2008年12月20日土曜日

EU GMOリスク評価で加盟国の役割を強化 GMOフリーゾーンも可能に

 

農業情報研究所(WAPIC)
08.12.5



  124日に開かれたEU環境相理事会(EUの決定機関の一つ)が、GMO導入がもたらす不安に応える新たな措置を採択した。それは、①遺伝子組み換え植物(GMP)の環境影響評価とモニタリングの強化、②GMOの環境放出と販売がもたらす社会・経済的な便益とリスクの評価、③リスク評価における加盟国の役割の強化、④非GM農業・有機農業と認められるためのGM種子混入率の設定という4つの措置
からなる。同時に、従来は禁止されていたGMフリーゾーンの設立も可能とした。



 Council Conclusions on Genetically Modified Organisms (GMOs)

 

http://www.consilium.europa.eu/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/envir/104509.pdf


 EUにおけるGMOの許可と導入は、すべて欧州食品安全機関(EFSA)のリスク評価と、それに基づく欧州委員会の決定に拠ってきた。独自のリスク評価に基づく加盟国の禁止措置は、EFSAがこのようなリスク評価をことごとく否認することで、違法を宣告されてきた。このようなリスク評価と許可手続きのあり方は、EU政府たる欧州委員会と加盟国の対立を深刻にしてきた。また、常に対立し、決して解消されることのない評価者によるリスク評価結果の違いは、GMO食品・作物の安全性に対する市民・消費者の不安の解消を妨げてきた。リスクの“不確実性”は、そうした評価の食い違いを超えた現実の問題でもある。理事会決定は、このような問題に答えようとするものだ。



 理事会は、GMO許可が依拠する専門的評価においては、決定のレベルによる食い違いを避けるために、加盟国評価機関がもっと積極的な役割を果たさねばならないと言う。多くの国は、人間の健康へのGMOの長期的影響はほとんど知られていないと、EFSAの意見だけに基づく許可を批判した。


 閣僚は、さらに次ように要求した。


・栽培されるGMO、特に殺虫性GMOと除草剤耐性GMOの中長期的環境影響の評価。



・許可手続の枠内での社会経済的リスク・便益や農業の持続可能性の考慮。


・ユーザーにGM・通常・有機農業の自由な選択を保証するための種子へのGM種子混入率の境界の設定。



・生態系・環境に関して重要な地域の保護、生物多様性・農業方法に関して特別な価値を持つ地理的区域の考慮。許可手続において禁止を含む特別の管理・制限措置を課すことができる。自主的協定に基づくGMOフリーゾーンの設置も可能とする。






  GMOのリス評価の分裂は、EUにおけるGMO政策の決定と実施を著しく不効率なものとしてきた。しかし、様々な意見を述べる評価機関の存在は、それらの意見が対等に扱われることになれば、評価の客観性の強化にもつながり得る。種子メーカーの提供するデータににのみ依存する米国や日本のお決まりの専門家による評価よりも、信頼性ははるかに高まる可能性がある。




2008年11月29日土曜日

モンサントが遺伝子組み換え牛成長ホルモンから撤退!(「食生活センタービジョン21」より転載)

2008年8月6日食品安全センター(Center for Food Safety)および他の消費者団体と生産者グループはモンサント社が遺伝子組み換え牛成長ホルモンのrBST(recombinant bovine growth hormone)事業の売却を進めると発表したことに対し勝利宣言をした。



消費者、そっぽを向く


2008年8月6日食品安全センター(Center for Food Safety)および他の消費者団体と生産者グループはモンサント社が遺伝子組み換え牛成長ホルモンのrBST(recombinant bovine growth hormone)事業の売却を進めると発表したことに対し勝利宣言をした。

モンサント社の最初のバイテク製品であるrBST(商品名ポジラック)は売り上げが減退、というのは消費者がrBSTのミルクを避ける選択をし、乳業メーカーも市場もその要望にこたえ、このホルモン使用のミルクを買わなくなったため。


不使用表示をやめさせようとあがくモンサント社


1993年米国食品医薬品局(FDA)はrBSTを認可したが、また「rBST不使用」表示することも容認した。昨年モンサントはFDAと連邦取引委員会(FTC)にこのような表示は消費者に誤解を与えると宣言するよう求めた。2007年8月、FTCはFDAとともに、食品企業が不使用表示をすることを認めると回答。

モンサントは連邦レベルでの不使用表示削除に失敗し、ペンシルベニアやオハイオのような州が不使用表示を禁止するよう動いた。モンサントによる州レベルでの不使用表示を禁止しようとする企ては、地元の消費者や運動グループ、農家や乳業メーカーの強い抵抗に直面した。今年の夏、圧倒的な市民の反発を受けてペンシルベニア州知事は不使用表示を削除する命令を撤回させられた。オハイオ州では裁判闘争中だ。

rBGHミルクの長期摂取によって、インシュリン様成長ホルモンのレベルを高めることが懸念された。27カ国が家畜の健康に悪影響があるとして禁止している。このホルモンを打たれた牛には、不妊や歩行困難、そして抗生物質処理による乳房感染のリスクが増加する。モンサントの牛成長ホルモンビジネスは2002年から減少に転じた。2002年米国牛の22.3%がホルモンを注射していたのが、2007年には17.2%に落ち込んだ。2008年にはたくさんの乳業メーカーが不使用を宣言している。

(2008/10/28)
「食生活センタービジョン21」より転載


2008年11月14日金曜日

ネットワーク農縁+新庄水田トラスト+新庄大豆畑トラスト 合同企画
2008年12月14日(日) 収穫・感謝祭のお知らせ

会員のみなさまには、いつもネットワーク農縁を応援していただき、感謝しています。
みなさまの応援なしには、私たちの無農薬・無化学肥料の有機農業は堅持できません。消費者からの支えこそが、安心できる食を生産し、環境を守る有機農業を続けられる糧です。
そして、この間の「食」にまつわる偽表示・有毒物の混入・無責任態勢など、ここに極まわれりの感がある中、今こそ、消費者と生産者の”顔と顔の見える”提携の上に作りあげている私達ネットワーク農縁の「お米と大豆、味噌、醤油、菜種油、納豆」を、自信を持って食卓にお届けしていくつもりです。
そこで、まずは12月14日(日)に「収穫・感謝祭」を行ないますので、ぜひ時間を作って、周りの人もお誘い方々、家族一緒においで下さればありがたい限りです。お腹をすかせてお越しください。
新庄の料理を用意して待っています。

チラシPDF(印刷用)


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2008年11月2日日曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点⑥

● 技術上の問題点

遺伝子組換え技術によって生物の種の壁は事実上無くなった。今では細菌、植物、動物(人間も含む)の遺伝子をお互いに入れ替えることが可能になった。しかし、遺伝子の交換可能性を基礎にした商業栽培のメリットという既成事実が優先し、宿主の遺伝子に与える外来遺伝子の影響については殆ど分かっていないのも事実である。

第一の問題点は、外来遺伝子を作物(宿主)の遺伝子に挿入する際、挿入場所の予測が不可能なことである。挿入はランダムである。このことが遺伝子組み換えや遺伝子治療の最も基本的困難でかつ未解決の問題である。

これは、遺伝子の標的問題といわれる。宿主染色体の中の正確な標的に外来遺伝子を送り込むことが出来なければ、宿主遺伝子への様々な影響を排除することは出来ない。数千の組み換え体細胞の中から、宿主親株と出来るだけ似ているものを選び出すことが今でも組み換え体作出の大きな手間であり、これは従来の交配による品種改良と変わらない。

第二は組み換え体と非組み換え体の選別が必要なことである。そのため選択マーカー遺伝子と呼ばれる抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子を目的遺伝子に連結し、細胞が抗生物質耐性や除草剤耐性になったか否かで組換えの成否を判別する。従って、除草剤耐性以外のGM作物は目的の遺伝子と同時に抗生物質耐性遺伝子を持つ。抗生物質耐性菌発生などの危険性は上に述べたとおりである。


DNA

● 進化や生態系への影響

遺伝子汚染はなぜ問題か。理由は外来遺伝子の構造にある。外来遺伝子は異種生物の遺伝子である。種の壁を無視した異種生物の遺伝子の挿入の長期的影響はどうであろうか。

また、外来遺伝子を単独で作物に挿入しても機能しない。細菌と高等動植物とは遺伝子のスイッチ(プロモーター)や遺伝暗号の終わりを示すターミネーター構造が異なるからである。それで除草剤耐性の場合、プロモーターにはカリフラワーの病原ウイルスの遺伝子、ターミネーターには植物に腫瘍を作る細菌の遺伝子断片などを使う。その他、除草剤耐性タンパク質を葉緑体に運ぶためペチュニアの遺伝子の一部も使う。


ペチュニア

このように、目的の形質を発現させるために、本来、植物の進化の過程ではあり得なかった生物やウイルスの遺伝子をモザイク状に連結しそれを宿主に入れる。
これが遺伝子汚染によって近縁の野生植物に伝播した場合の生態系や進化に与える影響はその評価方法すらまだない。

遺伝子組換え作物の現状と問題点⑤

● 環境に与える影響

GM作物が環境に与える影響は多様である。害虫抵抗性(通称Bt)のトウモロコシは、殺虫遺伝子をもつが、その花粉が周辺に飛散し他の雑草に降りかかる。それを食草とする蝶の幼虫が巻き添えで死ぬことが分かり、種の多様性の問題をめぐる論争に発展した。


BT剤

この遺伝子が作る殺虫タンパク質は、植物の根から分泌され、土壌粒子に結合して1年間も土壌昆虫を殺す能力を持つことが分かっている。今最も深刻な問題は「遺伝子汚染」である。

カリフォルニア大学の研究者が、メキシコ山中の野生トウモロコシに組換え遺伝子を検出した。トウモロコシ原産国のメキシコは野生種を保護するために1998年から組換えトウモロコシの国内栽培を禁止している。


農水省はGM作物の国内栽培を認めてはいるが、近隣在来種との交配による遺伝子汚染や、有機農業への影響、風評被害などを恐れて実際には農家は国内栽培をしていない。北海道はGM作物の栽培に関し、独自の栽培規制条例を作り規制に乗り出している。国土の狭い日本では、一度GM作物が栽培されれば、在来種の汚染は避けられない。

広大なアメリカでもすでに、非汚染作物の入手は困難な状況である。1昨年8月、イタリアではアメリカから輸入した非組み換えトウモロコシの種子がGMで汚染されていることが播種後発覚し、州知事の命令で400ヘクタールのトウモロコシが廃棄される騒ぎが起こっている。厳しい対策を講じなければアメリカを基点とし、遺伝子汚染は今後も世界に広がるだろう。

● 国内の遺伝子汚染・・・GMナタネの自生と拡散

2004年夏、茨城県鹿島港周辺で遺伝子組換えナタネの自生があることが農水省によって発表された。

我々はすぐに各地の市民団体の協力を得て国内の他のナタネ輸入港周辺を調査し、岡山県水島港を除く、千葉港、鹿島港、横浜港、清水港、名古屋港、四日市港、神戸港、博多港でのGMナタネの自生を確認した。千葉港や鹿島港、四日市港では港内から外に自生が広がり、国内産ナタネや野生のカラシナなど野生種や栽培ナタネ科植物への交配による組換え遺伝子の拡散が懸念されている。


GMナタネ自生

四日市から南に約40Km先の製油工場までの国道23号線の沿線には、本来なら存在しない西洋菜種が多数自生しており、現在その80~90%は除草剤耐性である。これらの遺伝子組換えナタネは本来1年草だが、ここでは多年草化して越冬し、田圃の畦や道路端で世代交代している事実が確認された。

これを放置すれば商業栽培ではなく、意図しないGM作物の自生によって遺伝子汚染が広がる危険性がある。これは今後除草剤耐性や害虫抵抗性だけでなく、薬用GM作物の開発と輸入の進展次第では深刻な問題を起こすだろう。

2008年10月30日木曜日

2008年度、新庄・水田トラスト“さわのはな”収穫量のお知らせ

遺伝子組み換え稲NO!在来種“さわのはな”を守ろう!
2008年度、“さわのはな”の収穫量のお知らせ


お待たせいたしました。暑い夏を乗り切って、“さわのはな” 今年は豊作です。

雪水に育てられ、外気を自ら判断するように育てられた“さわのはな”。


1口30坪平均40.8kg の収穫になりました。

会員への配送は、玄米の場合41kg、7分づきの場合37kgです。

8人のトラスト農家の各々の1反(300坪)当たりの収量は・・・・

・吉野昭男 6俵(360kg)

・佐藤恵一 6.5俵(390kg)

・星川良和 7.0俵(420kg)

・今田多一 7.0俵(420kg)

・笹 輝美 7.0俵(420kg)

・遠藤敏信 7.0俵(420kg)

・星川公見 7.0俵(420kg)

・高橋保広 7.0俵(420kg)

合計3270kg÷8人=408kg →会員1口・30坪当たり40.8kgの収穫となりました。




農薬化学肥料を使わず栽培する“さわのはな”。

お米と自然を 今年もまた恵みとして引き出してくれたお百姓さん。

そしてそのお米をいただいて、お百姓さんと自然を支えてくださった

水田トラスト会員のみなさん、ありがとうございました。



これから直接、栽培農家から、電話で連絡がいきます。

・その時、玄米または7分づき、5分づきなど・・・・、

・また一度に全部受け取るか、

・3回に分けて受け取るか、毎月か2ヶ月に1回受け取るか

・送り先など確認してください。



農家は、新庄弁でわかりにくいこともありましょうが、納得行くまで話してください。

一所懸命応えてくださいます。

栽培農家を変更の意向や不都合なことがありましたら事務局へご連絡下さい。

・ネットワーク農縁/新庄水田トラスト事務局 阿部文子

・電話/FAX 04-7098-0350 e-mail abetrust★sirius.ocn.ne.jp(★を@に置き換えてください)

2008年10月28日火曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点④

● 健康に与える影響

2005年、ロシアの研究者イリーナ・エルマコヴァによって驚くべき研究が行われた。
モンサント社の開発した除草剤(ラウンドアップ)耐性の大豆を食べさせたラットの母親から生まれた子どもの55.6%が低体重児で、生まれてまもなく死亡するという結果が得られた。


イリーナ・エルマコヴァさん

非組換え大豆や大豆を食べさせなかったラットの死亡率は低かった。
これまで、組換え作物の安全性試験は、食べさせた動物自身の健康のみに限られていたが、次世代の安全性までは確認していなかった。この研究は今後大きな影響を与えると思われる。


右・除草剤(ラウンドアップ)耐性の大豆を食べさせたラット

また、2002年、英国で興味ある実験が行われた。除草剤耐性大豆を被験者に食べさせ、時間を追って人工肛門から便を採取、その中の遺伝子の分解度を調べた人体実験である。その結果7名全員から未分解の除草剤耐性DNAと同時に除草剤耐性菌も検出された。これは大豆中の除草剤耐性遺伝子が腸内細菌遺伝子に組み込まれたことを意味する。


右・除草剤耐性大豆

抗生物質耐性遺伝子があれば抗生物質耐性菌が発生した可能性が高い。家畜飼料への抗生物質混入は常態化しており、飼料から抗生物質耐性遺伝子が供給されれば耐性菌の発生は避けられない。

多くの遺伝子組換え作物の開発には、組換え遺伝子を大腸菌で増殖させ、組み換え体を非組み換え体から選別するために「抗生物質耐性遺伝子」が組み込まれている。これは、いったん組換え体が分離出来れば無用の長物である。

北海道農業研究センターが開発した酸性土壌耐性イネや岩手生物工学研究センターの開発した「耐寒性イネ」には、「カナマイシン耐性」と「ハイグロマイシン耐性」の二つの抗生物質耐性遺伝子が入っている。これらは、イネの中で発現しているばかりでなく、食べれば腸内細菌に取り込まれて「抗生物質耐性菌」に変わる恐れがある。

こうした危険性があるため、世界保健機構(WHO)は早くから遺伝子組換えにおいて抗生物質耐性遺伝子の使用を中止するように勧告してきたが、必要悪として今も使われている。こうした、基本的な問題解決こそがまず必要である。遺伝子組換え作物は、従来人間の食習慣になかった土壌細菌の遺伝子が作るたんぱく質を含むため、アレルギーの危険性が増す。

例えば除草剤耐性大豆のたんぱく質には、イエダニのアレルゲンと同じアミノ酸配列が含まれており、予期しない健康被害もありうる。アレルギーのあるなしは、遺伝子組換え作物の安全性に関わる大きな問題である。

遺伝子組換え作物の現状と問題点③

● 裏切られた期待(2)減らない農薬、環境にやさしくないGM作物

収量増と同時にGM作物のメリットとして期待された、農薬使用量の減少も期待はずれであった。今、アメリカやカナダでは除草剤耐性雑草「スーパー雑草」が大きな問題になっている。事実上モンサント社のラウンドアップ除草剤耐性大豆やナタネ、トウモロコシが栽培面積の大半を占めた結果、「耐性雑草」が現れたのである。

最近のニューヨーク・タイムス紙によれば、アメリカの大豆農家の半数は除草剤耐性雑草を体験している。その結果、当初は1回だけですんだラウンドアップ除草剤散布は、今では3回散布が当たり前になった。抗生物質多用で院内感染が問題になっている抗生物質耐性菌と同じことが、野外で大規模に起こったのである。

これは耐性雑草と新たな除草剤耐性作物開発のイタチゴッコの始まりである。除草剤多用の影響は、農家にとって経済的負担になるばかりでなく、残留農薬の危険性も増す。このことは1992年の時点で既に明らかになっていた。

除草剤耐性大豆の安全審査に当たって、モンサント社は大豆の残留除草剤濃度基準を大幅に引き上げるよう政府に迫った。その結果、アメリカの家畜飼料となる大豆全草のラウンドアップ残留基準は15ppmから100ppmに引き上げられた。アメリカから大豆を輸入している世界中の国々も、アメリカ政府の要請により、0.1ppmから20ppmに引き上げられた。

日本の大豆の残留基準もそれまでの6ppmから20ppmになった。企業の力は世界の政府の安全基準も変えたのである。最近さらに露骨な残留基準の引き上げが行われた。ラウンドアップの残留基準は、従来はラウンドアップの化学物質名であるグリフォサートとその分解物AMPAの合計値が基準だった。

しかし、アメリカ政府とモンサントは、モンサントの実験結果を無視した形でこの基準値からAMPAを除外し、グリフォサートだけを基準物質とした。これは事実上基準を2倍に引き上げたのと同じである。モンサントの実験によれば、AMPAの毒性はグリフォサートよりもむしろ強い。これは耐性雑草の出現と、除草剤散布量増加に対処するため、安全性を無視したものである。

遺伝子組換え作物の現状と問題点④

2008年10月25日土曜日

2008年10月19日「土と平和の祭典」大成功に思う

田中正治


半農半Xの団塊ジュニアたちと有機農業の団塊世代を合流させようという仕掛け人たちのもくろみは成功したようだ。
日々谷公園に35000人が参加。ちょっとびっくり。昨年は3000人くらいだったので。

4月のアースデーの150000人には及ばないが、2回目で一気にブレイクしてしまったようだ。ひょっとして第2アースデーか?・・・・・・とも思ったが、ちょっと違う感じだ。

アースデーは、若者が圧倒する。ECO、LOVE&PIECEが圧倒する。団塊の世代はどうも影が薄い感じだ。それに比べて「土と平和の祭典」は団塊がパワーを発揮。「大地を守る会」、「らでっしゅぼーや」「PALシステム」(首都圏コープ連合)、各地の有機農業グループなどが、底力を示していた。

実質的な企画のアイディアは団塊ジュニアたちが中心になってイメージ化され実施されたが、僕はそれが良かったと思う。この世代の独創性、想像力が時代を切り開いているのをいろんなところで目撃しているからだ。

団塊の世代はジュニアたちの独創性、想像力を出来る限り尊重する、そこでの自分達の役回り、位置、ミッションを考え関係を持続して行くべきではないだろうか。









2008年10月24日金曜日

「NHKスペシャル」” 世界同時食料危機”

世界同時金融危機と世界同時食料危機のダブルパンチ。アメリカの一極的支配が崩壊し、無極的世界が広がっています。カジノ経済・虚の経済が実体経済から血液を吸い取って拡大していたのですが、カジノ経済の崩壊の結果、実体経済の弱い部分から崩壊が起こっています。

世界同時食料危機は、実体経済の弱いところから暴動にまで発展しています。
この二つの危機は、不安を増幅させ、私達にサバイバルのための確かなライフスタイルへの憧れを増幅しているように思います。根無し草の生活でなく、確かな根っこを張った生活。世界経済が崩壊してもサバイバルできる生活方法。
”農”が、密かにそのキーワードになり始めているようです。


YouTube、9回シリーズで見ることが出来ます。

2008年10月17日金曜日

農業関連大手モンサント社の恐怖の収穫

「世界的な食糧危機の今、買いだめするなら米よりモンサント株がお勧め」――何百万人もが飢餓に追い込まれる中、一部のアグリ企業は過去最高益をあげています。その筆頭がモンサント社、世界最大の種苗企業です。同社の遺伝子組み換え作物は、米国の食品チェーンにあふれており、次は乳製品を狙っています。あれ、モンサントって化学企業じゃなかったの? いえいえ、いつのまにかアグリビジネスに変身しているのです。しかし他人の迷惑をかえりみない強引で攻撃的な企業体質は、ダイオキシンやPCBを作り出した頃から変わっていないようです。ヴァニティ・フェア誌の寄稿編集者ジェームズ・スティールに話を聞きます。
(デモクラシー・ナウ!より)


農業関連大手モンサント社の恐怖の収穫
(デモクラシー・ナウ!より)
DemocracyNow! Japan>>

2008年10月14日火曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点②

● 裏切られた期待(1)増えない組換え作物の収量、しかしGM化が進む理由

1996年にアメリカで本格的に栽培が始まるまで、大々的に宣伝されたGM作物の収量増加について、第三者による本格的な検証が始まったのは、1998年になってからである。

アメリカ中西部の穀倉地帯ネブラスカ州やイリノイ州など8つの州立大学が、モンサント社の除草剤耐性大豆とその親株を使い、大々的な収量試験を行った。
その結果は、全く予想を裏切るものであった。

親株の在来種に比べ、除草剤耐性大豆の収量は平均で6%、地域や株によっては20%以上も減収した。除草剤耐性と同じく収量増が期待された殺虫遺伝子を持つトウモロコシ(Bt)も収量は親株とほとんど変わらす、農家にとっては遺伝子組換え種の値段が高くなり、契約により自家採取できないマイナス面があらわになった。
除草剤耐性ナタネの収量も非組換えに比べて数%~10%の減収である。

にもかかわらずアメリカでは何故今もGM作物の栽培が増えつづけているのだろうか。理由は、アメリカ政府による大規模なGM補助金である。アメリカの農家の大豆生産コストは市場価格の2倍にも上る。その差額は政府の農業補助金、即ち税金でまかなわれている。

農家は補助金さえでれば、省力化が可能で大規模栽培に適したGM作物を増やす。
アメリカはGM大豆やトウモロコシ、綿などを大規模に栽培し、世界の中で穀物輸出における主導権を目指している。GM作物はアメリカにとって戦略物資である。

アメリカは自国の作物に対する手厚い補助金で輸出価格をダンピングし、WTOを通じた自由貿易競争を主張して、アジアやアフリカの農業の競争力をそぎ自立を妨害している。

他方で、飢餓に苦しむアジアやアフリカ諸国にGM作物の援助受け入れを強要している。遺伝子組換え作物が投機の対象になる傾向は、GM作物がエネルギー作物として認知されるようになった現在、ますます激しさを増すと考えられる。
>>遺伝子組換え作物の現状と問題点③

2008年10月12日日曜日

遺伝子組換え作物の現状と問題点①

10月8日(水)、仙台で「ここが問題!遺伝子組み換え食品」学習が開催されました。
そのときの遺伝子組換え情報室・河田昌東氏の講演レジュメ・「遺伝子組換え作物の現状と問題点」を、河田氏の了解をいただき転載します。
遺伝子組換え作物の現状と問題点がコンパクトに整理されております。(田中正治)




遺伝子組換え作物の現状と問題点 
―――基本的な問題点を置き去りの危険な開発競争のもたらすもの


遺伝子組換え情報室 河田昌東


●遺伝子組換え作物の栽培面積

2007年度の遺伝子組換え作物(以下GM作物)の栽培面積は世界で1億2300万ヘクタール。日本の総面積の約3.3倍に当たる。内訳はアメリカ46.9%、アルゼンチン15.5%、カナダ5.7%、ブラジル12.2%、中国2.9%、インド5.0%、その他11.7%であった。

前年度と比べて、栽培する国が増加し、アジアやヨーロッパ、アフリカにも拡大した。特にインドでの遺伝子組換え綿の栽培が大幅に増加した。最も大きな栽培シェアを占めるのは南北アメリカ大陸である。作物別では大豆51%、トウモロコシ31%、綿13%、ナタネ5%である。前年度と比べて、大豆からトウモロコシへの転作が目立った。

これは世界的な石油不足に対して、バイオエタノールの原料となるトウモロコシの需要が増加したためで、その結果、食用や飼料用の大豆やトウモロコシの世界的な価格高騰につながり、大きな問題となっている。性質別では除草剤耐性63%、害虫抵抗性18%、この両者を併せ持つもの19%である。

http://www.isaaa.org/Resources/Publications/briefs/35/executivesummary/pdf/Brief%2035%20-%20Executive%20Summary%20-%20Japanese.pdf
(編集部引用)

● 何故遺伝子組換えか

交配や突然変異による品種改良では、植物が本来持つ以上の性質は付加出来ない。それをカバーし、分類学上かけ離れた生物の性質を持たせるのがいわゆる遺伝子組換えである。除草剤耐性や害虫抵抗性など多くは土壌細菌の遺伝子である。

この技術により増収や省力化の他、これまで不可能だった環境下でも作物の栽培が可能になり、増加する地球人口を養うものと期待された。これらは第一世代の遺伝子組換えという。

その後、医薬品や栄養改善など特殊目的の第二世代や工業原料をつくる第三世代GM作物も登場しつつある。日本は第二世代遺伝子組換えをイネで集中的に行っており、花粉症緩和米やワクチン生産用米などの開発が進められている。

>>遺伝子組換え作物の現状と問題点②

2008年10月7日火曜日

英国土壌協会 蜜蜂の大量死関連殺虫剤の禁止を要請 仏・独・伊に倣え


英国有機農業団体・土壌協会が世界中の蜜蜂の死に関連している殺虫剤の禁止を政府に要請した。

 先週、蜜蜂の死に殺虫剤が関係しているとして、イタリア政府がその使用の即時停止を命じた。フランス、ドイツ、スロベニアでも同様な動きがある。しかし、英国政府の動きは鈍い。英国ではネオニコチノイドの名で知られる殺虫剤がナタネ、大麦、テンサイなどの栽培で使われており、ナタネ栽培での使用は、蜜蜂が黄色の花を好むために特に心配されるという。


 Soil Association urges ban on pesticides to halt bee
deaths,Guardian,9.29
 http://www.guardian.co.uk/environment/2008/sep/29/endangeredspecies.wildlife


 ドイツは今年5月、ライン河沿いの700人の養蜂家が、クロチアニジンの施用後に3分の2の蜜蜂が死んだと報告した後、その販売を停止した。フランスでは3分の1の蜜蜂が死んだのを受け、1999年以来ヒマワリへの、2003年からはスィートコーンへのイミタクロプリトの使用を禁止した。土壌協会は今日、ヒラリー・ベン環境担当相宛てに殺虫剤禁止を求める書簡を送ったという。


 イミタクロプリトとクロチアニジはバイエル社が製造する。イミタクロプリトは120ヵ国で使用されるベストセラー殺虫剤だ。ネオニコチノイドについては、正しく使えば蜜蜂には安全と一貫して主張している。


 ナショナル・ファーマーズ・ユニオンは、蜜蜂を殺しているのは害虫や病気だとして、殺虫剤禁止に反対している。環境・食料・農村省(DEFRA)は、蜜蜂の減少は多様な要因によるもので、農薬禁止の計画はないと言う。


 だが、世界中の養蜂家は、過去2年の間に蜜蜂コロニーの30-90%が失われたと報告している。 




 蜜蜂の死のすべてが殺虫剤によるとは言えないかもしれない。しかし、殺虫剤が蜜蜂の死と無関係とも言えない。議論している間に、主要農作物の3分の2を授粉が頼る蜜蜂が消えていく。地球から蜂が消えれば、人類は4年も生きられない(ドイツ 蜜蜂がGM作物・モノカルチャー・農薬を逃れて都市に避難,08.8.25)。できることは何でも、今すぐ始めるべきときだ。



2008年10月1日水曜日

もみ落とし(脱穀)

TEXT:阿部文子


脱穀①猛犬クマが猿から守ってくれた稲穂
昨日(9月28日)、お天気もまあまあで お隣の寺尾さんのお陰で脱穀機が修理でき 、真山さん 上田さん 田中、そして自然王国帰農塾の田村さん夫妻も市川から駆けつけてくださってウイーン ウイーンと夕方遅くまで機械の音に囲まれて 無事終了。

すべての諸々に感謝。

機械を生き返らせてくださった寺尾さん。寺尾さんの知識と技術 あれこれと教えてくださったことがなかったら、自分たちでは手に余っていたでしょう。
また 新しい経験をつむことができました。
脱穀②上田さんとダックのトレーニング
脱穀③田村さんも挑戦
周りで 集団でたわむれている猿から 泊まりこんでの二週間、無事に稲を守ってくれた上田さんちの秋田犬「クマ」。「明日は帰れるね」と言い聞かしてあったからか28日は昼間から 上田さんと自宅へ帰るのを待ち焦がれていました。
脱穀④脱穀したワラにも、結構もみが残っているのです
脱穀⑤真山さんの挑戦。機械に引っ張られて、結構危険!
タイミング良く 晴れ 雨を繰り返したお天気にも恵まれて、ずしりと思いもみは、今 "おコメ(玄米)”になりに、近くの専業農家山田さんちへ行っています。

うれしい!

農家の喜びとは こういうことだったんですね。
雨や風、お天とうさまに囲まれて、作物が一生を終える不思議。
ながーい歴史に育まれた地球の生態系に、畏敬の念を覚えます。
ほんとに すべてのもろもろに カンシャ!
脱穀⑥脱穀する人に稲穂を運ぶ田村さん
脱穀⑦袋に入った籾はご近所の農家・山田さんで籾摺り(玄米にする)。

2008年9月27日土曜日

米国食品企業20社 クローン動物を拒否 避けがたいその子の利用



 米国の”食品安全センター”と”地球の友”が9月3日、20の主要食品メーカー・小売業者が食品にクローン動物を使わないと述べたと発表した。このようなクローン動物由来食品の拒絶は、これら製品の市場はないという強力なメッセージをバイテク企業に送る、アメリカの消費者はクローン動物やその子に由来する食品を食べることを望んでおらず、これら企業はこの新たな、試されていない技術に大きな市場が開かれることはないだろうと予期しているという。

 食品安全センターの調査に対し、General
Millsは、クローン動物由来成分を製品に使うかどうかは、”消費者の受け入れ”が重要なカギになると答えている。クラフトフーズも似たような立場で、安全性だけはなく、消費者の利益や受け入れなども慎重に考慮せねばならず、米国での調査は、今のところ、消費者はクローン動物由来の成分の使用を受け入れないことを示していると言う。



 食品安全センターは、08年5月に、肉と乳製品の生産・利用・販売にかかわる企業を対象に、クローン動物使用に関する立場の調査を始めた。食品メーカーの売り上げトップ3社が、クローン動物由来の成分は使わないと答えた。別の9社は、クローン動物だけでなく、その子に由来する成分も使わないと述べている。



 他方、クローン動物とその子の使用に関する政策決定でトップ食料雑貨商と協同している地球の友に対しては、今までのところ、7業者がクローン動物由来の製品は売らないと伝えてきた。 


 20 Leading Food Companies and Retailers Reject
Ingredients from Cloned Animals in Their Products,The Center for Food
Safety,08.9.3

 http://www.centerforfoodsafety.org/CloningPR9_3_08.cfm




 ただ、表示もないなかで、このような約束は守ろうにも守れない場合があるだろう。クローン動物自体は未だ市場に出ることは少ないだろうが、その子はどうしたら排除できるのだろうか。実際、クラフトフーズ、ウォルマート、タイソンフーズを初め、多くの企業がクローン動物は使わないとしているが、その子由来の食品を使わないとは約束していない。


 クローン動物の子の乳や肉は、既に米国市場に出回っている。クローン動物の数は増えつつあり、その子のすべてを追跡することは誰もできない。アイオワ・ジェファーソンの一農場所有者は、過去”幾年”(several
years
)も、クローン動物の子を食料用と畜に送ってきた、現在、50頭から100頭のクローン動物の子を育てているという。



 Animal Clones' Offspring Are in Food Supply,The Wall
Street Journal,9.2

 http://online.wsj.com/article/SB122031044800588585.html?mod=googlenews_wsj


 クローン動物の子は使いたくなくても、避ける方法がない。



2008年9月24日水曜日

鴨川での稲刈り

石川美佐代(新庄水田トラスト会員)


6月の山形新庄・ネットワーク農縁での草取り、今回の千葉鴨川・遊学の森での稲刈り、どちらもとても楽しかったです。
精神的な豊かさを味わうことが出来ました。

新しい扉が開かれたような、何かにスイッチが入ったような不思議な感覚で、ドンドン興味が湧いていきます。次は、やはり田植え。

大の苦手だった虫さんたち、田んぼでは自然に受け入れることが出来、安全だからここで暮らしているんだと思えました。心身ともに、すばらしい時間をすごすことが出来ました。

東京に戻ってからの慌しい一週間の間に、「現代農業」という雑誌を申し込み、JAビル他で開催された「ふるさと回帰フェアー」という催しに足を運びました。この行動力に自分自身が一番驚いています。
この出会いを無駄にしないように、身近でできることから、始めたいと思います。




2008年9月17日水曜日

2008年9月10日水曜日

ライスロンダリング アフラトキシン汚染米はどこに


9月5日に農水省は、三笠フーズによるアフラトキシンやメタミドホスに汚染された“事故米”のライスロンダリング=食用転用を公表したが、その全容は、未だに明らかになっていない。

一番問題は、アフラトキシンB1に汚染された“事故米”がどこに流れたかという点である。アフラトキシンは自然界最強の発がん物質といわれ、その毒性はダイオキシンの10倍ともいわれる。その中でもB1が最も毒性が強いという。アフラトキシンは、遺伝子の突然変異を起こしやすい遺伝毒性発がん性物質であることから摂取量を可能な限り低くすることが求められ、摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される摂取量である耐容摂取量は設定されていない(食品安全委員会)。

・食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/emerg/af.pdf

5日の発表当初、毎日新聞などによればアフラトキシン汚染米約9.5トンの一部、2004年度に三笠フーズに売却されたベトナム産汚染米約3トンが焼酎メーカー3社に流れたという。8日のには、アフラトキシン汚染米の一部が外国産の正規米に混入され販売されたという

【カビ(アフラトキシンB1)汚染米】農水省,9月5日発表より作成
------------------------------------------------------------------
2006年度売却分           Kg
アメリカうるち精米(0.01ppm) 390.0 アメリカ加州精米中粒種
中国うるち精米  (0.05ppm) 5,768.2 中国うるち精米長粒種15%
------------------------------------------------------------------
2004年度売却分
ベトナムうるち精米(0.02ppm) 3,367.4 ヘ゛トナムうるち精米長粒種15%
------------------------------------------------------------------
計9,525.6Kg

・農水省, 2008-9-5
「三笠フーズ株式会社に売却した非食用事故米穀」(PDF)

・農水省, 2008-9-9
(別紙1)三笠フーズによる事故米穀横流しの流通経路(PDF:15KB)

・毎日新聞, 2008-9-6
「事故米:食用に転売…一部にメタミドホス 大阪の卸業者」

・毎日新聞, 2008-9-8
「事故米食用転売:正規米と混ぜ販売--三笠フーズ」


週明けより農水省は、三笠フーズより流れた汚染米を使ったメーカーのうち公表に同意した企業についてのみ実名を明らかにした。その製品が食品として流通しても、同意していない企業名は公表されないというのは消費者無視の姿勢に他ならない。大田農水大臣は9月9日の記者会見において、この点を質問されて次のように答えている。
「それは安全性についての見方があると思います。非常に危険性が高いということであれば、直ちに公表して回収を急ぐということだろうと思います。安全性(の問題)が低い場合には、結局は公表すべきでありますから、今時点で公表しているわけでありますけれども、バランスを考えるということだと思います。」

・農水省, 2008-9-9
「太田農林水産大臣記者会見概要」

自然界最強の遺伝毒性発がん性物質であるアフラトキシンB1が混入したコメの流通を三笠フーズが認めている以上、どこに、どれだけ流れ、どのような状況であるかを早急に明らかにする必要がある。大田農水大臣の発言を見ると、アフラトキシンの混入はさしたる危険ではない、という立場に立っているということだけははっきりしている。どれが安全であるか分からなければ、消費者は危ないと疑わしきものを避けるしか身を守る方法はない。農水省が同意を条件に公表を渋る以上、“風評被害”が当然のものとして起きるだろう。そもそも、農水省の杜撰な管理が招いた今回のライスロンダリング・スキャンダルは、単に違約金を取るというレベルの問題ではない。消費者の健康の問題なのだ。

もう一つの問題は、今回の汚染米が全量ミニマムアクセス米(MA米)であるという点である。WTO(世界貿易機関)の推し進める自由貿易体制が招いた問題なのだ。食の安全を言いながら、食料の海外依存率が60%の現在、輸入食料に依存する日本の食が、実は安心できないものかを如実に示しているといえるだろう。

このミニマムアクセス米は、年間77万トンの輸入が義務付けられているが。ライスロンダリングが明らかになった5日、2007年度の輸入量が70万トンしか確保できなかったことが明らかになっている。世界的な食糧危機が明らかになり、ベトナムなどのコメの輸出国が禁輸に踏み切る中、日本がミニマムアクセスを根拠にして高値でコメを買いあさることが、食料危機にあえぐ国々をより厳しい状況に追い込むことは明らかである。ここにも無理を押し通すWTOの不条理が現れている。

・毎日新聞, 2008-9-5
「コメ:最低輸入義務達成できず 07年度分枠」


2008年9月8日月曜日

2008年9月25日締切、北海道GM規制条例に関するパブコメ(転載)

GMO問題に取り組んでいる全国のみな様

市民ネットワーク北海道・食プロジェクト 富塚とも子

みなさんのご尽力で、成立した「北海道食の安全安心条例」と「北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」ですが、来年の4月で見直し期限である3年目を迎えます。

北海道は、見直しに向けて9月25日を期限としたパブリックコメントを募集しています。なお、条例についての状況ですが、GMO推進派は、見直しに向けて着々と布石を打ってきています。北海道は、条例制定の旗振り役であった麻田副知事が退職され、高橋はるみ知事は経済産業省寄りといわれています。予断を許さない状況です。

応募資格に北海道在住などの限定はありません。個人名での、パブリックコメントをたくさん寄せていただくことで、日本で最も進んでいるといわれるGM規制条例の維持にご協力ください。なお、団体の方は、団体名でも道への申し入れ書を出しくださるようお願いします。9月25日までの提出をお願いいたします。


論点ですが、

1.距離によらない交雑防止策について。農業試験場の実験の結果、距離による交雑防止は不可能とということがわかり、他の交雑防止法を探るとのことになっていますが、、実験結果に安全率2~3を掛けた上で距離要件として生かし、さらに他の交雑防止策を併用すべきです。

2.コンセンサス会議や対話集会については、推進側の研究者がファシリテーターを務めるため、公正な話し合いができていません。ファシリテーターについても、公正な人選が必要です。

3.研究機関による栽培要件の緩和が提案されることと思います。これについては、閉鎖された実験室での実験として封じ込めることが必要です。さらに、現在は大学の研究室で行われている実験の安全性について管理の徹底を強く要望する方法もあると思われます。

日本中から、世界からのパブコメ、申し入れ書をよろしくお願いします。ただし、言語は日本語のみとの条件が付いていますのでお気を付け下さい。

4.商用栽培については、ぜったに許さないことを、あらためて主張することが大切です。推進側は、ここに焦点を絞ってくるかもしれません。

5.バイオエタノール用のGMOの栽培も焦点の一つになることと思います。

ほかにも、GM規制条例のあらゆる部分について、緩和を許さないことが必要だと思います。


パブコメの詳細については以下のアドレスを参照ください。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/shokuan/shoku-jourei.htm

GM条例に関係する交雑試験の結果等については、以下のアドレスを参照ください。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/shokuan/shoku-iinkai.htm

これ以外に、北海道が関わっているGM推進派との動きにつてもチェックしていただければと思います。
ひとつは、北海道が主催した、コンセンサス会議です。

詳細は、以下の文言でネット検索してください。

2007年2月4日
北海道における遺伝子組換え作物の栽培についての道民の意見

~「コンセンサス会議」からの市民提案~

遺伝子組換え作物について道民が考える

「コンセンサス会議」

また、北海道大学のバイオ研究者が中心となって開催したGMOをテーマとした集会が08年8月に開かれました。

この中で、2つの提言がなされたとのことですが、

ひとつは「遺伝子組み換え食品の表示の徹底」ひとつは「GMOの研究の促進」だったということです。

参加者によれば、表示の徹底については納得がいくが、研究の促進については合意した覚えがないとのことでした。

議事録等はまだ、アップされていませんが、後援した北海道農政部の食の安全推進室の話によれば、近じかアップされる予定だそうです。

枠組みは、以下のサイトで見てください。

http://www.agr.hokudai.ac.jp/gmtaiwa

なお、「社会運動」にこの夏掲載された原稿が、現在の状況や課題を説明していますので、貼り付けます。参照ください。

意見書、パブコメへのコピー・ペーストに使っていただいても構いません。



「北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」の近況

~交雑試験において隔離距離600メートルでイネの交雑を確認~

遺伝子組み換えイネいらないネットワーク 富塚とも子

「北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」(以下北海道GM規制条例)施行から2年半、罰則規定を盛り込んだ日本で初めてのGM規制条例として期待される反面、GM作物栽培抑止効果がどれほどあるのかといった不安もありましたが、施行以来、道内では開放系一般栽培も、開放系試験栽培も行われていません。

北海道は、道内の生産者や試験研究機関を対象に、開放系での遺伝子組換え作物の栽培計画について毎年調査を実施し、2月初めに翌年度の情報を公開しています。

2008年度も道内においてGM作物を開放系で栽培する計画は、一般栽培はもちろん研究機関による試験栽培もないとのことです。開放系での栽培は栽培しようとする90日以前に北海道に申請か届け出が必要とされており、北海道は新たな栽培情報が入りしだいホームページで公表するとしています。情報の公開が約束されたことは、条例が市民にもたらした大きな利益のひとつだと思います。       

また、全国的に展開されているGMフリーゾーン運動についても、北海道の登録農地は4万3751ヘクタールと、日本全国のGMフリーゾーンの約87%に達しました。

生活クラブ北海道等の尽力もありますが、GM規制条例制定をめぐって、日本全国の消費者から寄せられた「北海道での遺伝子組み換え作物の栽培はやめてほしい」という大きな声が、行政や流通、そして生産者のGM作物に対する姿勢を大変慎重なものさせたことがこの成果をもたらしたとも言えるでしょう。

食糧問題、エネルギー問題などGMをめぐる状況は常に変化し、いつどのような形で顕在化するか油断できない状況ではありますが、5年前には予想もできなかった成果を手にすることができたと感じています。

いまから5年前、2003年5月20日、生活クラブの組合員や市民ネットワーク北海道の代理人、自然食料品店の関係者、有機農業の生産者など札幌圏でGM食品反対運動にかかわっている市民およそ70人が、札幌市豊平区羊ヶ丘にある独立行政法人・農業技術研究機構北海道農業研究センター(以下北農研センター)の会議室に駆けつけました。

「5月の下旬に、遺伝子組み換えイネの開放系圃場での栽培実験のための田植えを行うが、その説明会が明日だというチラシを豊平区役所で見つけた」との情報がある市民によって各関係団体に伝えられたのでした。

まさに、寝耳に水!まさかという思いで駆けつけ、バイオハザードや情報公開の在り方について真剣に尋ねる参加者に対し、北農研センター側の説明員として登場した田部井豊氏は、「心配ない、安全だ」を繰り返すだけで、時間切れを理由に説明会を打ち切ったのでした。

納得できない私たちは、その場でこの問題に取り組むための有志による市民連絡会を立ち上げました。これが「北海道遺伝子組み換えイネいらないネットワーク」(以下北海道GMイネいらないネット)です。この日から、北農研センターへのさまざまな働きかけ
を始めました。

5月23日には、「GMイネの栽培試験の中止を求める申し入れ」を行い、さらなる対話の場を求めました。5月29日に再度説明会が行われましたが、話は噛み合わず、北農研センター側の「住民合意がなくとも田植えを行う!」との一方的な宣言によって打ち切られ、翌日田植えが強行されたのでした。

市民の意見を軽視した横暴なやり方に、「北海道GMイネいらないネット」は、できることはすべてやると決心しました。生活クラブでは、組合員に対し「2,3人程度のグループで北農研センターの見学を行い、市民の不安を伝えること」を呼び掛けました。

多くのグループが、三々五々北農研センターを訪れ、職員の認識を変えていったことは想像に難くありません。マスコミへの働きかけ、市民による圃場の監視活動など、私たちは怒りや不安を見える形で表現しました。

北海道新聞や地元のテレビ局がこの騒動を何度も取り上げたことで、これまで、一部の消費者しか知らなかった「遺伝子組み換え食品・作物」の問題点が広く世間に知られることとなりました。研究者や行政にとって、これほど多くの市民が「遺伝子組み換え食品・作物」を拒否することは全く予想外だったでしょう。さらに私たちを力づけてくれたのが、日本全国でGM問題に取り組む皆さんの支援でした。

7月5日に札幌で行われたパーシー・シュマイザーさんの講演会は、全国の運動体等の努力で実現したものですが、これまで、食品だけだと思われていたGM問題を、「種子汚染や環境破壊をもたらし、基幹産業である農業へ壊滅的なダメージを与える」ものでもあると訴える、まさにタイムリーな企画でした。

北農研センターのGMイネ問題もイネの成長とともに新たな不安となってマスコミに登場し、私たちは繁華街での街宣によって集めた署名を持って、北農研センターに実験中止の申し入れを行うなどのパフォーマンスを続けました。

そして北海道庁も大きく動きます。7月、道議会において「食」に関する条例の制定について検討を進めていく旨を知事が答弁。9月、道庁内に条例検討チームを設置。

10月には、第1回北海道の安全・安心な食を考える会が開催され、12月には、道議会において、「食」に関する条例の中で道内における開放系での遺伝子組み換え作物の栽培を規制する旨を当時農政部長だった麻田信二さんが答弁し、道議会も歩調を合わせるように「遺伝子組みかえ作物の非承認と遺伝子組みかえ食品の表示義務化を求める意見書」を国に提出したのです。

北海道GM規制条例の制定は麻田さんをはじめとする北海道農政部の職員の力によるところが大きいのですが、私たち一人ひとりの市民が全国で展開した反GM運動がなければ、農政部もこのような結果を出せなかったでしょう。

このあと、2005年の3月31日の北海道GM規制条例の交付まで、経済界を始めとするGM推進派の強力な巻き返しが起こり、道議会でのロビー活動や農政部への高圧的な働きかけが次々と行われました。

結果、遺伝子組み換え技術は有用であるとの文言が盛り込まれ、試験研究機関による開放系での栽培実験は知事による許可制ではなく届け出制になるなど、一部内容の後退もありました。

これに対して、「北海道GMイネいらないネット」は、2004年2月13日、全国各地からおよそ100名の参加者を迎えて「遺伝子組み換えイネはいらない活動報告集会」を行い、集会終了後、全国各地から北海道知事あてに寄せられた32万2408筆の署名簿を携えて北海道庁を訪問しました。

対応した、麻田信二農政部長に、条例への大きな期待と支持を表明し署名を手渡しましたが、これが条例内容の後退を阻止する大きな力となりました。一方、条例案の議会提出をまじかに控えた04年10月、推進派の研究者やモンサント社と関係の深い長沼の農業生産者によるGMダイズの栽培宣言が派手にぶちあげられ、抗議する私たちの行動とともにマスコミをにぎわせました。

当時は、大変だ!との思いで関係機関への申し入れ等に奔走しましたが、結果的にはこの騒動が消費者のGM作物に対する不信や不安感を高め、行政や農協はGM作物に慎重な姿勢を示さざるを得なくなったことで、GMダイズ栽培は撤回されるとともに条例制定への大きな流れができていきました。

いま北海道は、GM防止条例で示した交雑防止措置基準の検証、見直しのために必要なデータを蓄積することを目的とした交雑実験を行っています。


GM防止条例で定める隔離距離などの交雑混入防止措置基準案の結論を2005年8月の第4回部会で求められた専門家委員会「遺伝子組換え作物交雑防止部会」が、非GM作物による公的機関での交雑試験の実施を北海道に求めたのです。

「遺伝子組換え作物交雑防止部会」のメンバーは北大、帯広畜産大学、東海大学の研究者6名で、GM作物については慎重派、推進派、などスタンスの違いはありますが、「花粉の飛散距離に関するデータがあまりにも乏しすぎる。

また、冷害など特異な環境での花粉飛散は経験的には普通よりも広がる可能性が高いと考えられるが、十分なデータがない中で交雑防止距離定めるにあたって科学的な結論を出すのは難しい」との認識は一致していました。

道側が交雑混入防止の定義は、交雑率0%であることを明言し、部会に交雑率を0%にしうる隔離距離を科学的な知見によって決定・提案することを求めたため、「遺伝子組換え作物交雑防止部会」は交雑混入防止措置基準設定に苦しみ、「農水省の栽培実験指針は、比較的小規模な試験栽培についての全国的な基準であることから、安全率として3倍を乗じる。

道内の知見がある場合には安全率として2倍を乗じる。虫媒や風媒の作物については、安全率を乗じたとしても交雑防止が難しく、隔離距離による交雑防止のほかにネットを設置するなどの措置を併せて実施するが、隔離距離だけではなく、開花時期をずらすなど、二重・三重の対策を実施する」ことで決着させました。

その代わり、交雑防止措置基準で隔離距離を定めた5つの作物、イネ、ダイズ、トウモロコシ、ナタネ、テンサイの交雑試験を提言し、その結果によって交雑防止措置基準の改定を行うとしました。

実験は、条例施行から3年後(09年1月1日)の条例見直しに合わせて、06年度から08年度までの3年間、北海道立中央(長沼)・十勝・北見農業試験場、同畜産試験場、同花・野菜技術センター、東京農業大学生物産業学部で行われます。現在、06年度と07年度の結果が出ていますので作物ごとにまとめて報告します。

1.イネ 07度は600m 以上の距離で交雑を確認

試験実施機関
2006年度
2007年度

交雑防止措置基準の隔離距離等
備考

中央農試(岩見沢市)
花粉親と種子親との距離等
交雑率
花粉親と種子親との距離等
交雑率

2007年度のデータは冷水処理した区のもの
2m
26m
150m
300m
1.136%
0.529%
0.068%
0.024%
150m
300m
450m
600m
0.076%
0.023%
0.006%
0.028%
300m以上

2週間以上開花期の差がある場合は52m

07年度は、花粉源の「ななつぼし」以外に「きらら397」との交雑粒が150m 区、450m区、600m区で確認されました。これらの交雑は、花粉源「ななつぼし」圃場の南側420m に2.9haの「きらら397」圃場及び種子親600m 区の北北西452m 地点の「きらら397」圃場から飛散した花粉によるものと思われます。

150m 及び450m 区までの両圃場からの最短距離はそれぞれ560m、645m です。600m 以上の距離で交雑が確認されました。低温の影響により交雑率が高くなったと考えられますが、道は、冷害年においては、この程度の差は実際に起こりえるとの考えを表明しています。


ダイズ 虫媒によると思われる交雑が220mでみられました

試験実施機関
2006年度
2007年度
交雑防止措置基準の隔離距離等
備考

花粉親と種子親との距離等
交雑率
花粉親と種子親との距離等
交雑率
07年度は、40m以上では交雑は確認されなかった。中央農試で花粉親以外との交雑を確認(最短距離60~110m)

中央農試
十勝農試
北見農試
10m
20m
10m
20m
10m
0.004%
0.003%
0.066%
0.032%
0.008%
10m
20m
40m
80m
160m
230m
0.003%
0.003%





20m以上

上記の表では、花粉親との交雑のみが対象となっているため、06年度07年度を通じて40m以上での交雑は起こっていないかのようですが、06年度は、十勝農試すべての試験区で花粉親「スズマル」以外との交雑が認められ、可能性のある大豆個体または試験区は約220mの距離にありました。

風向とキセニア発生区との関係が認められない
ことから、風媒ではなく、虫媒がキセニアの発生要因として推測されています。中央農試、北見農試でも、花粉親以外との交雑が虫媒によって70mで起きたと推測されました。

07年度、40m以上での交雑が発生しなかった要因として、約200mの距離にあるナタネ試験圃場(5a)が、大豆開花始めより早い7月上旬から、大豆開花終期の8月中旬まで開花期間を迎えており、訪花性昆虫がナタネに集まった可能性が考えらます。

トウモロコシ
花粉親「キャンベラ90」との交雑は、250m 地点では0.015 %、600m 地点では0.003 %認められましたが、1200m 地点では認められませんでした。しかし「キャンベラ90」以外との交雑と考えられる粒が認められました。近隣のトウモロコシの調査や、交雑したと思われる最短距離についての調査は発表されていません。GM規制条例に基づく交雑防止措置基準の隔離距離は1200mです。

このほか、ダイズとナタネについての訪花性昆虫の調査が行われ、花粉媒介への関与の可能性が高いと思われる昆虫の特定を行いました。テンサイについては08年度の本格的交雑試験の材料が用意されたところです。

07年度の交雑試験の結果は、「遺伝子組換え作物交雑防止部会」でも検討済みですが、距離要件だけでは交雑は防げないとの声があがり、GM推進派委員からは交雑率を少しならいいことにすべきであるとか、交雑率0・003%などは0と考えていいのではないかとの意見が出され、なんだかキナ臭くなってきました。

幸い他の委員から、決して無視しうる数字ではないとの意見が出され、交雑防止の概念は0%のままでキープされていますが、条例見直しの内容については、条例の趣旨が曲げられないよう注意深く見守る必要があります。

さて、改めて交雑試験の結果をみれば、北海道GM規制条例の隔離距離は不十分だったと言わざるを得ません。さらに、国の隔離距離では交雑を防げないことが明らかにな
りました。

温暖化で気候が不安定になっている昨今、冷涼な北海道ならではの特殊な結果であるとすることも妥当とは思えませ。公的試験研究機関が発表したこの数字を、全国のGM作物の開放系での試験栽培に対する異議申し立てのために活用したいと思います。

また今回、北海道GM規制条例の制定過程を振り返り、消費者のGM作物・食品に対する「嫌悪感や不安感」が行政や生産者などの団体を動かす大きな力になっていることを強く感じました。GM条例の実行性は、この消費者の気持ちによって担保されていると言えば、今更といわれそうですが、偽らざる実感です。GMフリーゾーン運動等を通し、GM作物の問題点を社会に向けて訴えていく不断の努力が必要です。

最後に、2つの懸念を報告して稿を締めたいと思います。

ひとつは、高橋知事が道立農業試験場の独立行政法人化を進めていることです。独立行政法人化されれば、市民によるコントロールが及ばなくなるでしょう。お金のために、国やGM企業からの研究依頼を受けざるを得なくなるのは明白です。独立行政法人化を阻止するために行動を起こすべきです。

もう一つは、内閣府食品安全委員会と北海道が主催する食品の安全性に関するリスクコミュニケーター育成講座や、北海道が主催する「遺伝子組み換え作物コンセンサス会議」についての懸念です。前者は、GM推進側の視点でリスクコミュニケーターの育成がはかられ、後者は結論に重大な影響を与えるファシリテーターをGM推進側の研究者が務めています。今後の動向を注意深く見守りたいと思います。

2008年9月5日金曜日

米国控訴裁判所 除草剤耐性GMアルファルファの栽培禁止を支持

 米国の非政府組織・食品安全センターの報道発表によると、9月2日に手渡された決定で、米国第9巡回区控訴裁判所が除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)ラウンドアップ・レディーアルファルファの栽培の、完全な環境影響評価書が出るまでの禁止を確認した。

 これは、米国農務省(USDA)がラウンドアップ・レディーアルファルファによる通常のアルファルファや有機アルファルファの汚染の問題に十分に取り組んでいないとした07年5月の連邦地裁の判決(米連邦地裁 除草剤耐性GMアルファルファ商業栽培を禁止,07.5.7)を改めて確認するものである。 第9巡回区控訴裁判所は、GMアルファルファの栽培が、有機及び通常品種に対する取り返すことができないかもしれない損害、環境に対する損害、そして農業者に対する経済的損害をもたらす可能性があると裁定したということである。

FEDERAL COURT UPHOLDS BAN ON GENETICALLY-ENGINEERED ALFALFA, The Center for Food
Safety,08.9.2

http://www.centerforfoodsafety.org/AlfalfaPR9_2_08.cfm

 この報道発表によると、食品安全センターほか8つの農業団体、環境団体などを原告とするこの訴訟で訴えられたのはUSDAだが、モンサント社やForage

Genetics社も被告人擁護者としてこの訴訟に参加した。

 メアリー・M・シュレーダー判事は、モンサントとForage Geneticsは連邦地裁がその金銭的損害を無視したと主張したが、連邦地裁はこれらの経済的損害も考慮しており、非GMアルファルファを望む生産者と消費者に対する損害がモンサント、Forage Genetics、GMアルファルファ栽培者の経済的損害に比べて大きすぎると考えただけだと判決した。 食品安全センターのアンドリュー・キンブレル常務理事によると、この判決は米国におけるバイテク作物規制の転換点をなす。シュレーダー判事の決定は、USDAが完全な環境影響評価書なしでGMアルファルファを承認することで米国環境法を侵犯したことを確認する。また、USDAが、GMアルファルファの商業栽培に続いて起こり得るラウンドアップ抵抗性スーパー雑草の問題への取り組みを怠ったことも確認するものだと言う。

2008年8月27日水曜日

ドイツ 蜜蜂がGM作物・モノカルチャー・農薬を逃れて都市に避難


農業情報研究所(WAPIC)より転載

0.8.25



 7月15日、ドイツの6人の養蜂家が3万匹の蜜蜂をミュンヘン市内に移住させた。ミュンヘンから80kmほど離れた彼らのカイスハイム村近くの遺伝子組み換え(GM)トウモロコシから蜂を守るためだ。また、モノカルチャー化で春が過ぎると村近辺で花を咲かせる植物は(トウモロコシのほか)なくなってしまうことからくる蜂の飢え死にや、農薬中毒死を防ぐ意味もある。市内はこういう問題とは無縁で、夏には緑地もいっぱいある。今や、市内は蜜蜂にとって最高の夏の避難地になっている。

 ドイツだけでなく、世界中で蜜蜂が大量死するようになっている。授粉を媒介する蜜蜂がいなくなれば、大半の作物は実らない。蜂がいなくなれば受粉もなくなり・・・人類もいなくなる(アインシュタイン)。地球から蜂が消えれば、人類は4年も生きられないだろう。今や、都市だけが蜜蜂の、従って人類の救世主
になるのだろうか。

 ENVIRONMENT-GERMANY: Fleeing Famine, Bees Seek Asylum in
Cities,IPS,
08.8.14
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=43557

蜜蜂を移住させたと養蜂家の一人は、蜂がGMトウモロコシに触れば蜂蜜も汚染され、売れなくなってしまうと言う。ドイツでは、一定のGM作物栽培は合法だが、人間消費用の収穫は禁止されている。彼は今年初め、何人かの仲間と一緒にGM作物反対をアウブスブルクの裁判所に訴えた。しかし、裁判所は5月、これは合法だから、蜂の巣をどこか別の場所に移すべきは養蜂家の方だと判決した。彼は、9割の蜜蜂の行動半径は3km以内だが10km飛んでも何の問題もなく、ミュンヘン市が蜜蜂の避難地をくれたのは何よりもの幸いと言う。

 蜜蜂は夏が終わるまでミュンヘンにとどまる。8月半ばにはトウモロコシの開花期が終わり、蜜蜂は家に帰る。こういう試みはドイツ全体に広がっているが、ベルリン周辺のブランデンブルクなど一部地域ではGM作物が至るところにあり、蜜蜂が逃れるのはほとんど不可能という。

 蜜蜂を脅かしているのはGM作物だけではない。モノカルチャーの導入や殺虫剤の大量使用が蜜蜂の都市への避難を余儀なくさせている。

 モノカルチャーは蜜蜂の自然生息地を奪う。春のうちはまだいいが、年の後半に咲く花はほとんどなくなり、蜜蜂は飢えに脅かされる。衛星画像で見ると、広大な地域、特に国の東部では、蜂を養うものが何もない。

 その上、モノカルチャーは大量の農薬、殺虫剤の使用を伴う。これは蜜蜂には致命的だ。今年5月、バーデン・ヴュルテンベルク州の養蜂家が何十万もの蜜蜂の死を報告した。彼らは、トウモロコシ種子を害虫から守る殺虫剤であるポンチョ・プロの成分のクロチアニジンが犯人と主張した。大量死直後の分析で、蜜蜂の体内から大量のクロチアニジンが検出されたからだ。

 州の700人を越える養蜂家が告訴し、この農薬の製造者であるバイエル・クロップ・サイエンスもポンチョ・プロが蜂の死因と認めたが、これは化学物質誤用が引き起こしたものだと種子生産者を
非難しただけだった。

 こうして、今や蜜蜂にとって、都市生活の方が魅力的になった。レクレーション緑地や中庭には、早春から夏の終わりまで、数ヵ月の間花を咲かせる溢れんばかりの様々な植物がある。町の中で、蜜蜂は、公共庭園からバルコニーや中庭まで、せいぜい200mほどを飛ぶだけで、大部分は殺虫剤のかかっていない香りのいい花を見つけることができる。

 2007年、ドイツでは蜜蜂総数の30%に相当する蜜蜂が死んだ。550の野生種のうち、330種が絶滅危惧種のリストに載っている。同様な蜜蜂大量死は他の国でも起きており、特に米国では、2007年、24州で、蜜蜂総数の70%が死んでいる。

 なお、ガーディアン紙によると、イギリスでもこの冬から春にかけて、全巣箱の3分の1が生き残れなかった。通常、この数字は5%から10%の間という。

 Honeybee deaths reaching crisis point,The Guardian,8.13
 http://www.guardian.co.uk/environment/2008/aug/12/conservation.wildlife1


2008年8月25日月曜日

その後のLove&Rice、self buildの家の棟上


鴨川・大山千枚田のほんの近くに、菅間君達3組の若者が、自分達で家を建設中。
大工さんが1人入り、色々教わったり、しかられたりしながら、2階建てのすてきな家を建てています。

伝統的な在来工法で、釘を使わず、木組み工法。
8月19と20日、友人たち、ずぶの素人10-15人が参加して、人力で柱を立てました。
そして、8月20日は棟上。予想以上にすばらしい家が建ちそう!

菅間君達の友達の友達など30人くらいが集まり、交流会。
初対面の人たちはあっという間にopen minnd状態・・・。
世代を超えて結構突っ込んだ話し合いが行われた模様。
西の山に沈む美しい夕日を眺めながら、happyな空間が広がっていったのでした。




・これまでの物語は、↓をクリックしてみてください。
http://suiden-trust.blogspot.com/2008/08/love-rice.html