2009年1月5日月曜日

世界金融恐慌に対するサバイバル

田中正治

新春のお慶びを申しあげます。
千葉県房総半島はおだやかな正月で、100年に一度の世界金融恐慌もどこ吹く風という感じです。

でも、現実は寒い夜空に首を切られ、寝るところもない人々がおっぽり出される冷たい世の中になってしまいましたね。

米国の住宅バブル崩壊はウォール街の歴史的再編を促し、世界経済を席巻していた「投資銀行」は業態自体が消滅しました。最先端の金融工学に基づくデリバティブ(金融派生商品)はカジノ経済を築き上げましたが、実体経済から吸い上げ、実体経済との乖離が限界を超えて破綻してしまいました。

労働者や市民から吸いあげたお金を、年金、株券、国債、保険、企業利得、ファンドなどを、コンピューターバクチ市場に投入した結果破綻したわけです。
産業に投資せず、カジノ経済に投機した架空資本のなれの果てです。
http://www.news.janjan.jp/world/0810/0810088976/1.php

このコンピューターバクチは破綻しましたが、なくなるわけではありません。国家が税金を投入してバクチ市場を救済しようとしているからです。本当は、架空資本によるバクチ市場は閉鎖すべきなのです。

でも、遅かれ早かれ、バクチ市場は国家の監視下で再開されるでしょう。信用資本主義は新しい資本主義の発展段階であり、1971年ニクソンショック(変動相場制への移行)が起点になっているわけですから。だから、私達の対抗手段は、バクチ市場に出来るだけ吸い上げられないような仕組みを工夫してつくることでしょう。

1つは、コンピューター博打市場に対しては、取引額の0.01%に税金をかけようという世界的な運動があります。トービン税といいます。ヨーロッパはかなりやるきで、日本でも関心度がアップしています。相場師から取り上げたトービン税を、借金地獄にある途上国に無償で援助しようというわけです。http://altermonde.jp/tobin1_html

2つ目は、できるだけ大企業やカジノ市場に吸い取られないような独自の仕組みを作って行くこと。衣食住の領域で、生産者と消費者が顔の見える関係を作って、産直で生産物を流通させる。農山村に半農半X・新しいライフスタイルを求めて脱都会する。地域コミュニティーで、出来るだけ衣食住の自給システムをつくって行くといった方法もあるでしょう。http://seeds.whitesnow.jp/blog/archives/000015.html

3つ目は、会社にくらいつくのではなく、協同組合やワーカーズコレクティブやNPO、フェアートレード、マイクロクレジットなどのように自分達で出資し、自分達で事業を運営する。そういうことにトライして行く時代が始まっています。資本主義私企業に対抗する連帯経済です。社会的企業家登場の時代が来ているのです。
21世紀は、カジノ経済に対抗して、連帯経済が台頭することになるでしょう。
http://www.parc-jp.org/solidarityeconomy/index2.html 


4つ目は、簡単に事業など立ち上げられないよという声が聞こえてきそうですが、どっちみち路頭におっぽり出されるのなら、泣き寝入りせず、この際、尻をまくって冷酷な企業に戦いを挑むしかないでしょう。20歳30歳代の派遣労働者たちがぎりぎりのところで決起しはじめています。雨宮かりんの怒りは、時代を感じさせます。ワーキングプアーは”奴隷状態”に追い込まれています。http://www.sanctuarybooks.jp/sugoi/blog/

泣き寝入りは人間の精神を腐らせます。意を決して立ち上がると精神がピンとして生きていることを実感するはずです。資本の権力とこのシステムに対する人間的尊厳を奪い返すことです。

泣き寝入りし、精神を腐らせた結果、”生きている実感”がなく、リストカットしたり自殺したりしている若者達が増えています。老人も若者も、年間3万人が自殺に追い込まれています。ある若い友人の言葉です。”今、この国は内戦状態だ”。
http://jp.youtube.com/watch?v=WalDKor2QqY

カジノ経済の破綻が、実態経済をどんどん破壊している今、漠然とした不安が広がり、深まっている今、自分の生き様を見つめ、生き様をはっきりさせ、精神を腐らせずに、サバイバルのためにも、仲間と共に、創造的な生き方と社会システムの構築にチャレンジしたいものです。

>>素人の乱

2009年1月3日土曜日

モンサント「脅迫戦術」から農民を守る 対GM農民保護法が発効

米国カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は9月27日、8月末に同州議会を通過していた法案541に署名し、モンサント社などのバイテク企業の「脅迫戦術」から農民を擁護する法律が発効した。

カリフォルニア州議会, AB541
http://www.leginfo.ca.gov/pub/07-08/bill/asm/ab_0501-0550/ab_541_bill_20080927_chaptered.html

食品安全センター(米国)などによれば、遺伝子組み換え作物の特許権を持つモンサント社は、無断で農民の土地に立ち入り、サンプルを採集し、同社の特許権侵害で法外な賠償を取り立ててきた。この「特許権侵害」の多くの原因が、隣接する圃場から流出する花粉による交雑など意図せざる場合であるといわれている。このようなモンサント社の横暴の一端が、カナダのナタネ栽培農民であったシュマイザーさんの裁判で明らかにされている。

同州のハフマン上院議員は2007年2月、こうした状況に歯止めをかけるものとして法案541を提案した。当初は成立が危ぶまれていたが、いくつかの修正を経て8月29日の州議会で成立し知事の署名待ちとなっていた。知事の署名に、この法案541の成立に運動を続けてきたカリフォルニア州の農業団体など13団体からなる Genetic Engineering Policy Projectは、「もはやモンサントの脅迫戦術は不可能になった」と発効を歓迎する声明を出している。

Genetic Engineering Policy Project
"CALIFORNIA'S FIRST LAW PROTECTING FARMERS FROM THREATS OF GENETIC ENGINEERING SIGNED BY GOVERNOR"
http://www.gepolicyalliance.org/action_alert_support_ab541.htm

今回発効したカリフォルニア州のこの法律では、厳しい手順によりモンサント社のようなバイテク企業による一方的な侵害立証を制限し、故意でない限り意図せざる交雑などについて、栽培農民の側に責任がないことを明記している。

  • 特許権者は、あらかじめ特許権侵害や契約違反の疑いのある農民に対して、書面で立ち入りとサンプルの採取について許可を得なければならない。

  • 同時に、その書面を州当局に提出しなければならない。

  • しかし、立ち入りを要請された農民は拒否ができる。

  • それでも立入りとサンプリングを求める場合には、州裁判所の許可を得なければならない。

  • サンプリングに関して、どちらかの側から要請があれば、州当局あるいは第三者がサンプリングを行い、その費用は特許権者が支払う。

  • サンプリングの場所と時間は24時間以上前に通知される。

  • 分析結果は、分析終了後30日以内に双方に通知される。

  • 特許遺伝子が検出されたとしても、故意でなければ農民に責任はない。


この法律の重要な点は、一方的かつ恣意的ではない公正なサンプリング手順を決めていることと、意図せざる栽培や交雑による栽培農民の責任を明確に否定していることである。この法律に従えば、カナダのシュマイザーさんのケースは何のの問題もないことになるだろう。この法律の発効により、モンサント社に代表されるバイテク企業に一定の制約を加えることになる。

これまで特許を盾にして、農民から不当な「賠償金」を取り立ててきたモンサント社による農民攻撃については下記に詳しい。

やすだせつこ.com
「脅しの手紙 モンサント社が農家に送る”恐喝状”を公開」
http://www.yasudasetsuko.com/gmo/column/030709.htm
「モンサント社の訴訟作戦 モンサント社に脅される農民」
http://www.yasudasetsuko.com/gmo/column/030728.htm

【関連記事】
米国:2007年改正特許法はモンサントから農民を守るか No.454
http://www.yasudasetsuko.com/gmo/column/030728.htm

(有機農業ニュースクリップより)