2008年11月29日土曜日

モンサントが遺伝子組み換え牛成長ホルモンから撤退!(「食生活センタービジョン21」より転載)

2008年8月6日食品安全センター(Center for Food Safety)および他の消費者団体と生産者グループはモンサント社が遺伝子組み換え牛成長ホルモンのrBST(recombinant bovine growth hormone)事業の売却を進めると発表したことに対し勝利宣言をした。



消費者、そっぽを向く


2008年8月6日食品安全センター(Center for Food Safety)および他の消費者団体と生産者グループはモンサント社が遺伝子組み換え牛成長ホルモンのrBST(recombinant bovine growth hormone)事業の売却を進めると発表したことに対し勝利宣言をした。

モンサント社の最初のバイテク製品であるrBST(商品名ポジラック)は売り上げが減退、というのは消費者がrBSTのミルクを避ける選択をし、乳業メーカーも市場もその要望にこたえ、このホルモン使用のミルクを買わなくなったため。


不使用表示をやめさせようとあがくモンサント社


1993年米国食品医薬品局(FDA)はrBSTを認可したが、また「rBST不使用」表示することも容認した。昨年モンサントはFDAと連邦取引委員会(FTC)にこのような表示は消費者に誤解を与えると宣言するよう求めた。2007年8月、FTCはFDAとともに、食品企業が不使用表示をすることを認めると回答。

モンサントは連邦レベルでの不使用表示削除に失敗し、ペンシルベニアやオハイオのような州が不使用表示を禁止するよう動いた。モンサントによる州レベルでの不使用表示を禁止しようとする企ては、地元の消費者や運動グループ、農家や乳業メーカーの強い抵抗に直面した。今年の夏、圧倒的な市民の反発を受けてペンシルベニア州知事は不使用表示を削除する命令を撤回させられた。オハイオ州では裁判闘争中だ。

rBGHミルクの長期摂取によって、インシュリン様成長ホルモンのレベルを高めることが懸念された。27カ国が家畜の健康に悪影響があるとして禁止している。このホルモンを打たれた牛には、不妊や歩行困難、そして抗生物質処理による乳房感染のリスクが増加する。モンサントの牛成長ホルモンビジネスは2002年から減少に転じた。2002年米国牛の22.3%がホルモンを注射していたのが、2007年には17.2%に落ち込んだ。2008年にはたくさんの乳業メーカーが不使用を宣言している。

(2008/10/28)
「食生活センタービジョン21」より転載


2008年11月14日金曜日

ネットワーク農縁+新庄水田トラスト+新庄大豆畑トラスト 合同企画
2008年12月14日(日) 収穫・感謝祭のお知らせ

会員のみなさまには、いつもネットワーク農縁を応援していただき、感謝しています。
みなさまの応援なしには、私たちの無農薬・無化学肥料の有機農業は堅持できません。消費者からの支えこそが、安心できる食を生産し、環境を守る有機農業を続けられる糧です。
そして、この間の「食」にまつわる偽表示・有毒物の混入・無責任態勢など、ここに極まわれりの感がある中、今こそ、消費者と生産者の”顔と顔の見える”提携の上に作りあげている私達ネットワーク農縁の「お米と大豆、味噌、醤油、菜種油、納豆」を、自信を持って食卓にお届けしていくつもりです。
そこで、まずは12月14日(日)に「収穫・感謝祭」を行ないますので、ぜひ時間を作って、周りの人もお誘い方々、家族一緒においで下さればありがたい限りです。お腹をすかせてお越しください。
新庄の料理を用意して待っています。

チラシPDF(印刷用)


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2008年11月2日日曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点⑥

● 技術上の問題点

遺伝子組換え技術によって生物の種の壁は事実上無くなった。今では細菌、植物、動物(人間も含む)の遺伝子をお互いに入れ替えることが可能になった。しかし、遺伝子の交換可能性を基礎にした商業栽培のメリットという既成事実が優先し、宿主の遺伝子に与える外来遺伝子の影響については殆ど分かっていないのも事実である。

第一の問題点は、外来遺伝子を作物(宿主)の遺伝子に挿入する際、挿入場所の予測が不可能なことである。挿入はランダムである。このことが遺伝子組み換えや遺伝子治療の最も基本的困難でかつ未解決の問題である。

これは、遺伝子の標的問題といわれる。宿主染色体の中の正確な標的に外来遺伝子を送り込むことが出来なければ、宿主遺伝子への様々な影響を排除することは出来ない。数千の組み換え体細胞の中から、宿主親株と出来るだけ似ているものを選び出すことが今でも組み換え体作出の大きな手間であり、これは従来の交配による品種改良と変わらない。

第二は組み換え体と非組み換え体の選別が必要なことである。そのため選択マーカー遺伝子と呼ばれる抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子を目的遺伝子に連結し、細胞が抗生物質耐性や除草剤耐性になったか否かで組換えの成否を判別する。従って、除草剤耐性以外のGM作物は目的の遺伝子と同時に抗生物質耐性遺伝子を持つ。抗生物質耐性菌発生などの危険性は上に述べたとおりである。


DNA

● 進化や生態系への影響

遺伝子汚染はなぜ問題か。理由は外来遺伝子の構造にある。外来遺伝子は異種生物の遺伝子である。種の壁を無視した異種生物の遺伝子の挿入の長期的影響はどうであろうか。

また、外来遺伝子を単独で作物に挿入しても機能しない。細菌と高等動植物とは遺伝子のスイッチ(プロモーター)や遺伝暗号の終わりを示すターミネーター構造が異なるからである。それで除草剤耐性の場合、プロモーターにはカリフラワーの病原ウイルスの遺伝子、ターミネーターには植物に腫瘍を作る細菌の遺伝子断片などを使う。その他、除草剤耐性タンパク質を葉緑体に運ぶためペチュニアの遺伝子の一部も使う。


ペチュニア

このように、目的の形質を発現させるために、本来、植物の進化の過程ではあり得なかった生物やウイルスの遺伝子をモザイク状に連結しそれを宿主に入れる。
これが遺伝子汚染によって近縁の野生植物に伝播した場合の生態系や進化に与える影響はその評価方法すらまだない。

遺伝子組換え作物の現状と問題点⑤

● 環境に与える影響

GM作物が環境に与える影響は多様である。害虫抵抗性(通称Bt)のトウモロコシは、殺虫遺伝子をもつが、その花粉が周辺に飛散し他の雑草に降りかかる。それを食草とする蝶の幼虫が巻き添えで死ぬことが分かり、種の多様性の問題をめぐる論争に発展した。


BT剤

この遺伝子が作る殺虫タンパク質は、植物の根から分泌され、土壌粒子に結合して1年間も土壌昆虫を殺す能力を持つことが分かっている。今最も深刻な問題は「遺伝子汚染」である。

カリフォルニア大学の研究者が、メキシコ山中の野生トウモロコシに組換え遺伝子を検出した。トウモロコシ原産国のメキシコは野生種を保護するために1998年から組換えトウモロコシの国内栽培を禁止している。


農水省はGM作物の国内栽培を認めてはいるが、近隣在来種との交配による遺伝子汚染や、有機農業への影響、風評被害などを恐れて実際には農家は国内栽培をしていない。北海道はGM作物の栽培に関し、独自の栽培規制条例を作り規制に乗り出している。国土の狭い日本では、一度GM作物が栽培されれば、在来種の汚染は避けられない。

広大なアメリカでもすでに、非汚染作物の入手は困難な状況である。1昨年8月、イタリアではアメリカから輸入した非組み換えトウモロコシの種子がGMで汚染されていることが播種後発覚し、州知事の命令で400ヘクタールのトウモロコシが廃棄される騒ぎが起こっている。厳しい対策を講じなければアメリカを基点とし、遺伝子汚染は今後も世界に広がるだろう。

● 国内の遺伝子汚染・・・GMナタネの自生と拡散

2004年夏、茨城県鹿島港周辺で遺伝子組換えナタネの自生があることが農水省によって発表された。

我々はすぐに各地の市民団体の協力を得て国内の他のナタネ輸入港周辺を調査し、岡山県水島港を除く、千葉港、鹿島港、横浜港、清水港、名古屋港、四日市港、神戸港、博多港でのGMナタネの自生を確認した。千葉港や鹿島港、四日市港では港内から外に自生が広がり、国内産ナタネや野生のカラシナなど野生種や栽培ナタネ科植物への交配による組換え遺伝子の拡散が懸念されている。


GMナタネ自生

四日市から南に約40Km先の製油工場までの国道23号線の沿線には、本来なら存在しない西洋菜種が多数自生しており、現在その80~90%は除草剤耐性である。これらの遺伝子組換えナタネは本来1年草だが、ここでは多年草化して越冬し、田圃の畦や道路端で世代交代している事実が確認された。

これを放置すれば商業栽培ではなく、意図しないGM作物の自生によって遺伝子汚染が広がる危険性がある。これは今後除草剤耐性や害虫抵抗性だけでなく、薬用GM作物の開発と輸入の進展次第では深刻な問題を起こすだろう。