2008年10月12日日曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点①

10月8日(水)、仙台で「ここが問題!遺伝子組み換え食品」学習が開催されました。
そのときの遺伝子組換え情報室・河田昌東氏の講演レジュメ・「遺伝子組換え作物の現状と問題点」を、河田氏の了解をいただき転載します。
遺伝子組換え作物の現状と問題点がコンパクトに整理されております。(田中正治)




遺伝子組換え作物の現状と問題点 
―――基本的な問題点を置き去りの危険な開発競争のもたらすもの


遺伝子組換え情報室 河田昌東


●遺伝子組換え作物の栽培面積

2007年度の遺伝子組換え作物(以下GM作物)の栽培面積は世界で1億2300万ヘクタール。日本の総面積の約3.3倍に当たる。内訳はアメリカ46.9%、アルゼンチン15.5%、カナダ5.7%、ブラジル12.2%、中国2.9%、インド5.0%、その他11.7%であった。

前年度と比べて、栽培する国が増加し、アジアやヨーロッパ、アフリカにも拡大した。特にインドでの遺伝子組換え綿の栽培が大幅に増加した。最も大きな栽培シェアを占めるのは南北アメリカ大陸である。作物別では大豆51%、トウモロコシ31%、綿13%、ナタネ5%である。前年度と比べて、大豆からトウモロコシへの転作が目立った。

これは世界的な石油不足に対して、バイオエタノールの原料となるトウモロコシの需要が増加したためで、その結果、食用や飼料用の大豆やトウモロコシの世界的な価格高騰につながり、大きな問題となっている。性質別では除草剤耐性63%、害虫抵抗性18%、この両者を併せ持つもの19%である。

http://www.isaaa.org/Resources/Publications/briefs/35/executivesummary/pdf/Brief%2035%20-%20Executive%20Summary%20-%20Japanese.pdf
(編集部引用)

● 何故遺伝子組換えか

交配や突然変異による品種改良では、植物が本来持つ以上の性質は付加出来ない。それをカバーし、分類学上かけ離れた生物の性質を持たせるのがいわゆる遺伝子組換えである。除草剤耐性や害虫抵抗性など多くは土壌細菌の遺伝子である。

この技術により増収や省力化の他、これまで不可能だった環境下でも作物の栽培が可能になり、増加する地球人口を養うものと期待された。これらは第一世代の遺伝子組換えという。

その後、医薬品や栄養改善など特殊目的の第二世代や工業原料をつくる第三世代GM作物も登場しつつある。日本は第二世代遺伝子組換えをイネで集中的に行っており、花粉症緩和米やワクチン生産用米などの開発が進められている。

>>遺伝子組換え作物の現状と問題点②

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