2011年7月22日金曜日

【原発アクション】ECRR(欧州放射線リスク委員会)科学事務局長クリス・バズビー博士講演(2011年7月20日)

ECRR(欧州放射線リスク委員会)の科学事務局長クリス・バズビー博士の7月20日の講演です。

欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、1997年に結成された市民団体です。
結成の発端は、欧州議会内の政党である欧州「緑の党」が、ベルギーのブリュッセルで開催した会議の決議です。

【転載】earthquake and stuff 自由報道協会記者会見文字起こし

バズビー博士:
20年間の研究の結果いえることは今回の線量による内部被曝は安全などではないということ。

吸収線量と内部被曝は違う。
(この辺聞き逃した)

ECRRのリスクモデルは2003年に内部被曝者の疫学的調査に基づいて作られた。
原発の近隣地域に住む住民また60年代の核実験の死の灰にさらされた人々の研究に基づいている。

その後の世界における癌の蔓延は、これら放射性物質によるものだと考えられる。

このモデルは、チェルノブイリの研究によって実証された。
ことに2004年のスウェーデン北部における研究でさらに確認された。

我々が扱ってきたケースと現在の福島のケースは全く同じだ。
だから私は福島近隣に住む人々にとって現在の線量は内部被曝的観点から見て脅威であり、これらの核種からは高い人数の癌等が予想されるため対策について助言するためにきた。

というのも現在の日本政府はICRPのリスクモデルを採用している。
これによると、毎時1マイクロというような低線量地域では安全だとしている。
しかし、被曝量が自然放射線量より高い場合、それは周囲が放射性核種によって汚染されていることを意味する。

これに関して重要なニュースがある。
私は東京と福島の100キロ圏から送られた車のエアフィルターを研究している。
車も人間と同様に空気を吸うため、研究するには好材料だ。
車のフィルターにひっかかるものを分析した結果、高い濃度のセシウム134、137その他を福島、東京双方のエアフィルターから検出した。

そして特別なプラスチックのフィルムを使った結果、エアフィルターの中に、α核種のホットパーティクルも発見された。つまりプルトやウランだ。
しかし、このフィルターは、ガイガーカウンターを持って線量をはかっても線量は低い。

というわけで私は毎時1マイクロ以上の汚染地域からは避難するよう提案する。
100キロ以上のエリアにおいても、空気中の汚染度は、世界核実験のピーク時に(63年ごろに)汚染に比較して1000倍にもあたる。

我々は、もし現在の人口がそのままこれらの地域に留まった場合、100キロ圏内で癌の発生率が*ほど上昇し、10万人単位のがん患者が出ると思われる。

*ご指摘にしたがって訂正。わたしは23%とメモしてたみたいです。録画は確認してませんので一応念のため。

これらの情報はだいぶ前から存在していたのに、政府がそれを無視して「安全だ」という無責任さは犯罪的である。

この他にも提案がある。
そのひとつは、健康被害調査を行う独立機関を設置し、癌の発生率に結びつくデータを集め、証拠を残すことだ。

しかし時間がないので、このぐらいにして皆さんからの質問をお受けしたい。


Q1:
エアーフィルターからプルトとウランが検出したそうだがどこを走っていたのか?
(注・α核種というだけでプルトやウランという核種まではわかっていません)

A(バズビー博士):
ひとつは千葉市と東京を100日間往復し続けた車。
セシウムと134と137が核実験ピーク時の300倍。
(空気中汚染は730ミリBq/m3、核実験ピーク時が2.4ミリBq/m3)
もうひとつは福島から100キロ圏外で100キロ走った結果(四台分)ということしか知らない。
それを郵送してくれた人物がここにいないので詳しいことはわからない。

Q2:
プルトニウムは福島の一台から検出されたのか?

A(バズビー博士):
α核種を検出したというだけ。これはほぼウランかプルト。
γ線の分析から見ると一定量のウランが見られる。
現在詳細分析をしており、ウランとプルトの組成分析をしている。

我々は昨日会津若松で、携帯用のγスペクトロメーターを使って
土壌を検査した。結果濃縮ウラン、ウラン235のピークも二箇所で
見られている。

Q3:
今回福島にきた理由の一人に子供の集団疎開の原告のためがあると聞いた。
日本では年20mSvは安全だとして子供を外で運動させたりなんだりしているが日本政府の行動をどう思う。

A(バズビー博士):
政府ぱ犯罪的レベルの無責任さだ。
突然法律を瞬間的な判断によって変更することなどできるわけがない。
ヨーロッパではこんなことは許されない。
今後、子供の死者が多く出ることが予測される。

さらに言うならば、被曝量の基準は内部被曝を一切含んでいない。
もし内部被曝をきちんと考慮するのならば、会津若松の人々も既に20ミリシーベルト以上被曝していると考えられる。

Q4:
チェルノブイリの疫学調査の結果、イングランド、ギリシャ、ドイツ、ベラルーシにおいて
妊婦の被曝量が増えた。
これらの論文を三回読んだがどうしても

UKとドイツの場合1万人に補正した場合、白血病が1%しか増えていない。
ギリシャにおいては三倍という数字が出ているというが、なぜなのかと考えている。

A(バズビー博士):
あなたがそう思われるのは、恐らく線量を倍にすれば正比例して被害も倍だと考えているからだろう。

しかし疫学からの証明を見れば、被曝量と被害の関係は直線的正比例ではない。
線量が上がるとともに、線は上がり、一度下がり、再び上がる。
この理由は現在においてはかなりよく理解されている。
主な理由は、場所によって細胞の種類・密度が違うからだ。
線量が上がるとまずは敏感な細胞群が死滅する。

胎児の被曝量を上げて行くと、白血病の発生量があがる。
しかし、一定以上に被曝量が上がると胎児が死亡して流産となる。
白血病は減少したことになる。

チェルノブイリ後、ベラルーシではファンタスティックな出産率の激減があった。
現在においても、ベラルーシで生まれる4/5人の子供は病気だ。
これは福島の状況においても重要な要素だろう。


Q:ドイツTV
吸引による内部被曝ではなく、食品による内部被曝のリスクはどうか

A(バズビー博士):
食品における重要な内部被曝は乳製品によるもの。
進化の過程によって消化系は腸内の無用物を排出する機能が高い。
しかし呼吸器系には一度吸引したものを排出するする機能が低く、そのため、呼吸器系を介するダメージ効率は、消化系被曝の被曝によるダメージ効率より高い。

これは今計らせてすらいないが、飲食物の重要な被曝経路としては、水のトリチウム(H3)、乳製品のストロンチウム90、ウラン、そして魚介類。ことに海岸線近く、また海底の泥の近くで生息するもの。

Q:ナナオさん
ふくいちから今も毎時10億ベクレル放出されているとされているが、この現状が健康に与える影響に関する見解を聞きたい。

A(バズビー博士):
今あなたたちが目前にしてるのは、想像を超えた大災害だ。
どうすればいいのか、誰もわからない。
簡単な答えなどない。

私は、これが世界史上最悪の災害になると思っている。
最初の瞬間から、私はそういうことを言ってきた。
なぜ笑っているのか自分でもよくわからない。
とにかく、早急に対策がとられねばならない。

これは日本だけの問題ではない。世界全体の問題だ。
そして高いレベルで、国連などで大きな権力と資金を使って早急に大きな対策をとらねばならない。
IAEAのような機関が劇的な対策を採る必要があり、またそれは早急に行われる必要があると考えている。

核分裂が続行し、汚染が広がる。
そうして人々の死亡率が上がる。

現在、我々には何があるか見ることができない。
昨日会津若松に行ったが、全てはふつうだった。
木々は木々であり、犬が歩いていた。
だが、機器を持って行くと辺り中が放射性物質できらめき、人々が目に見えない蛇に噛まれ続けていることがわかる。


Q:ライブドア
食べ物について。食物安全基準、ヨウ素131で2000Bq/Kg.
これらの基準についてどう思う。

A(バズビー博士):
ヨウ素131は半減期が短いので、
食物はヨウ素が分裂しきるまで待てばよろしい。

しかしそれ以外の汚染に関しては、ことに福島200キロ圏内には外からきれいな食物を輸入すること。

2,000Bq/Kgは高すぎる。本来ならば10、いや0Bq/Kgにすべき。
これならば確実に安全を保障できる。

Q:bloomberg
どれぐらいの子供や人々が避難すべきだと考えているのか。

A(バズビー博士):
これはプラグマティックな、どうすべきかという質問だ。
まず、強制退避区域を決める。
それにはヘリとγカメラを使って濃度を検査した結果に基づいて決めるべき。同心円ではなく。
ここは立ち入り禁止にし、警察が立ち入りを管理する。
避難しないで住むほどのところにおいては、外からきれいな食物を与える必要があり、また健康被害に関しても補償されるべきと考える。
彼らは暴力を受けているのと同じことだからだ。

Q:木野さん
ICRPの基準ではシーベルトを使っているが、チェルノではBq/m2で避難基準を使っていた。
空間線量で基準を使うと不安定になる気がするが、これらの違いはどういう意味か

A(バズビー博士):
このシーベルトという被曝量が初めて使われたころ、ベクレルと並列されて出されていた。
両者の間では容易に換算が可能。
1microSv/h = 300kBq/m2 (セシウム換算)
1.5microSv/h = 500kBq/m2というのが国連の「放射能汚染区域」の定義。

マイクロシーベルトで測れば、自然放射線と同様の扱いになる。
そこら中が汚染物質で満ちているというイメージにはならない。
おそらく単位を使ったのはそのため。

追加すると、スウェーデンのトンデル氏は100kBq/m2ごとに癌の発生率が11%上がると言っている。


Q:おしどりさん
事故後北西に流れたプルームはほとんどI-131だったと言われているが事故後光線量被曝した作業員はWBCの検査をした結果、ほとんど、95%以上ヨウ素の被曝だったと言われている。
内部被曝を住民がマスクもせず50マイクロという線量下で露地野菜を食べ、かなり被曝したと思われる。
もうヨウ素は半減期で消えてしまって過去の被曝量を調べられない。
過去の被曝量を推定する方法はあるのか。

A(バズビー博士):
WBCは使えない。γ核種しか見ない。γ核種はあまり問題じゃない。
γ、β、α核種は一緒には移動しない。
だが場所によって核種のスペクトルは確認できるためある程度の推測はできる。
とはいえ核種のスペクトルをどの程度記録しているのかは知らない。
(木村さんがやってるようなヤツで、後にセシウムの被曝量と空気中・土壌の汚染のスペクトルがあればある程度計算できるということ?)

さらに、WBCの利用は隠蔽の一端に利用されており、
科学のためではなく安心させるために使われているというのが私の考えだ。
被曝量が小さかったから健康被害とは関係ない、と後に言うための方策ではないか。

Q:かみでさん
今東京にいる少なくない人たちが政府は本当のことなど言ってない。
関東地方の食べ物は危険だ。2年3年とたっていったら東京で安全な食べ物など本当はなくなるような状況なのに政府が隠していると思っている人が多い。
本当のところこれから日本はどうなっていくのか、博士の見解と助言を聞きたい。

A(バズビー博士):
福島の放射能が東京にきていることは自分ではかって確認したから間違いない。
東京の人口は多いので、健康被害は多くの人に出る。
今後10年であなたがたはそれを見ることになる。
人々は政府に対してすべての食物および環境における放射能のモニターをし、ネット等でいつでも全ての人々に公開されるよう圧力をかける必要があるだろう。
その情報に基づいてどう行動を取るかは個人の選択だ。

たとえば英国では、ほぼ全ての食物、環境媒体などの放射能は毎年検査され、公開されている。1962年以来。

Q:
水のトリチウム(水素同位体)の検査をしていないという話。
どれぐらいの数値だとどういう被害が予想されるのか。

A(バズビー博士):
ECRRはICRPから危険性を無視された重要な要素と考えている。
動物の発育障害を促すことを知られている。特に胎児。
DNAへのダメージ効率が高い。
だがβ線が低いため、被曝量ベースの計算をした場合そのリスクは相当の過小評価につながる。
だが水を大量に使用している福島からは大量のトリチウム発生が予測される。

また、トリチウムは集合する性質で知られている。
そうしてトリチウムの霧を発生させたりする。
それを吸引する恐れがある。水蒸気と同じなので体に吸収される。



【転載】7月19日 岩上さんバズビーさんインタビュー書き起こし

I: 100キロ圏内の健康被害は多岐に及ぶ?
バズビー博士: その通り、100キロだけでなく200キロ、千葉や東京でも様々な報告が上がっている。
セシウムが検出されているということは他の放射性物質もあるということだ。

I: 二次被爆が懸念。汚染された土地からの食物、汚泥の焼却灰の再利用他。200Bq/1kg
バズビー博士: そういうことをしていると、低線量被爆が日本中に広がる。
汚染した物が多く集まるところで被爆が増える。
だから第三者機関を設置して、これらの汚染物質の汚染度をモニターするしかない。

バズビー博士:ことに魚介類に汚染がかたよりやすいので、太平洋側の海産物には注意しなければならない。

I: 缶詰や加工品はに関する懸念(?音切れた)
バズビー博士: チェルノでも全く同様のことがあった。売れないバターの山を輸出しようとした。
輸入検査をしない国には輸出できた。ロシアが他国に汚染食品を押し付けた。

バズビー博士: 規定値を作ることの問題は、たとえば汚染された米があるとする。
それを汚染されていない米と混ぜると、規定値以下の汚染になり、それを売り出せることになる。
結果としては、倍の量の米からより低い被爆がより多くの人に広がることになり、将来癌になる人の確率としては同じことだ。
だから基準値というのは、ものを売るためのトリックだ。

I: 外部被爆と内部被爆の危険度の比較、また吸引と口径摂取の危険度の比較は?
バズビー博士: 外部被爆に比較し内部被爆は300 -1000倍の危険性。
ストロンチウム、セシウムなどなど、ふつうの核分裂生成物スペクトルがキャベツやたまねぎにくっついていたとすると、ICRPモデルが算出するリスクの約600倍。

バズビー博士: 進化の途上において、空気中に放射性物質が漂っていたことはなかった。
一方、食べてはいけないものを排出する機能はある程度備えている。
人間は進化上の理由から経口摂取により多くの対策機能を持っているが、吸引に対しては対策機能がない。よって吸引のほうが危険。

我々の肺は、大気と直接に触れている。
肺には大量の血液が流れ込み、肺から吸引したものを拾い上げる。
腸とは違う。

I: 大人と子供の感受性の差は?
バズビー博士: 胎児にまでなると50倍、0-5才で約10倍、10-15ぐらいで5倍ぐらい。

I: 感受性に関するICRP と ECRRの差は?
バズビー博士: 我々は幼児死亡率に対するリスクモデルを持っている。
ICRPは癌と遺伝障害に関するリスクモデルしかない。
ECRRが算出した幼児死亡率のリスクは1mSvにあたり3%の増加。

I: 科学的見地だけではなく政治的な意味でもICRPを批判しているが、科学が金で買われるという話についてもう少し詳しく。

バズビー博士:
現時点で、ほとんどの科学者は買われている。
真に独立した科学者をさがすことは難しい。

科学者はかつて、科学に興味を持っていた。
自然を理解したいと望み、情熱をもっていた。
しかし今や科学は金のための仕事だ。
科学者たちは大学に行き、科学者として就職する。
科学の研究に資金を出す者も、経済活動を損なうような「科学」は求められない。
わたしはそれが間違っていると言ってきた。
政治がそのシステム(彼らにとって有用な研究に資金を出し、専門家の助言を得る)を悪用してきた。

ICRPは科学ではない。
ひとつ理解してほしいのは、ICRPは科学者の集まりではないということだ。
彼らはただ、机の背後に座っている人々だ。

科学を実践する場所がない。
大学は経済的に貢献する形の教育を優先するばかりで、もう科学を実践する場所がない。

ICRPは1952年にはじまった宗教の司祭たちだ。
間違いを指摘されたらいかにごまかすかだ。
一方ECRRは科学者の集まりだ。
我々は批判を受ければ、それに関して研究を重ね、
自らの仮説の間違いを正す。
我々は外で泥をすくって実験をする。
ICRPのメンバーはそんなことはしない。

I: ジャーナリズムの世界でも同様のことが起こっている。
我々も同様にお金がない中独立して好奇心や真実を求める心に従って動いている。

バズビー博士: ジャーナリストとはそういうものだ。
年をとるにつれ、ジャーナリストはお金を儲ける。
(メインストリームの、ということだと思う)
すると、よりシニカルになり、また怠惰になる。
だから適当なことを言うようになるのだ。

(バズビーさんは55歳)

この辺りから話が盛り上がり、バズビーさんピアノでサマータイム弾き語り(爆)

科学者には「ハート」がないとダメだそうで。

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