が義務付けられており、許容レベルは、日本と同じ5%である。台湾衛生福利部は6月、官民の専門家会議の結論により、許容レベルを5%から3%に下げ、2016年1月から実施するとした。この許容レベルの変更について、同部は「表示を義務付けるのは安全性を考慮するものではなく、消費者の知る権利を保障し、消費者に選択の自由を与えるためのもの」としている。安全懸念が理由ではないとするものの、中国政府の動きとも連動しているかのようにもみれる。

 ●キルギス:世界初? 全てのGMOを禁止
  中国に隣接する中央アジアのキルギスは6月、すべての遺伝子組み換え生物(GMO)の栽培、輸入、販売の禁止を決めた。議会を通過した法案は大統領の署名で成立する。

 ●フィリピン:ゴールデンライスは失敗か?
  フィリピンではGMトウモロコシの商業栽培が承認されており、80万ヘクタールで栽培されている。

  フィリピンでは、カロテンを強化したGMイネのゴールデンライスの商業栽培が問題になっている。昨年8月には、試験栽培圃場への直接行動により、収穫間近のゴールデンライスが引き抜かれ全滅した。開発している国際イネ研究所(IRRI)は、開発続行を明らかにした。BBCはこの直前、ゴールデンライスの「商業栽培申請間近」と報じていた。しかし、IRRIは今年5月、従来品種と比べてゴールデンライスの収量が低かったことを明らかにし、更なる「研究」が必要であると、暗に失敗を認めたかのような声明を発表している。フィリピンイネ研究所が公表している試験栽培地の情報によれば、いずれも10アール以下の小規模な試験しか行われていないようである。「商業化間近」と何年も繰り返してきたが、大規模試験栽培もできないような段階でしかないのではないか。

  IRRIなどによれば、フィリピンでの商業栽培の後、バングラデシュとインドネシアでも商業栽培が予定されている。ベトナムでも試験栽培されているとも言われている。

 ●バングラデシュ:Btナスの商業栽培に踏み切る
  バングラデシュは今年、新たに害虫抵抗性Btナスの商業栽培が始まり、29番目のGM作物の商業栽培国となった。このBtナスの商業栽培には、試験栽培の時から、農民も含めて多くの反対があったものの、押し切られた。

 ●イラン:Btイネの栽培を再開
  イランは2004年、害虫抵抗性のGMイネの商業栽培を行ったが、アフマディーネジャードが大統領に就任した後、中止された。2014年、イランは害虫抵抗性Btイネの試験栽培を再開した。

(以下、次号へ続く)

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2014年6月26日木曜日

【農薬】米国はネオニコ禁止に動くか?

【転載】
━ No.624  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 有機農業ニュースクリップ

           2014.06.24
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≪ 今日の目次 ≫
 ■米国はネオニコ禁止に動くか?
   特別委員会を設置し180日の評価期限を切る
 ■掲載撤回されたセラリーニ論文 別の専門誌が再掲載 

《 農薬 》
■米国はネオニコ禁止に動くか?
 特別委員会を設置し180日の評価期限を切る

  米国政府は20日、オバマ大統領の覚書を発表し、ミツバチなど花粉媒介生物(ポリネーター)の健康に関する特別委員会(Pollinator Health Task Force)を立ち上げ、180日以内に全米レベルの花粉媒介生物に関する戦略を策定するとしている。この中には、ネオニコチノイドの評価と、実行可能な花粉媒介生物の生息地確保の計画を立てるとしている。

  覚書では、ミツバチなど花粉媒介生物による経済価値を年間150億ドルと見積もっている。2013年から2014年にかけてオオカバマダラが蝶の生息数が最低を記録し、ミツバチの減少が共用される現象レベル15%を大きく超える30%前後で推移している。こうした花粉媒介生物の減少が続けば、農業生産に大きな影響があり、食糧生産システムの持続性が確保できないとしている。この事態に、農務長官と環境保護長官を共同代表とし、国防長官やエネルギー長官など主要閣僚からなる特別委員会を立ち上げたもの。覚書では具体的な対策として、国有地や米軍基地内、道路脇に、花粉媒介生物の生息に必要な食草の植え付けなども列挙している。

  ネオニコ系農薬の見直しを進めてきたEUは2013年4月、3種類のネオニコチノイド系農薬の一時的な使用禁止を15カ国の賛成で決定した。2013年12月からEU域内での使用を禁止し、2年以内にこれらの農薬の見直しを行うことになっている。この決定に先立ち、欧州食品安全機関(EFSA)は13年1月、ミツバチに対するネオニコチノイド系農薬の影響を認める報告書を公表している。

  米国政府の立場は、EUがネオニコ系農薬の影響を認めモラトリアムに踏み切ったところまでは至っていない。覚書では、ミツバチなどの花粉媒介生物の減少は、遺伝的多様性の欠如や農薬への暴露、病害虫、生息地と食草の減少など複数のストレス要因による複合的なものとしている。この覚書により米国の農薬規制が大幅に変更される可能性はあるものの、180日の評価後にどのような方針が示されるか予断はできない。

 ・Presidential Memorandum, 2014-6-20
  Creating a Federal Strategy to Promote the Health of
  Honey Bees and Other Pollinators
  http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2014/06/20/presidential-memorandum-creating-federal-strategy-promote-health-honey-b

 ・EU, 2013-4-29
  "Bees & Pesticides: Commission goes ahead with plan
  to better protect bees"
  http://ec.europa.eu/food/animal/liveanimals/bees/neonicotinoids_en.htm

 ・EFSA, 2013-1-16
  "EFSA identifies risks to bees from neonicotinoids
  http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/130116.htm

 ・Bee Informed Partnership, 2013-5-2
  Preliminary Results: Honey Bee Colony Losses
  in the United States, Winter 2012-2013
  http://beeinformed.org/wp-content/uploads/2013/05/winter_loss__2013-Fig-1.png


  このオバマ覚書に対して食品安全センターは20日、花粉媒介生物の生息地の確保だけで、明確な農薬禁止に踏み込んでいないと批判するも、希望があるとの声明を発表した。食品安全センターは昨年来、ネオニコチノイド系農薬への規制強化を連邦政府に要求していた。

  反農薬運動の国際的ネットワークのPAN-NA(国際農薬監視行動ネットワーク・北米)はまだ評価を明らかにしていない。

 ・Center for Food Safety, 2014-6-20
  White House Offers Hope for Pollinators
  http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/3248/white-house-offers-hope-for-pollinators


 ●政策転換の気配もない農水省

  米国政府が大統領覚書を発表した20日、農水省も昨年度のミツバチ被害の調査結果を公表した。この調査は、2013年度から3年の予定で、ミツバチ被害の調査を行うというもの。

  20日に公表された昨年度の調査結果によれば、被害は7月から9月の水稲開花期に集中し、ネオニコ系などカメムシ防除用の農薬が考えられるとした。回収できた12例の死んだミツバチから検出された農薬9成分のうち6成分が水稲のカメムシ防除の殺虫剤成分で、高濃度のものもあったとしているが、報告被害のすべてが農薬が原因かは断定できないとも分析している。

  対策としては、水田近くに巣箱を置かない、開花期に避難さる、散布の時間帯をずらすなどであり、EUなどのような一時にせよ使用中止はまったくないし、米国のような政策転換につながるような気配もない。

 ・農水省, 2014-6-20
  蜜蜂被害事例調査の結果と今後の対策について
  http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/pdf/140620-01.pdf

  蜜蜂被害事例調査中間取りまとめ(平成25年度報告分)
  http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/pdf/140620-02.pdf

【関連記事】
 No.580 ネオニコ系農薬:欧米は規制の方向 日本は使用を推奨
  http://organic-newsclip.info/log/2013/13090580-1.html
 No.616 韓国:ネオニコ系の使用を一時停止へ EUにならう
  http://organic-newsclip.info/log/2014/14030616-2.html
 

《 遺伝子組み換え 》
■掲載撤回されたセラリーニ論文 別の専門誌が再掲載 

  2013年11月に掲載を撤回されたセラリーニ博士(フランス・カーン大学)らの論文が24日、別の専門誌Environmental Sciences Europe によって再掲載された。再掲載された論文は全文が公開されている。

  この論文は、モンサントの除草剤ラウンドアップ耐性遺伝子組み換えコーン(NK603)を長期にわたって与えられたラットが、早い時期に死亡したり腫瘍が多発し、腫瘍も外から見てわかるような大きなものであったというもので、初の長期給餌試験であった。それまでモンサントなどのGM企業は、特許権を理由として、中立的な試験にまで餌となるGM作物の提供を拒んできた。セラリーニ博士らの研究は、こうしたGM企業の“妨害”に対して秘密裏に行われたもので、2012年9月、Food and Chemical
 Toxicology誌に掲載された。

  論文発表後、GM企業はもとより、EUを含む各国の規制機関までもが、研究結果を否定する見解を公表し、論文撤回を要求していた。FCT誌は当初、論文の掲載撤回要求を拒否していたが、2013年に元モンサントの研究者で、遺伝子組み換え推進団体とも関係あるとされるリチャード・E・グッドマンを、同誌の上級編集者に就任させ、大きな批判を浴びた。2013年11月、FCT誌はセラリーニ博士らの問題の論文を撤回した。

  今回、Environmental Sciences Europe 誌が再掲載に至った経緯は明らかになっていない。しかし、GM企業や推進派、各国政府の規制機関の否定にもかかわらず、セラリーニ論文が十分な論拠と内容を持っていた、ということだろう。

 ・論文:Environmental Sciences Europe, 2014年6月
  Republished study: long-term toxicity of a Roundup
  herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize
  http://www.enveurope.com/content/26/1/14

 ・Examiner, 2014-6-24
  Se'ralini study on toxic effects of GMOs and
  glyphosate republished
  http://www.examiner.com/article/s-ralini-study-on-toxic-effects-of-gmos-and-glyphosate-republished


【関連記事】
 No.545 GMコーンの長期給餌試験 早期死亡と多発する腫瘍
  http://organic-newsclip.info/log/2012/12090545-1.html
 No.559 元モンサント研究者が専門誌の幹部編集者に就任
  http://organic-newsclip.info/log/2013/13050559-2.html


 ※この記事はウェブサイトに掲載を予定。

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2014年6月25日水曜日

【遺伝子組み換え】GMコーンの長期給餌試験 早期死亡と多発する腫瘍

【転載】
有機農業ニュースクリップ「2012年9月の農と食」

 遺伝子組み換え作物の健康影響評価は、通常は90日の急性試験で済まされている。フランスのカン大学の研究者らのグループは、モンサントのラウンドアッ プ耐性GMコーン(NK603)とラウンドアップについて、ラットに対する2年間の長期給餌試験をおこない、その結果を9月19日に公表した。研究結果は 『Food and Chemical Toxicology』誌に掲載された。
 試験は、GMコーンを含むエサをを与えるグループ、通常のエサとラウンドアップを加えた水を与えるグループ、GMコーンとラウンドアップを加えた水を与えるグループについて行われた。各グループ、オス、メスが10匹づつの合計200匹で行われた。
 その結果、対照群に比べて試験群では、早い時期に死亡したり、腫瘍が多発した。腫瘍も外から見てわかるような大きなものであった。
  • 雄では50%、雌では70%が早死にしている。対象群ではそれぞれ30%と20%。
  • 汚染量、性別に関係なく試験群は対照群よりも2-3倍大きなガンになった。
  • 実験開始24ヶ月目に入る頃には試験群の雌50-80%に最大3つのガン腫瘍が発生した。対象群は30%であった。
  • 最初に大きな腫瘍を確認したのは雄で4週後、雌で7週後、対象群では14ヵ月後だった。但し、大多数のガンが確認されたのは 18ヵ月後であった。
  • (Sustinable Pulse より)
研究グループは、こうした健康障害の原因は、ラウンドアップによる内分泌のかく乱や、挿入遺伝子の過剰発現とその代謝の結果で説明できるとしている。
 今回の研究結果は、遺伝子組み換え作物について「実質同等性」のもとで、90日の短期試験で良しとしてきたことが、実は、遺伝子組み換え作物とそのシス テムの数ある問題の一つとしての健康に関する問題点を、隠ぺいすることに他ならなかったことを意味している。遺伝子組み換え作物・食品の退場を求めたい。
 百歩譲ったとしても、「遺伝子組み換え作物は安全である」とするならば、少なくとも、申請者の試験データに依存せず、独自の透明性ある長期試験を実施すると同時に、最低限、結果が確定するまで即時的なモラトリアムを行うべきだろう。
 また、遺伝子組み換え食品にお墨付きを与えてきた食品食品安全委員会は、従来の安全性審査の基本的な点に疑義を示された以上、少なくともこの論文を検証 するとともに、独自の透明性のある追試を行う必要がある。また、その結果を確認するまで審査中の案件審査を停止し、同時に、過去の「安全である」とした審 査結果を検証するべきである。福島原発事故をみれば分かるように、危険性を指摘されても何ら動かず、口先だけで「安全」としてきたことが、大事故と取り返 しのつかない大きな被害をもたらした ことを思い起こすことが必要だ。
 2005年のロシア科学アカデミーのエルマコヴァ博士の予備的な給餌試験で、GMダイズを与えたラットの仔に異常が発生するという結果が公表された際に は、遺伝子組み換え推進派はマスコミや研究者を動員してつぶしにかかった。古くは、GMジャガイモの健康障害について指摘し迫害されたプシュタイ博士(英 国)の例もある。今回早くもニューヨーク・タイムスに推進派が登場し、「奇妙な結果」であるとか「結論を出すには、試験頭数が少なすぎる」といった批判を 述べている。イリノイ大学の某教授に至っては「純粋に科学的な発表ではない」「良く練られたメディア・イベントだ」と、科学的ではない評価を述べている。 過去にも、こうした発言をずっと見てきた気がする。なお、一方の当事者であるモンサント社はまだ、公式にはコメントしていないようだ。
 ・New York Times, 2012-9-19 ------------------------------------
2013年11月掲載撤回
【論文】Food and Chemical Toxicology 2012年9月 2014年6月24日再掲載
【論文】Environmental Sciences Europe 2014年6月 【記事】Sustinable Pulse, 2012-9-19 【記事翻訳】Sustinable Pulse

 早期の死亡とがんに
  GMコーンとラウンドアップが関連する

“Food and Chemical Toxicology”に発表された論文で、CRIIGEN のギレス・エリク・セラリーニ教授が率いる研究チームは、米国内の食品や飲料水の許容値内のNK603のGMコーンやラウンドアップ水溶液を与えられた ラットが通常の餌を与えられたラットよりも早期にガンを発生し死亡していることを明らかにした。乳癌と深刻な肝臓、腎臓の障害を受けていた。
 モンサントのラウンドアップ除草剤とラウンドアップ耐性GMコーンNK603に対する世界初の長期給餌試験で、CRIIGENの研究者らは極微量でも雄では通常23ヶ月が4ヶ月、メスでは14ヶ月が7ヶ月で乳癌と深刻な肝臓と腎臓障害を引き起こすことを発見した。
 実験は、1グループ雄10匹雌10匹からなる10グル-プについて寿命の尽きるまでを見た。3つのグループには暴露レベルによって異なる3段階の濃度で 飲み水に除草剤ラウンドアップを入れて与えた。3つのグループにはラウンドアップ耐性コーンをそれぞれ11%、22%、33%混ぜて与えた。3つのグルー プは同量のラウンドアップ除草剤とGMコーンを混ぜて与えた。対照群には非GMコーンを33%混ぜた餌を与えた。
 CRIIGENのメンバーでありロンドンのキングスカレッジの分子生物学者で遺伝子専門家のDr.ミシェル・アントニオウは、「今回のはGM食品とラウ ンドアップ除草剤の健康影響に関する最も周到な実験です。結果は異常な数のラットが早期にガンが発症すること、特に雌は重篤であることです。非常に悪影響 が強いのに驚いています」と語った。
 「ラットは人間への毒性を調べるために長く使われてきました。全ての新しい薬、農業資材、日用品はラットで試験しています。GMコーンとラウンドアップ除草剤は人体に重大な影響のあることの指標となります。」
 レポートには、「低濃度から高濃度まで類似した病理が同程度で出るのは閾値のあることを示唆している。この閾値は、食品中に11%のGMコーンがあるか 飲料水中に50ng/Lのグリホサートが場合に起こる。50ng/Lは、実験ラット群の最低濃度の値であり、政府許容値内の値で水道水に見られる汚染濃度 でもある。
  • 雄では50%、雌では70%が早死にしている。対象群では夫々30%と20%。
  • 汚染量、性別に関係なく試験群は対照群よりも2-3倍大きなガンになった。
  • 実験開始24ヶ月目に入る頃には試験群の雌50-80%に最大3つのガン腫瘍が発生した。対象群は30%であった。
  • 最初に大きな腫瘍を確認したのは雄で4週後、雌で7週後、対象群では14ヵ月後だった。但し、大多数のガンが確認されたのは18ヵ月後であった。
この実験の結果は、現在の化学物質、除草剤、新作物の承認プロセスには重大な疑問を提起するものである。現在GM作物の安全としての認証は90日給餌試験に基づいている。また、対象も有効成分であるグリホサートのみで製品に含まれる界面活性剤を含む試験を行っていない。
(訳:YK)
 注:グリホサートは、モンサントの除草剤ラウンドアップの主成分。

2014年6月20日金曜日

2014年6月12日木曜日

【遺伝子組み換え】小麦にも遺伝子組み換え GM小麦推進を再確認した米加豪関連団体

転載

━ No.623  ━━━━━━━━━━━━━━━

有機農業ニュースクリップ

2014.06.12
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

≪ 今日の目次 ≫
■小麦にも遺伝子組み換え GM小麦推進を再確認した米加豪関連団体


≪ 遺伝子組み換え ≫
■小麦にも遺伝子組み換え GM小麦推進を再確認した米加豪関連団体

世界の小麦輸出量の約4割を占める、米国、カナダ、オーストラリアの小麦生産者団体など関連する16団体は5日、遺伝子組み換え小麦の商業化へ向けた共同声明を公表し、主要な主食作物である小麦のGM商業化へアドバルーンを揚げた。2009年にも同様な声明を9団体で公表しており、今回の声明は、09年声明を再確認するものとしている。

声明では、商業化はまだまだ10年単位の先のこととしているが、GM小麦に特別な規制を持ち込まないことや、未承認であっても「低レベルの存在(Low Level Presence)」という混入も認めるようにように要求している。

これまで、コメや小麦といった主要な主食作物へのGM導入は、一見して“慎重”とも思えるようであったが、アジアでのGMゴールデンライスの商業化への動きとともに、本格的に主食に手を突っ込んできたと考えてもよいだろう。TPPでも交渉されている知的財産権で「保護」されるGM種子は、何を作り、何を食べるかといった食料主権を多国籍企業の手にゆだねることになる。

・Wheat BiotechnoLogy commerciaLization
Statement of american, australian and
canadian organizations
June 5, 2014
http://www.wheatworld.org/wp-content/uploads/Trilateral-Statement-June-2014.pdf


2009年の共同声明に対して、2010年には日本を含む世界26カ国、233の生産者や消費者の団体がGM小麦商業化拒否の声を上げている。

・プレスリリース(和文), 2010-2-10
遺伝子組み換え小麦に対し世界26ヵ国で233の
消費者・生産者グループが拒否表明
http://organic-newsclip.info/doc/20100210_press_release_GMwheat_statemant_ja.pdf


2010年1月に米国の農家や消費者団体などの地域ネットワーク Western Organization of Resource Councils が公表したレポートでは、米国でGM小麦が商業化された場合、EUや日本が輸入禁止にするとともに、40%以上の価格低下を招くとの分析している。昨年5月に米国で発覚したモンサントのGM小麦の自生問題では、日本や韓国は一時的に輸入禁止に踏み切っている。09年に引き続いて米加豪3各国が連合してGM小麦商業化を再確認した背景には、輸入禁止できない状況を作り出し、価格低下の防止といった生産者側の対応も見て取れるだろう。

・Western Organization of Resource Councils
A Review of the Potential Market Impacts of
Commercializing GM Wheat in the U.S.
http://www.worc.org/userfiles/file/GM%20crops/Review_%20of_Potential_Market_Impacts.pdf


●小麦をあきらめていないモンサント

昨年5月のモンサントの除草剤耐性GM小麦の自生問題は、いまだに原因が明らかになっていない。にもかかわらずモンサントは今年1月、除草剤耐性GM小麦の実用化が近い、とロイターに明らかにしている。04年に除草剤耐性GM小麦の商業栽培を断念したモンサントが、その後も決してその商業化をあきらめていないということだ。

世界中で種子企業の買収を進めるモンサントは、2010年、オーストラリアの小麦種子最大手インターグレイン社へ資本参加し、その20%を手中にしている。昨年2013年6月には、その出資比率を26%にまで上げている。

・Inter Grain, 2013-6-28
MONSANTO AUSTRALIA INVESTS AN ADDITIONAL $4.5 MILLION
INTO AUSTRALIAN WHEAT BREEDING
http://intergrain.cloudapp.net/NewsDetail.aspx?articleid=15


●消費者無視の「低レベルの存在」容認要求

今回の共同声明は、GM小麦に対して未承認であったとしても「低レベルの存在(Low Level Presence)」を認めるように要求している。昨年秋より中国は、未承認品種の混入を理由とした米国産トウモロコシの輸入を拒否している。こうした事態への対応とも思われるが、わけのわからぬものを食べさせられる消費者にとってはとんでもないことだ。ちなみに日本では、飼料についてのみ未承認品種の1%までのLLPが、日本と同等国での承認を条件として認めている。

LLPとは別に、GM表示不要の「意図せざる混入」問題もある。世界的に1%前後に設定されている場合が多いが、日本では承認品種について「意図しない混入」が5%まで許容されている。これでは、コメや小麦のように直接消費する穀類では、消費者の意図の反してGM作物・食品を食べてしまうことになり、問題だといわざるを得ない。

※GM表示規制値
0.9%  EU、スイス、ロシア
1%    中国、オーストラリア、ニュージーランド
3%    韓国
5%    日本、カナダ、台湾


アジアでは、フィリピンやバングラデシュなどでGMゴールデンライスの商業栽培が目前ともされている。そして、今回のようなGM小麦の商業化へ向けた動きが出てきている。その一方で、世界的には、フランスなどの一部のEU加盟国や、ロシア、中国がGM食品に慎重な姿勢を強めてきている。ロシアは、WTO加盟条件である国内でのGM栽培の認可を延期し、議会には先ごろ、「GMはテロリズム」と規定する法案が上程されている。中国は、GM開発を急減速させ、100万トン以上の米国産トウモロコシの輸入を拒否。中国人民解放軍は、GM由来食品の排除を指示したとも報じられている。潮目が動き出したようにも見える。

【関連記事】
No.507 消費者はGM小麦にNO!
http://organic-newsclip.info/log/2010/030507-1.html
No.607 モンサント:除草剤耐性GM小麦リリース間近というが
http://organic-newsclip.info/log/2014/14020607-3.html


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2014年6月7日土曜日

【イベント】ネットワーク農縁 田植えツアーのご案内

新庄で、田植えの体験を通して自然との触れ合いをしてみませんか。
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期 日:6/7(土)~6/8(日)
◇参加費:大人4000円・中学生以下無料
※ただし、新庄までの交通費及び宿泊費が別途必要です。
◇宿泊先:農家民宿またはビジネスホテル(別表参照)
◇参加申込み:参加希望の方は5/25(日)までに、裏面の申込書を下記にFAXして申し込んでください。
◇FAX番号:0233-22-9577 ネットワーク農縁事務局東浦まで 
◇日 程:新庄市と農縁が共催する田植えツアーに合流します。
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★1日目
12:35 新庄駅着
12:50 昼食
14:00 田植え体験 (ネットワーク農縁高橋代表の田んぼ)
16:00 日帰り温泉入浴
18:00 夕食交流会
20:00 宿泊先へ出発

★2日目
9:00 宿泊先出発
9:30 山菜(ワラビ)採り体験
12:00 昼食交流会(於エコロジーガーデン)
13:30 もがみ物産館
14:00 解散
15:17 新庄駅発
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宿泊のご案内

A 農家民宿
朝食込み・大人1人2,000円・幼児1人1,000円
(限定3組まで・・・遠藤家、高橋家、吉野家)

B ビジネスホテル・ルートイン新庄駅前
シングル 6,700円(大人1+幼児1) 朝食サービス 
ダブル 9,850円(大人2+幼児1) 朝食サービス 

C ビジネスホテル・ポストホテル
シングル 6,300円 (大人1+幼児1)朝食サービス 
ツイン 10,300円 (大人2+幼児1)朝食サービス 

詳細(PDF)


申込用紙(PDF)

※申込用紙を印刷し、必要事項をご記入の上、FAXでお申込みください。
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